【渋谷区・新宿区】飲食店・サロンの設備投資・自動化で使える!躍進助成金(最大2億円)活用ガイド

渋谷区・新宿区で飲食店、美容室、エステサロン、ネイルサロンなどを経営している事業者にとって、人手不足や人件費の上昇、設備の老朽化、原材料費の高騰は深刻な経営課題です。

セルフオーダーシステム、自動調理機、業務用食器洗浄機、高性能な美容機器、自動洗髪機などを導入すれば、業務の省力化やサービス品質の向上が期待できます。しかし、設備投資には数百万円から数千万円の資金が必要になるため、導入を先送りしている事業者も少なくありません。

そこで検討したいのが、東京都中小企業振興公社が実施する「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」です。

一般に「躍進助成金」と呼ばれるこの制度は、東京都内の中小企業者が競争力強化や生産能力の拡大、生産性向上を目的として導入する機械設備、器具備品、ソフトウェアなどの経費を支援する大型助成金です。

製造業だけでなく、原則としてすべての業種が対象とされているため、要件を満たす渋谷区・新宿区の飲食店、美容室、エステサロン、ネイルサロンなども申請できる可能性があります。

ただし、「古い厨房機器を買い替えたい」「人気の美容機器を導入したい」という理由だけでは、採択されるとは限りません。

設備を導入することで、作業時間、提供可能数、客席回転率、顧客単価、売上、利益、従業員1人当たりの付加価値額がどのように改善するのかを、具体的な数値と事業計画によって説明する必要があります。

本記事では、補助金・助成金申請を専門とする行政書士の視点から、渋谷区・新宿区の飲食店やサロンが躍進助成金を活用するための申請要件、助成率、対象設備、対象外経費、採択される事業計画の作り方を分かりやすく解説します。

この記事の結論

  • 渋谷区・新宿区の飲食店やサロンも躍進助成金の対象になり得ます。
  • 一般的な競争力強化区分の助成額は100万円から1億円です。
  • 一定の要件を満たすアップグレード促進区分では最大2億円です。
  • 機械装置・器具備品は原則として1基50万円以上が必要です。
  • 単なる老朽設備の買替えではなく、競争力強化や生産性向上につながる計画が必要です。
  • 助成金は原則後払いのため、設備代金を先に用意する必要があります。

なお、2026年7月25日現在、第13回の申請受付は終了しています。第13回の申請期間は2026年7月14日から7月23日まででした。今後の公募では内容が変更される可能性があるため、申請時には必ず最新の募集要項をご確認ください。

目次

躍進助成金とは?飲食店やサロンも対象になる設備投資助成金

躍進助成金の正式名称は、「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」です。

東京都内の中小企業者が、製品・サービスの質的向上による競争力強化や、生産能力の拡大による生産性向上を進める際に必要となる機械設備等の導入費用を支援することを目的としています。

研究開発段階の試作品を作るための制度ではなく、すでに提供している商品・サービスを拡大する事業や、具体的に販売・提供できる段階にある事業が主な対象です。

項目 概要
正式名称 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業
実施機関 公益財団法人東京都中小企業振興公社
対象地域 原則として東京都内
対象者 東京都内で一定期間事業を行う中小企業者、個人事業者、中小企業団体等
対象業種 飲食業、サービス業、製造業など原則としてすべての業種
対象経費 機械装置、器具備品、ソフトウェア、対象となる搬入・据付費等
助成額 100万円から1億円。アップグレード促進区分は1億円から最大2億円
申請方法 Jグランツによる電子申請
支払時期 原則として設備代金を支払った後の後払い

飲食店・サロンも対象業種に含まれる

躍進助成金は製造業だけを対象とする制度ではありません。

飲食業は中小企業基本法上の小売業に含まれ、美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなどは、一般的にサービス業に分類されます。

