栃木県宇都宮市にて建設業許可を取り扱っているカミーユ行政書士事務所です。
今回は「事業承継をする際に注意すること」をテーマに解説していきます。
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改正建設業法の施行により建設業許可の承継が可能に
建設業の事業承継において、承継後も切れ目なく事業を継続させるためには、建設業許可の承継に注意する必要があります。
事業承継には、社内における承継(親族に会社を引き継ぐ親族承継、役員や社員に会社を引き継ぐ従業員承継)と、社外の第三者に承継する第三者承継(M&A)があります。
社内における承継では、株主や役員に変更があるだけで、建設業の許可の要件が満たされていれば、建設業許可は問題なく承継することができます。
一方、第三者承継の場合、事業譲渡・会社合併・会社分割(事業譲渡など)が発生するケースでは特に注意が必要です。
これまで建設業者が事業譲渡などを行った場合、譲渡、合併、分割後の会社は新たに建設業許可を取り直すことが必要で、新し許可が下りるまでの間、建設業許可の空白期間が生じてしまい、建設業を営むことができないという期間が生じていました。
しかし、令和2年の建設業法が改正されたことにより、これまでできなかった建設業許可の承継が可能になり、譲渡、合併、分割後の会社は設立後すぐに許可のある状態での営業ができるようになります。
事業譲渡等の際に、事前に許可行政庁による認可を受けることで空白期間なく建設業許可を承継することが可能となります。
個人事業主の相続による承継についても同様の規定が整備されています。
☑承継の手順
例えば、A社の地位をB社が承継する場合、以下のような手順で建設業許可の承継を行うこととなります。
<A社、B社の許可>
A社:建築(特)
B社:土木(特)、とび(般)
<手順>
①B社が許可行政庁に対し、事前に事業譲渡等について認可を申請
②許可行政庁において申請の内容を審査
③許可行政庁からB社に対して認可もしくは不認可について通知
④事業譲渡等の日に建設業許可についても承継
☑承継規定の対象外となるケース
改正建設業法の承継規定により、事業譲渡等のあらゆるケースにおいて建設業許可が承継できるようになったわけではありません。
対象外となるケースがあるので注意が必要です。
具体的には、一般建設業許可を受けている建設業者が、同一の業種の特定建設業の許可を受けている者の地位を引き継ぐようなケースや、特定建設業許可を受けている建設業者が、同一業種の一般建設業許可を受けている者の地位を受け継ぐようなケースは、この制度による承継の対象外となります。
なお、これらのケースに該当する場合であっても、前者であれば、承継先が当該同一業種について事前に廃業することで承継可能ですし、後者であれば、承継元が当該同一業種について事前に廃業することで承継可能となります。
①異業種間の承継は可能。
②同一業種でも、一般・特定の区分が同じなら承継は可能。
③承継元となる建設業者の許可の一部のみを承継することは不可能。
許可の有効期間について
事前認可を受け事業譲渡などを行った場合、承継する許可と、もともと持っている許可の両方の有効期間が更新されることとなります。
つまり、承継後のずべての許可の有効期間は、事業譲渡等の日から5年間となります。

個人事業主の相続について

個人事業主の相続による事業承継の場合も認可を受けることにより、被相続人の受けていた建設業許可を承継することが可能です。
例えば、被相続人である個人事業主Xの地位を相続人である個人事業主Yが承継する場合、次のような手順で建設業許可の承継を行うこととなります。
<手順>
①個人事業主Xの死亡後30日以内に、相続人である個人事業主Yが許可行政庁に対して相続の認可を申請。
この場合、建設業許可を承継しない場合は廃業届を出すことになります。
②許可行政庁において申請の内容を審査。
③許可行政庁から個人事業主Yに対して認可もしくは不認可について通知。
認可の申請をした場合、認可・不認可の通知があるまでは、相続人は建設業許可を受けたものとして取り扱われるため、空白期間なく建設業許可を承継することができます。
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