栃木県宇都宮市で障害福祉サービス事業者指定申請を取り扱っているカミーユ行政書士事務所です。
今回のテーマは「就労継続支援B型の運営」について解説をしていきたいと思います。
就労継続支援B型のサービスを立ち上げるときにクリアすべき点はどのようなものでしょうか。
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法人基準
開業する際には法人でなければいけません。
法人の種類に関しては、株式会社・合同会社・NPO法人・一般社団法人、特定非営利活動法・社会福祉法人等いずれの法人でも問題はありません。
ただし、どの法人でも法人定款等に「障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス」等と記載することが必要です。
人員基準
就労継続支援B型の事業所を開業・運営するには人員配置基準を守った人員の配置をしなければ開業時には指定はとれませんし、開業後にもサービス提供職員欠如減算(人員欠如減算)などの報酬の減算となってしまいます。
就労継続支援B型の人員配置には2パターンの人員配置基準があります。
- 従業者配置 7.5:1
- 従業者配置 10:1
従業者配置7.5:1の場合は、利用者7.5人に対して、従業者(職業指導員、生活支援員)1人の配置が必要です。
従業者配置10:1の場合は、利用者10人に対して、従業者(職業指導員、生活支援員)1人の配置が必要です。
「従業者配置7.5:1」と「従業者配置10:1」の違いは、利用者に対する従業者の配置だけでなく、事業所が受けとる報酬(訓練等給付)単価にも違いがあります。
<従業者配置7.5:1の場合の報酬単位(就労継続支援B型サービス費Ⅰ>
平均工賃月額 利用定員 | 4万5千円 以上 | 3万5千円以上 4万5千円未満 | 3万円以上 3万5千円未満 | 2万5千円以上 3万円未満 | 2万円以上 2万5千円未満 | 1万5千円以上 2万円未満 | 1万円以上 1万5千円未満 | 1万円 未満 |
20人 以下 | 702単位 | 672単位 | 657単位 | 643単位 | 631単位 | 611単位 | 590単位 | 560単位 |
21人以上 40人以下 | 625単位 | 598単位 | 584単位 | 572単位 | 551単位 | 541単位 | 525単位 | 504単位 |
41人以上 60人以下 | 586単位 | 562単位 | 549単位 | 537単位 | 518単位 | 508単位 | 493単位 | 473単位 |
61人以上 80人以下 | 576単位 | 552単位 | 539単位 | 527単位 | 508単位 | 498単位 | 484単位 | 464単位 |
81人 以上 | 557単位 | 533単位 | 521単位 | 510単位 | 491単位 | 482単位 | 468単位 | 448単位 |
<従業者配置10:1の場合の報酬単位(就労継続支援B型サービス費Ⅱ)>
平均工賃月額 利用定員 | 4万5千円 以上 | 3万5千円以上 4万5千円未満 | 3万円以上 3万5千円未満 | 2万5千円以上 3万円未満 | 2万円以上 2万5千円未満 | 1万5千円以上 2万円未満 | 1万円以上 1万5千円未満 | 1万円 未満 |
20人 以下 | 640単位 | 613単位 | 599単位 | 586単位 | 565単位 | 554単位 | 538単位 | 516単位 |
21人以上 40人以下 | 571単位 | 547単位 | 534単位 | 523単位 | 504単位 | 494単位 | 480単位 | 461単位 |
41人以上 60人以下 | 529単位 | 507単位 | 495単位 | 485単位 | 467単位 | 458単位 | 445単位 | 427単位 |
61人以上 80人以下 | 519単位 | 497単位 | 485単位 | 475単位 | 458単位 | 449単位 | 436単位 | 418単位 |
81人 以上 | 501単位 | 480単位 | 468単位 | 459単位 | 442単位 | 434単位 | 421単位 | 404単位 |
※令和3年度の障がい福祉報酬改定によって、就労継続支援B型サービス費Ⅲ(従業者配置7.5:1)と就労継続支援B型サービス費Ⅳ(従業者配置10:1)という報酬区分が新設されましたが、従業者配置7.5:1の方が単価は大きくなっています。
新規で就労継続支援B型を開設される事業所様も、報酬単価の高い「従業者配置7.5:1」の方で指定申請する場合がほとんどのようです。
管理者
常勤1人。
事務所の従業者及び業務の管理、その他の管理的業務を一元的に行います。
管理業務に支障がない場合は他の職務の兼務が可能です。
サービス管理責任者
個別支援計画の作成、従事者に対する技術指導等のサービス内容の管理、他事業や関係機関との連絡調整等を行います。
- 利用者数60以下:1人以上
- 利用者数61以上:1人に、利用者数が60人を超えて40又はその端数を増すごとに1人を加えて得た数以上
※サービス管理責任者は、1人以上は常勤であること。
職業指導員及び生活支援員