したがって、渋谷区や新宿区で営業している飲食店、美容室、エステサロンなども、申請資格と事業計画の要件を満たせば申請対象となる可能性があります。

ただし、特定の厨房設備や美容機器について、東京都中小企業振興公社があらかじめ「助成対象製品」として認定しているわけではありません。

設備の名称だけで対象になるのではなく、申請者の事業内容、設備の用途、価格、固定資産としての取扱い、事業計画との関係などを踏まえて個別に判断されます。

躍進助成金の助成率・助成額

躍進助成金には、競争力強化、後継者チャレンジ、アップグレード促進などの事業区分があります。

渋谷区・新宿区の一般的な飲食店やサロンが検討するのは、多くの場合、「競争力強化」の中小企業者または小規模企業者の区分です。

事業区分 申請者区分 通常コース ゼロエミコース 賃上げコース 助成額
競争力強化 中小企業者 2分の1以内 4分の3以内 4分の3以内 100万円~1億円
競争力強化 小規模企業者 3分の2以内 4分の3以内 5分の4以内 100万円~1億円
後継者チャレンジ 中小企業者等 3分の2以内 4分の3以内 4分の3以内 100万円~1億円
アップグレード促進 一定の成長要件を満たす事業者 4分の3以内 1億円~2億円

ゼロエミコースと賃上げコースは原則として併用できません。アップグレード促進区分については、ゼロエミコースと賃上げコース双方の要件を満たす必要があります。

最大2億円はすべての事業者に適用されるわけではない

躍進助成金は「最大2億円」と紹介されることがありますが、すべての申請者が2億円まで申請できるわけではありません。

一般的な競争力強化区分と後継者チャレンジ区分の助成上限は1億円です。

最大2億円となるアップグレード促進区分は、競争力強化と生産性向上を実現し、地域経済の中心となることを目指す大規模な設備投資を対象としています。

さらに、生産・増産要請に関する証明、パートナーシップ構築宣言、賃上げ、ゼロエミッションなどの要件も関係するため、一般的な1店舗の設備更新よりも高い成長性と計画性が求められます。

助成金額の計算例

小規模企業者に該当する飲食店が、通常コースを利用して税抜3,000万円の対象設備を導入する場合、助成率3分の2で計算すると、助成申請額の目安は2,000万円です。

項目 金額・内容
設備投資額 税抜3,000万円
申請者区分 小規模企業者
適用助成率 3分の2以内
助成申請額の目安 2,000万円
自己負担額の目安 1,000万円+消費税+対象外経費

実際には、対象外経費、設備価格の妥当性、審査による減額などがあるため、計算上の金額がそのまま交付されるとは限りません。

また、消費税は助成対象外です。設備代金と消費税、電気工事や内装工事などの対象外経費を含めた資金を、申請者が先に用意しなければなりません。

渋谷区・新宿区の飲食店・サロンが満たすべき申請要件

東京都内で2年以上事業を継続していること

第13回公募では、基準日である2026年7月1日現在、東京都内に登記簿上の本店または支店があり、東京都内の事業所で継続して2年以上、実質的に事業を行っていることが求められました。

法人の場合は、登記簿謄本だけでなく、都税の納税証明書、店舗の看板、ホームページ、電話、従業員の雇用状況などから、東京都内で事業を行っているかが総合的に確認されます。

渋谷区や新宿区に登記だけを置き、実際の営業活動を行っていない会社は、申請資格を満たさない可能性があります。

中小企業者または小規模企業者に該当すること

業種 中小企業者の要件 小規模企業者の目安
飲食業 資本金5,000万円以下または常用従業員50人以下 常用従業員5人以下
美容室・エステサロン等のサービス業 資本金5,000万円以下または常用従業員100人以下 常用従業員5人以下

