神奈川県横浜市、川崎市、相模原市、藤沢市等の非営利型一般社団法人で美容外科などのクリニックの開業サポートを行っているカミーユ行政書士事務所です。
当事務所では全国対応にて医療法人や一般社団法人のクリニックの開業サポートを行っています。東京、埼玉、千葉など全国どこでも対応していますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
非営利型一般社団法人で美容外科クリニックを開業するケースは非常に注目されており、増加しています。
非営利型一般社団法人で設立するメリット、デメリットは?
近年、増加している非営利型一般社団法人での美容外科クリニックの開設や分院設立ですが、どのようなメリットやデメリットがあるのか見ていきたいと思います。
メリット
非営利法人で医療機関を開設するメリットとして下記を挙げることができます。
・ 非医師でも代表理事になれる
・ 医療法人に比べ迅速に設立でき、 手間もかからない
・ 個人開設に比べて節税しやすい
・相続税が課されない (ただし、 一般社団法人を親族が支配している場合は一般社団法人を個人とみなして相続税が課税される)
・ 医療法人と違い都道府県の指導監督下にないので指導を受けない
・ 医療法人と違い定期的な届出や登記は必要ない
・ 定款変更に認可の必要がない
医療法人の場合ですと都道府県知事の認可が必ず必要です。
都道府県によって医療法人設立認可の受付は年に2回~4回と受付時期が決まっています。
そのためすぐに分院を設立したいと思ってもなかなか想定通りに行かないことがあります。
また医療法人では分院を開設する際に定款に新しく開設する分院を記載せねばならず、定款の変更認可申請を都道府県に行う必要があります。
こちらの認可が下りるのにも時間がかかり、その後の診療所開設許可申請を行わないといけないということになります。
一般社団法人の場合には都道府県知事の認可は必要ではありませんので定款作成し、認証し登記手続きを踏むだけで法人設立することができます。
デメリット
.一方、デメリットとしては下記が挙げられます。
・裁量権が保健所にあります。一般社団法人でのクリニック開業に関しては管轄保健所によるローカルルールがあり、千差万別です。
一般社団法人での開設事例は増えてはいるもののまだまだ多いとは言えず、保健所の審査は厳しく見られるところもあります。
保健所によって求められる提出書類が異なることがあります。
その理由は、『医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について医政総発0330第4号平成24年3月30日の厚生省健康政策局より各都道府県衛生主管部(局)長 宛の通知』に基づいて各保健所に一定の解釈・裁量が付与されていることが起因します。
このため非営利型一般社団法人での診療所開設が難しいと言われる大きな理由です。
当事務所のような医療法務専門の行政書士などの専門家の必須と言えるでしょう。
・非営利型から営利型の一般社団法人(役員の親族割合が3分の1超)になった場合には、保険収入に対する所得に対しての事業税非課税の規定が適用されなくなります。
一般社団法人でクリニックを開設する際のポイントは?
非営利型一般社団法人でのクリニックを開設する際のポイントについて見ていきたいと思います。
個人開業や医療法人でのクリニック開業が可能ならこちらを優先するように指導される場合もあります。
そのため医療法人ではなく、非営利型一般社団法人でのクリニックの開業が必要な理由や非営利性を徹底しているということを保健所に説明する必要があります。
①非営利性の徹底
一般社団法人の定款には必ず下記のように剰余金の配当禁止と解散時の残余財産の帰属先を国や地方公共団体等にする限定する項目を入れて下さい。
(剰余金の不分配) 第〇〇条 当法人は、剰余金の分配を行わない。
(残余財産の帰属) 第〇〇条 当法人が清算をする場合において有する残余財産は、社員総会の決議を経て、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
各都道府県の保健所によって対応が異なりますので必ず保健所に事前相談を行いましょう。
その際には開業予定地の図面もできるだけ用意し、図面の確認も行うようにしましょう。
また都道府県によっては非営利型一般社団法人でのクリニック開設経験がない場合には、都道府県の医療政策審議会に掛ける必要がある場合もあります。
その場合には年に数回行われる都道府県の医療政策審議会の認可を受けてから診療所開設許可申請を行わないと行けないのでクリニック開設のスケジュールも併せて保健所としっかり確認するようにしてください。
②監事について
監事については、 非営利型法人を目指す場合であっても、 特に資格要件や制約があるわけではありません。
しかし、その職務を考えれば、誰でもよいというわけにはいきません。
条文等で明確に規定されているわけではありませんが、 会計や、 理事の活動をチェックするという監事という制度の趣旨から、 公平な 判断ができる方を選任するべきです。
具体的には医療法人同様、 ①法人との取引きのない②理事からみて第三者としてください。
医療法人には 「監事は、当該医療法人の理事又は職員を兼ねてはならない(医療法第46条の5第8項)」との規定がありますので、 一般社団法人であっても、この点を考慮し、適切な人選をして下さい。
③社員数について
一般社団法人の社員数については特に制限はありません。
医療法人では3名以上と指導されることが多いですが、一般社団法人でも同様に3名以上としておいた方が無難です。
医療法人の場合ですが、 行政指導上の想定と しては、 社員総会の際、 1名は議長になりますので、 それ以外に2名以上いなければ議論ができないということを懸念しているようです。
2名で議論すれば、 意見が割れた場合は議長が最後の1票を投じるこ とになります。
社員2名だと、 議長となった社員は議決を行使する機 会がないことになってしまいますので、 やはり社員は3名以上が適切 だと思われます。
なお、一般社団法人の社員ですが、拠出した金額に関わらず1人1票の議決権を有します。
一般社団法人か医療法人化迷ったときに重視すべきポイントは?