職業指導員は、障害をお持ちの方でも力が発揮できるように実際に一緒に仕事をしながら技術指導などを行います。
生活支援員は、身の回りの支援から創作・生産活動まで、生活に密着しながら障がいをお持ちの方の自立をサポートします。
常勤換算で、利用者数を7.5 or 10( 従業者配置7.5:1の場合は「7.5」、従業者配置10:1の場合は「10」 )で除した数以上
職業指導員 1人以上
生活支援員 1人以上
※職業指導員と生活支援員のうち1人以上は常勤であること。
就労継続支援B型の人員配置基準の考え方
就労継続支援B型の人員配置には、「従業者配置7.5:1」と「従業者配置10:1」の2パターンがあることを解説しましたが、これは「利用者数」に対しての「従業者数」が7.5:1の配置割合になるか10:1の配置割合になるかどうかの違いです。
そして、ここでいう「利用者数」は、原則として「前年度の利用者数」のことをいいます。
ただ、新規で指定をとった場合は「前年度(前年4月1日~翌年3月末日)」の実績がまだありませんので、「前年度」の実績ができるまでは、以下のような方法で「利用者数」を計算することになります。
- 指定時から6ヶ月未満の実績しかない
利用定員の90%
- 指定時から6ヶ月以上1年未満の実績ができた
直近6ヶ月間の「延利用者数」÷直近6ヶ月間の「開所日数」
- 指定時から1年以上の実績ができた
直近1年間の「延利用者数」÷直近1年間の「開所日数」
- 指定時から1年以上経過し、前年度(前年4月1日~翌年3月31日)の実績ができた
前年度(前年4月1日~翌年3月31日)の「延利用者数」÷前年度(前年4月1日~翌年3月31日)の「開所日数」
以上のように、就労継続支援B型の人員配置では、「利用者数」を計算してから、職業指導員や生活支援員の人員配置を考えることになります。
設備基準
施設を運営する際の設備配置基準としては、以下の通りとなります。
- 訓練指導室:サービス提供時に支障が出ない広さの室内を確保する。また、利用者の人数やニーズに合わせた機械や器具を備えていること。
- 相談室:机は最低1卓以上、椅子は最低4脚以上を備えること。また、相談室についてはプライバシーを確保できる空間であることが必要。
- 多目的室:多目的室に関しては、相談室と兼用することを認める。
- 洗面所、トイレ:利用者の特性にあわせた構造になっていることが必要。また、洗面所に関しては必ずトイレと独立したものである必要があり、兼用は不可である。
- 事務室:職員が業務を遂行するにあたり問題のないスペースを確保し、かつ備品を整えていることが必要である。
運営基準
運営にあたり必要とされる基準として、他には以下のような項目が挙げられます。
開設を考えている各自治体に事前に確認を取り、情報の漏れがないようにしておきましょう。
- 事業の目的と運営方針
- 営業日と営業時間
- 利用定員
- サービス利用にあたっての注意事項
- 災害対策
- 緊急時等の対応策
- 虐待防止のための措置に関する事項
- その他運営に関する重要事項 など

工賃額が決まる仕組み
工賃は「障害福祉サービス費等報酬以外の収益から必要経費を抜いたものを財源」とし、それを「事業所ごとの工賃支払基準に基づいて」支払われます。
つまり作業や販売などを行って得たお金を財源として、事業所が定めた基準に沿って支払われるということです。
事業所の収益は大きく分けて2つ
この話をするときの大前提として覚えておきたいのが、事業所の収益の種別についてです。
大きく分けて2つに区別されるのですが、以下のように分けられます。
障害福祉サービス費等の報酬による収益
作業・販売活動等で得られる収益
本来はもっと複雑なのですが、今回はわかりやすいように2つに分けました。
更にわかりやすくすると以下の2つに置き換えられます。
- 障害福祉サービスを事業所が提供して得た収益
- 利用者が働いて得た収益
こんなふうに置き換えるとわかりやすいと思います。
工賃の財源はあくまでも利用者の得たお金
工賃の支払いにあたっては、純粋に利用者が働いて得たお金をもとに支払うこととなっています。
つまり先に2つに区分したものの②にあたるお金だけが財源です。
そのため、事業所が支援をして得たお金は(①の収益)は財源にできません。
これは障害福祉サービス費等の報酬は、あくまでも「支援のために必要な経費に当てるために支払われているものだから」という考え方なので財源にできないです。
サービスに必要なお金→障害福祉サービス費等の報酬から払う
工賃に必要なお金→利用者が働いて得たお金から支払う
このような仕組みになっています。
経費は引かれる
仕事を受注する段階で事業所に支払われるお金は決められ、例としては「〇〇の作業をすべてやって3万円」といったような形で作業を受注することが多いんじゃないかと思います。
ただ、その作業をしたからといって利用者が3万円を全額もらえるわけではないわけです。
例えばセロハンテープが必要だとかゴムが必要であるとか、作業に必要なものは購入するので必要経費として受注したお金からちゃんと引かないといけませんよね。
必要経費を引いた分の金額、それが純粋に利用者が作業して得たお金になるんです。
いかがでしたか?
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