飲食店は中小企業基本法上の小売業に含まれます。美容室、エステサロン、ネイルサロンなどは、事業内容によってサービス業に分類されるのが一般的です。

従業員数が5人以下の飲食店やサロンでは、小規模企業者として通常コースの助成率3分の2、賃上げコースでは最大5分の4が適用される可能性があります。

都税を滞納していないこと

法人事業税、法人都民税、個人事業税などを滞納している場合は、原則として申請できません。

都税事務所との協議により分納している期間中も申請できないとされているため、申請準備の初期段階で納税状況を確認する必要があります。

必要な許認可を取得していること

飲食店では飲食店営業許可、美容室では美容所開設届や美容師免許など、事業に必要な許認可を取得し、関係法令を遵守している必要があります。

新たな美容機器やサービスを導入する場合も、医療行為に該当しないか、広告表現に問題がないか、安全管理上の問題がないかを事前に確認しましょう。

躍進助成金の対象経費

助成対象経費は、申請者が商品・サービスの生産または提供のために直接使用し、事業計画の遂行に必要となる機械設備等の新規導入費用です。

経費区分 主な条件 飲食店・サロンでの例
機械装置 原則1基50万円以上。事業で直接使用する設備 自動調理機、急速冷凍機、業務用食器洗浄機等
器具備品 原則1基50万円以上。固定資産として計上するもの 美容機器、自動洗髪機、肌分析機器等
ソフトウェア 1基300万円以上2,000万円以下。複数基の合計も2,000万円以下 設備と連携するパッケージソフト、専用制御ソフト等
搬入・据付費 設備本体の購入先が行い、設備設置と一体で捉えられるもの 大型厨房設備や美容機器の搬入・据付費

機械装置・器具備品は原則1基50万円以上

機械装置と器具備品は、原則として1基当たり税抜50万円以上である必要があります。

複数の商品を合計して50万円以上になればよいわけではありません。「1基」の単位は、原則として法人税法上の減価償却単位を基準として判断されます。

例えば、税抜20万円のタブレットを3台購入し、合計60万円になったとしても、それぞれが独立した備品として資産計上される場合は、1基50万円以上の要件を満たさない可能性があります。

見積書には、「厨房設備一式」「美容機器一式」とだけ記載するのではなく、メーカー名、型番、数量、単価、搬入費、据付費などを明記してもらうことが重要です。

ソフトウェアは1基300万円以上

ソフトウェアは、1基当たり税抜300万円以上2,000万円以下である必要があります。複数のソフトウェアを導入する場合でも、助成対象経費の合計は2,000万円以下です。

対象となるのは、原則として、すでに仕様が決められて販売されているパッケージソフト、アドオン、プラグインなどです。

事業者の要望に合わせて一から構築するスクラッチ開発や、月額利用料、サブスクリプション費用、ライセンス使用料、年間保守料は、原則として対象外です。

原則として同一メーカー・同一型番の2社見積りが必要

申請設備については、原則として1機種につき、同一メーカー・同一型番で2社から見積書を取得し、安価な見積りを採用する必要があります。

メーカー直販しかない場合や、特許・独自技術によって他社で取り扱えない場合は、見積限定理由書を提出します。

「いつも取引している業者だから」「知人から購入したいから」という理由だけでは、2社見積りを取得しない合理的な理由として認められにくいため注意しましょう。

飲食店で対象になり得る設備の具体例

飲食店では、調理時間の短縮、料理品質の安定、提供能力の拡大、客席回転率の向上、食品ロスの削減などにつながる設備が対象となる可能性があります。

設備例 解決できる経営課題 事業計画で示したい効果
自動調理機 調理人材不足、品質のばらつき 調理時間短縮、提供数増加、品質標準化
スチームコンベクションオーブン 複数工程への人員配置 同時調理数、提供能力、商品品質の向上
業務用食器洗浄機 洗浄作業の長時間化 洗浄時間削減、接客・調理への人員再配置
ブラストチラー・急速冷凍機 食品ロス、保存品質の低下 廃棄削減、冷凍商品の販売、仕込み効率化
自動揚げ機・自動麺ゆで機 熟練者への依存 品質安定、教育期間短縮、処理数増加
セルフオーダー設備 注文待ち、入力ミス、人手不足 注文時間短縮、回転率向上、機会損失削減
自動精算設備 会計待ち、締め作業の負担 会計時間短縮、現金管理の効率化