非営利型一般社団法人か医療法人のどちらを選択すべきか迷ったときにはこのようなポイントを重視するかどうかを一つの判断材料とすると良いと思います。
① スピード感を重視するかどうか
医療法人の設立は前述の通り都道府県の認可が必要であり、その認可を受けるための申請は都道府県ごとに決められた時期にしか申請できない制約があります。
また、申請〜認可までは通常半年程度かかります。
これに対して一般社団法人は都道府県の認可が不要なため、いつでも設立することができ、かつ、申請~認可までの半年程度の期間が省略されることになります。
つまり、医療法人と一般社団法人の決定的な差は、「設立のタイミングが選べること」「医療法人であれば必要なこの半年の期間が短縮できる」ことにあります。
②経営効率を重視するかどうか
医療法人の申請では申請時点でクリニックの賃貸借契約が締結されていることが条件になります。
申請~認可までは半年程度かかるため、その間長期間収入がない状態で家賃負担が生じることになります。
一般社団法人であればこの半年が短縮されるため、法人を設立し賃貸借契約のほか開業準備が整った時点で保健所の開設手続きが可能なため、支出負担のみの期間も同様に短縮できます。
医療法人の場合、個人から法人に引き継げる借入金は設備資金に限定されますが、一般社団法人の場合はこの制限がないため運転資金の引継も理論上は可能です。
③法人としての附帯業務を重視するかどうか
医療法人は法人で運営できる事業が医療とその付帯業務に限定され、開設するクリニックを廃止する場合は基本解散になり、解散の場合も都道府県の認可が必要になります。
一方、一般社団法人の場合は開設するクリニックを廃止しても解散する必要は基本なく、解散の場合も都道府県の認可は不要です。
そのためクリニック廃止後は定款の目的からクリニックに関するものは削除し、新たに医療以外の事業を追加して、医療で得た収益を元手に別の事業を行う法人としての活用が可能です。
④代表者の自由度を重視するかどうか
医療法人の代表者は「医師または歯科医師」に限定されます。
それに対して、一般社団法人にはその要件がないため、医師歯科医師以外が代表者になることが可能です(医療法人の代表者変更は都道府県への届出が必要であるが、一般社団法人は不要)。
ただし、法律上要件ではありませんが、あくまでも一般社団法人でクリニックを開設している間は医師又は歯科医師が代表であるべきだとは思います。
これは現在の医療法人の多くを占める「ひとり医師医療法人」において代表者が突然死亡し後継者がいない場合、医療法人での選択肢は解散か、都道府県の認可を受けて医師歯科医師以外の配偶者等が一時的に代表者となり運営を続けるか、になります。
それまで医療法人の役員として法人運営に携わっていたとしても、医師歯科医師以外が医療法人の運営を行うことは非常に困難であることが想像できます。
この場合、一般社団法人であれば代表者を医師歯科医師以外にスムーズに変更することが可能であり、クリニック以外の事業を行うことも可能であるため、残された家族の選択肢も多くなります。
いかがでしたか?
お聞きしてみたいことがございましたらお気軽にお問い合わせください。