兵庫県西宮市で障害福祉サービス事業者指定申請を専門にしているカミーユ行政書士事務所です。
今回のテーマは「職員処遇改善加算とは?算定要件や報酬単位、加算率は?」について解説をしたいと思います。
当事務所では西宮市以外にも大阪府や神戸市、尼崎市、宝塚市、伊丹市、芦屋市等の障害福祉サービス指定申請も行っております。
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処遇改善加算の概要は?
現在、各種の障害福祉サービスを事業展開されている事業者の皆様は処遇改善加算を算定されている事業者も多いと思います。
しかしながら煩雑でなかなか処遇改善加算を算定されていないという声もお聞きすることがります。
国は障害福祉サービスに係る従業員の賃金増加のため「処遇改善加算」という制度をつくりました。
当然ながら、処遇改善加算は障がい福祉サービスにも適用されています。
今まで法人が支払っていた給料や手当の一部の原資に、処遇改善加算を当てることは違うということで、今までのお給料やボーナスに「上乗せ」をして従業員へ還元してくださいというものになっています。
福祉業界の離職率が高い理由の一つに、仕事の内容の大変さに比べて、賃金が低い水準であるということが挙げられます。
処遇改善加算を取得するためには、障がい福祉サービスに従事する職員の資質・待遇の向上や職場環境改善等を整備する必要があります。
賃金面だけでなく、働きやすい職場環境を整えて、良い人材を確保するためには必要な加算と言えるのではないでしょうか。
処遇改善加算は、キャリアパスを作成し、職場環境の改善を行った事業所に対して、職員の賃金をUPするためのお金を支給するという制度です。
本体請求分と加算の合計額に各サービス固有の加算率で計算されます。
キャリアパス要件 + 職場環境等要件 =処遇改善加算
【障害福祉サービス別による加算率】
サービス種類 | 加算率Ⅰ | 加算Ⅱ |
居宅介護 | 27.4% | 20.0% |
生活介護 | 4.4% | 3.2% |
就労移行支援 | 6.4% | 4.7% |
就労継続支援A型 | 5.7% | 4.1% |
就労継続支援B型 | 5.4% | 4.0% |
共同生活援助(グループホーム) (包括型) | 8.6% | 6.3% |
放課後等デイサービス | 8.4% | 6.1% |
児童発達支援 | 8.1% | 5.9% |
例えば、放課後等デイサービスの事例で見てみますと200万円の売り上げがあった場合、200万円×8.4%=168,000円が加算として支給がされることになります。
処遇改善加算の対象者は?
児童指導員、保育士、世話人、職業指導員、生活支援員、ホームヘルパー(サービス提供責任者を含む。)などの福祉・介護職員(直接支援職員)です。
法人代表者、管理者、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者などの管理職、直接支援を行わない事務職のみを行う職員、相談支援員等は含まれません。
なお、特定処遇改善加算については、支給対象者は限定されていません。
つまり特定処遇改善加算であれば管理者やサービス管理責任者も対象になるということになります。
また代表以外の法人役員で、直接支援業務を兼務している場合、その法人役員が、役員報酬のみならず、使用人としての賃金をも受給している場合は、支給の対象となります。
また、勤務形態一覧表にその法人役員の方の氏名の記載があることが必要です。
処遇改善加算は、基本給、手当、賞与等で支給されます。
ただし、通勤費、出張旅費、慶弔見舞金等に支給することはできません。
基本給で支給する場合は、処遇改善分と本来の給与分の分かれ目が不明確になりやすいため、毎月の手当や賞与で支給されることが多いです。
対象事業者は以下の障害福祉サービス事業者となります。
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、療養介護、生活介護、短期入所、施設入所支援、共同生活援助、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設
キャリアパス要件や職場環境等要件とは?
キャリアパスの要件として、以下をを規定し、業規則等の書面での整備、全ての福祉・介護職員への周知が必要となります。
①職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること
②資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること
③経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
処遇改善加算Ⅰ | ①~③の全てを満たす必要がある。 |
処遇改善加算Ⅱ | ①②を満たす必要がある。 |
なおキャリアパス要件にはⅠ〜Ⅲの要件があります。
【キャリアパス要件Ⅰ】
職位・職責・職務内容に応じた任用要件の整備
賃金体系の整備をすること
それを就業規則などの書面で整備し、職員への周知
【キャリアパス要件Ⅱ】
資質向上の目標及び研修の実施又は研修の機会を確保。
資格取得のための支援の実施。
職員へ周知していること。
【キャリアパス要件Ⅲ】
昇給する仕組みを設けていること。
「勤続年数」や「経験年数」「資格等」に応じて昇給する仕組み。
就業規則等の書面で整備。職員に周知していること。
また職場環境等要件ですが以下の項目から1項目以上を満たしている必要があります。
区分 | 具体的内容 |
入職促進に向けた取組 | ・法人や事業所の経営理念や支援方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 ・事業者の共同による採用 ・人事ローテーション ・研修のための制度構築 ・他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者 ・有資格者にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築 ・職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力向上の取組の実施 |
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 | ・働きながら介護福祉士等の取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い支援技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引研修、強度行動障害支援者養成研修、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等 ・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動 ・エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等の導入 ・上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保 |
両立支援・多様な働き方の推進 | ・子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指すための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 ・職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員か正規職員への転換の制度等の整備 ・有給休暇が取得しやすい環境の整備 業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 ・障害を有する者でも働きやすい職場環境の構築や勤務シフトの配慮 |
腰痛を含む心身の健康管理 | ・福祉・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等の導入及び研修等による腰痛対策の実施 ・短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業者のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 ・雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施 ・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 |
生産性向上のための業務改善の取組 | ・タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減 ・高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳、下膳などのほか、経理や労務、広報なども含めた介護業務以外の業務の提供)等による役割分担の明確化 ・5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備 ・業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減 |
やりがい・働きがいの構成 | ・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の福祉 ・介護職員の気づきを踏まえた勤務環境や支援内容の改善 ・地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童生徒や住民との交流の実施 ・利用者本位の支援方針など障害福祉や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 ・支援の好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供 |
「キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ」と「環境等要件」をいくつ満たしかで、加算の段階が変わります。
加算1になると障害サービスに対して多くの加算が受けられるわけです。
加算の段階
加算Ⅰ=キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ + 環境等要件を満たす
加算Ⅱ=キャリアパス要件ⅠとII + 環境等要件を満たす
加算Ⅲ=キャリアパス要件ⅠorⅡ + 環境等用件をを満たす
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