セルフオーダー・自動精算設備

セルフオーダー端末や自動精算設備は、注文受付、厨房への伝達、会計などの工程を自動化できるため、人手不足に悩む飲食店との相性がよい設備です。

ただし、単にタブレットを購入するだけでは、汎用品または1基50万円未満の設備として対象外になる可能性があります。

申請する場合は、注文受付から厨房、配膳、会計までの業務フローを整理し、設備導入によって削減できる作業時間、注文ミス、会計待ち時間などを数値化しましょう。

自動調理機・高性能厨房設備

自動調理機やスチームコンベクションオーブンを導入する場合は、「古い厨房機器の更新」ではなく、調理工程の標準化、生産能力の向上、新商品の提供などを目的とする必要があります。

例えば、設備導入前は1時間当たり30食しか提供できないところ、導入後は50食提供できる、仕込み時間を1日3時間から1時間30分へ短縮できる、といった数値を示します。

急速冷凍機・急速冷却設備

ブラストチラーやショックフリーザーは、食品の保存品質を高め、廃棄ロスを減らすだけでなく、冷凍商品の販売やテイクアウトメニューの拡充にもつなげられます。

単なる保存設備として説明するのではなく、新たな販売チャネル、客単価の向上、営業時間外売上の獲得などと結び付けることがポイントです。

美容室・エステサロンで対象になり得る設備の具体例

美容室やエステサロンでは、施術時間の短縮、サービス品質の向上、同時施術数の増加、新メニューの提供などにつながる設備が対象となる可能性があります。

設備例 解決できる経営課題 事業計画で示したい効果
高機能エステ機器 施術メニューの不足、競合との差別化 新メニュー、顧客単価、リピート率の向上
肌分析機器 提案内容の属人化 カウンセリング品質、成約率、継続率の向上
頭皮・毛髪分析機器 サービスの客観性不足 提案精度、店販売上、継続利用の向上
自動洗髪機 人手不足、スタッフの身体的負担 施術時間短縮、人員再配置、対応人数増加
施術自動化設備 施術者が常時拘束される 複数顧客への対応、稼働率向上
専用予約・顧客管理ソフト 予約・顧客情報の分散 予約率、再来店率、顧客管理効率の向上

高機能美容機器・エステ機器

高機能な美容機器やエステ機器を導入する場合は、人気機種であることだけを説明しても十分ではありません。

現在の顧客層、既存メニュー、施術時間、競合店との違い、導入後の施術単価、利用者数、売上見込みなどを具体的に説明する必要があります。

例えば、既存のフェイシャル施術は1人当たり90分を要し、1日4人しか対応できないところ、新設備の導入により施術時間を60分へ短縮し、1日6人への対応を可能にする、といった計画です。

自動洗髪機・省力化設備

自動洗髪機を導入することで、スタッフの身体的負担の軽減、洗髪時間の短縮、人員配置の見直しが期待できます。

ただし、「スタッフが楽になる」という効果だけではなく、短縮された時間をカット、カラー、接客などの高付加価値業務に振り向け、店舗全体の売上や付加価値額を高める計画が必要です。

肌分析・デジタルカウンセリング設備

顧客の肌、頭皮、毛髪などを撮影・分析する専用設備は、カウンセリング品質の向上や施術提案の標準化につながる可能性があります。

一般的なカメラ、パソコン、タブレットだけでは、汎用品として対象外になる可能性があります。専用設備としての機能と固定資産の単位を確認しましょう。

躍進助成金の対象にならない主な経費

対象外となる主な経費 注意点
中古設備 新品の機械設備等が基本です。
既存設備の修理・改良 修理、撤去、移設、処分費用も原則対象外です。
内装工事 壁、床、天井、間仕切り等の店舗改装は原則対象外です。
基礎工事・電気工事 設備設置場所の整備工事や電源工事は原則対象外です。
不動産・建物 土地や建物の取得費は対象外です。
車両・運搬具 自動車、バイク等は原則対象外です。
汎用パソコン・サーバー 目的外使用が可能な汎用品は対象外になる可能性があります。
サブスクリプション費用 月額利用料、従量課金、定期課金は対象外です。
保守・ライセンス費用 年間保守料、バージョンアップ費、ライセンス使用料等は対象外です。
リース・レンタル 所有権を取得しない費用は原則対象外です。
消費税・振込手数料 設備本体が対象でも付随する間接経費は対象外です。
関連会社との取引 親会社、子会社、グループ会社、親族会社等との取引は対象外となります。
交付決定前に発注した設備 採択・交付決定前の契約、発注、支払いは避ける必要があります。

内装工事・電気工事には特に注意

躍進助成金は、店舗全体の改装費を支援する制度ではありません。

厨房設備や美容機器を設置するために行う床工事、給排水工事、専用電源工事、間仕切り工事などは、原則として対象外です。

見積書に設備本体と工事費がまとめて「一式」と記載されていると、対象経費と対象外経費を区分できません。

設備本体、運搬費、据付費、電気工事、給排水工事、内装工事などを、見積段階から分けて記載してもらいましょう。

単なる設備の買替えでは採択されにくい

躍進助成金では、事業計画を伴わない単なる機械設備の更新を目的とする事業は、助成対象にならないとされています。

「食器洗浄機が古くなった」「美容機器が故障しそう」「リース期間が終了する」といった事情だけでは、競争力強化や生産性向上との関係が弱いため、採択されにくくなります。

採択されにくい説明 採択を目指す説明への改善例
古くなったので買い替えたい 処理能力を1時間30件から50件へ増加させ、提供能力を拡大する
人手不足を解消したい 注文受付作業を1日5時間削減し、接客業務へ人員を再配置する
新しい美容機器を導入したい 新メニューを導入し、客単価を1万2,000円から1万5,000円へ向上させる
スタッフの負担を減らしたい 施術時間を30分短縮し、1日当たりの対応可能人数を4人から6人へ増やす
食品ロスを減らしたい 月間廃棄額を20万円から8万円へ削減し、冷凍商品の販売を開始する

採択される事業計画を作る7つのポイント

1.現在の経営課題を数値化する

「人手不足」「業務効率が悪い」「予約が取りにくい」という抽象的な説明だけでは、課題の深刻度が伝わりません。

作業時間、待ち時間、処理件数、施術時間、予約の取りこぼし、廃棄金額、残業時間、設備稼働率などを数値で示します。

2.設備導入前と導入後を比較する

設備導入による効果は、導入前と導入後を比較して説明します。

指標 導入前 導入後
1時間当たりの提供数 30食 50食
1人当たりの施術時間 90分 60分
1日当たりの対応人数 4人 6人
月間食品廃棄額 20万円 8万円
1日当たりの注文受付時間 5時間 1時間30分

3.設備の処理能力と売上計画を一致させる

設備を導入すれば売上が大幅に増えるという説明だけでは不十分です。

客単価、顧客数、座席数、回転率、営業日数、施術時間、設備能力などを積み上げて、売上計画を作成する必要があります。

設備の最大処理能力を超える売上計画や、店舗面積・営業時間では実現できない顧客数を記載すると、計画の実現性を疑われます。

4.労働生産性を年率3%以上向上させる

競争力強化、後継者チャレンジ、アップグレード促進では、原則として従業員1人当たりの付加価値額、すなわち労働生産性を年率3%以上向上させる計画が必要です。

計画期間 必要となる労働生産性の伸び率
3年後 9%以上
4年後 12%以上
5年後 15%以上

売上が増加しても、人件費や従業員数が同じ割合で増加すれば、従業員1人当たりの付加価値額が十分に伸びない可能性があります。

売上、営業利益、人件費、減価償却費、従業員数などを整合させて計画を作成することが重要です。

5.設備を選んだ理由を明確にする

なぜそのメーカー、その型番、その能力の設備が必要なのかを説明します。

小規模な店舗に対して処理能力が過大な設備を申請すると、設備規模や価格の妥当性を疑われる可能性があります。

設備の性能と、自社の座席数、顧客数、施術件数、売上計画との関係を示しましょう。

6.資金調達計画を準備する

助成金は原則として後払いです。

交付決定後に設備を契約・発注し、納品、設置、支払いを完了した後、完了検査を経て助成金が交付されます。

そのため、自己資金または金融機関の融資によって、設備代金、消費税、対象外工事費を先に支払う必要があります。

7.経営者自身が面接で説明できる計画にする

一次審査を通過すると、面接審査や価格審査が行われます。

面接では、設備を導入する理由、現在の経営課題、売上計画、資金調達、投資効果などについて質問される可能性があります。

専門家が事業計画書を作成した場合でも、経営者自身が内容を理解し、自分の言葉で説明できる状態にしておく必要があります。

渋谷区・新宿区の事業者が特に注意すべきポイント

店舗面積と設備の設置スペース

渋谷区・新宿区の店舗は、賃料が高く、限られた店舗面積で営業しているケースが少なくありません。

大型設備を導入する場合は、設置場所、搬入経路、床荷重、電源容量、給排水設備、排気設備などを事前に確認する必要があります。

採択後に設置できないことが判明しても、設備や設置場所を自由に変更できるとは限りません。

賃貸借契約・管理規約の確認

賃貸店舗の場合、設備の設置について建物所有者や管理会社の承諾が必要になることがあります。

電気容量の変更、給排水工事、看板設置、排気設備の変更などが必要になる場合は、申請前に賃貸借契約と管理規約を確認しましょう。

複数店舗を運営している場合

渋谷区・新宿区で複数店舗を運営している場合は、どの店舗に何台の設備を設置し、どの店舗の売上や生産性を改善するのかを明確にする必要があります。

同じ設備を複数店舗へ導入する場合も、店舗ごとの顧客数、現在の処理能力、設備台数、導入効果を整理しましょう。

躍進助成金の申請から入金までの流れ

段階 主な手続き 注意点
1.事前確認 申請資格、対象設備、事業区分を確認 東京都内2年以上などの要件を確認します。
2.設備選定 メーカー、型番、処理能力を決定 店舗規模と投資効果に合う設備を選びます。
3.見積取得 原則として同一メーカー・同一型番で2社見積り 設備本体と工事費を区分します。
4.事業計画作成 現状分析、導入効果、収支計画を作成 労働生産性の向上を数値で示します。
5.電子申請 Jグランツから申請書類を提出 事前にGビズIDプライムが必要です。
6.一次審査 資格、経理、事業計画の審査 財務内容や計画の実現性が確認されます。
7.二次審査 面接審査、価格審査、総合審査 経営者自身が計画を説明します。
8.交付決定 採択・交付決定通知 原則として交付決定前に発注してはいけません。
9.設備導入 契約、発注、納品、設置、支払い 対象期間内にすべて完了させます。
10.完了報告 証拠書類、設備写真等を提出 契約書、請求書、振込記録等を保存します。
11.完了検査 設備の設置・稼働状況を確認 申請内容と異なる設備は対象外になる可能性があります。
12.助成金交付 助成金額確定後に入金 原則後払いです。

躍進助成金でよくある不採択・対象外パターン

よくある問題 不採択・対象外となる理由 改善策
単なる老朽設備の更新 競争力強化や生産性向上との関係が弱い 処理能力、品質、売上への効果を数値化する
設備の性能説明だけ 自社の経営課題が明確でない 現状の業務フローとボトルネックを示す
売上増加の根拠がない 計画の実現性が低い 客単価、顧客数、営業日数を積み上げる
安価な備品を合算 1基50万円以上の要件を満たさない 減価償却単位と設備構成を確認する
工事費を一式計上 対象外工事を区分できない 設備本体、据付費、工事費を分ける
交付決定前に発注 対象期間外の契約・発注となる 交付決定後に正式発注する
資金調達の見通しがない 設備投資を実行できない 自己資金または融資計画を準備する

躍進助成金に関するよくある質問

Q1.渋谷区・新宿区の個人経営の飲食店でも申請できますか?

一定の要件を満たす個人事業者も申請できます。東京都内で継続して2年以上事業を行っていること、税金を滞納していないこと、必要な許認可を取得していることなどを確認する必要があります。

Q2.開業したばかりの美容室でも申請できますか?

第13回では、基準日現在で東京都内において継続して2年以上事業を行っていることが要件でした。開業から2年未満の場合は、原則として申請が難しいと考えられます。

Q3.美容機器であれば必ず対象になりますか?

美容機器という名称だけで対象になるわけではありません。サービスの提供に直接使用し、固定資産として計上され、事業計画の実現に必要であることなどが求められます。

Q4.POSレジやセルフオーダー端末は対象になりますか?

専用設備として構成され、1基50万円以上などの要件を満たせば対象になる可能性があります。一方、一般的なタブレット、パソコン、月額制サービスは対象外になる可能性があります。

Q5.予約管理システムは対象になりますか?

固定資産となるパッケージソフトで、1基300万円以上などの要件を満たせば対象になる可能性があります。月額利用料やサブスクリプション費用は原則対象外です。

Q6.厨房設備の交換だけでも申請できますか?

老朽化した設備を同程度の設備へ交換するだけでは、単なる設備更新と判断される可能性があります。処理能力の向上、調理時間の短縮、品質向上、新商品の提供などにつながる計画が必要です。

Q7.設備を先に購入してもよいですか?

原則として、交付決定前の契約、発注、購入、支払いは避けなければなりません。採択を見込んで先に発注すると、設備全体が助成対象外になる可能性があります。

Q8.内装工事や電気工事も対象になりますか?

設置場所の内装工事、基礎工事、電気工事、給排水工事などは原則対象外です。設備購入先が行う搬入・据付費で、設備設置と一体として捉えられるものは対象になる場合があります。

Q9.他の補助金と併用できますか?

同一の設備について、国、東京都、区市町村などの他の補助金・助成金と重複して助成を受けることはできません。異なる設備や異なる経費であれば併用できる可能性がありますが、各制度のルールを確認する必要があります。

Q10.最大2億円を申請できますか?

最大2億円はアップグレード促進区分の上限です。一般的な競争力強化区分の上限は1億円です。アップグレード促進では、大規模な設備投資に加え、賃上げやゼロエミッションなどの要件を満たす必要があります。

Q11.助成金はいつ入金されますか?

原則として、設備を導入し、代金を全額支払い、完了報告と完了検査を経た後に交付されます。設備購入前に助成金が振り込まれる制度ではありません。

Q12.採択されれば申請額の全額を受け取れますか?

採択された場合でも、価格審査や完了検査によって対象経費が減額されることがあります。申請設備と異なる設備を購入した場合や、証拠書類が不足している場合も減額・対象外となる可能性があります。

まとめ|渋谷区・新宿区で設備を発注する前に事業計画を作成しましょう

躍進助成金は、渋谷区・新宿区の飲食店、美容室、エステサロン、ネイルサロンなどが、設備投資、自動化、省力化、生産性向上を進める際に活用を検討できる大型助成金です。

一般的な競争力強化区分では、助成額は100万円から1億円です。一定の要件を満たすアップグレード促進区分では、最大2億円となります。

しかし、設備を購入すること自体が目的ではありません。

現在の経営課題を整理し、設備導入によって作業時間、対応可能人数、客席回転率、サービス品質、顧客単価、売上、利益、労働生産性をどのように改善するのかを、具体的に説明する必要があります。

また、1基当たりの最低金額、2社見積り、対象外となる工事費、関連会社との取引禁止、交付決定前の発注禁止、助成金の後払いなど、細かな要件があります。

設備販売会社から「この設備には助成金が使える」と説明された場合でも、その設備が自動的に助成対象になるわけではありません。

申請者の経営状況、設備の用途、事業計画、設備価格、見積内容などを総合的に審査したうえで、採否と助成対象額が判断されます。

渋谷区・新宿区で飲食店やサロンの設備投資を検討している場合は、設備を契約・発注する前に、申請資格、対象経費、投資効果、資金調達方法を整理しましょう。

早い段階から準備を始め、設備の単なる買替えではなく、自社の競争力と生産性を高める成長投資として事業計画を組み立てることが、躍進助成金の採択可能性を高める重要なポイントです。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、東証プライム上場企業を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。医療法人関係、補助金申請に専門特化。趣味は週7日の筋トレ。

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