奈良県奈良市、橿原市、生駒市等で個人開設クリニックの医療法人設立や一般社団法人での分院開設をサポートさせて頂いておりますカミーユ行政書士事務所です。
当事務所では最短のスケジュールで申請サポートをさせて頂いており、許可取得率100%となっております。
全国対応にて医療法人や一般社団法人のクリニックの開業サポートを行っています。神奈川、埼玉、千葉、福岡など全国どこでも対応していますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
弊所では東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、兵庫県、大阪府、福岡県、沖縄県、熊本県など対応実績が豊富にございます。
医療法人とは?
医療法人は病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設または介護医療院の開設を目的として設立される法人です。
これは医療法第39条で定められています。
医療法人の趣旨は「医業の主体を私人から法人に変更することで、医療体制の確保を図ると共に、資金の集積を容易にする」というものです。
医療の安定的普及および高度化を図って、国民の健康維持に寄与することを目指します。
医療法人においてクリニックを所有・経営するのは、院長個人ではなく法人格となります。
そして、医療法人は「非営利法人」なので、クリニックの資産や事業で得た収入は、院長や理事長であっても自由に使えない点が個人開業医との大きな違いです。
ただし、非営利性を前提にしているといっても、利益を上げること自体は否定されていません。禁止されていることは「余剰金の配当」です。
その他の違いも表形式でまとめたので、一緒にご確認ください。
個人開業医 | 医療法人 | |
開設条件 | 各種届出の提出のみ | 都道府県知事の認可が必要 |
開設数 | 1ヶ所のみ | 分院などの開設が可能 |
業務範囲 | 病院・診療所 | 病院・診療所・介護医療院など |
登記 | 不要 | 必要 |
決算日 | 12月31日 | 1年以内で自由に設定可能 |
決算書 | 不要(青色申告書は必要) | 必要 |
役員報酬 | なし(利益の一部が院長の収入) | 1年固定で自由に設定可能 |

医療法人設立の要件は?
医療法人設立の要件は、大きく分けると人的要件や資産要件などがあります。
(1)資産要件
① 開設する診療所(病院・介護老人保健施設・介護医療院)に必要な施設、設備又は資金(設立初年度の医業費用の2か月分以上が目安)を有することが必要です。(設立直後は財務体質が不安定になるため、極端な過小資本の場合、債務超過に陥るおそれがあります。一定程度の資本(純資産)を確保してください。)
② 施設又は設備は法人が所有することが望ましいですが、賃貸借契約による場合でも、当該契約が長期間にわたるもので、かつ、確実なものであると認められる場合は差し支えありません。(賃貸借契約書や覚書の提出が必要です。)
③ 医業未収金(社保、国保等未振込分)及び医療機器等については、医業の継続性の観点からなるべく拠出してください。
(2)社員
人の集合体である社団としての医療法人を設立する場合、その社団法人の社員は3名以上としてください。
(3)役員
① 役員として、理事3名以上、監事1名以上を置くことが必要です。 ② 理事のうち1名は理事長とし、医師又は歯科医師のうちから選出してください。 ③ 理事のうち1名以上は、理事長と親族関係にない第三者理事を選出してください。
(4)役員の欠格事項
次のいずれかに該当する者は、医療法人の役員になれません。
また、監事は、当該法人の理事又は職員を兼ねることはできません。
① 精神の機能の障害により職務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者 ② 医療法、医師法、歯科医師法その他医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者 ③ 前号に該当する者を除くほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
(5)役員及び社員として適当ではない者
次のいずれかに該当する者は、役員・社員として適当ではありません。
① 設立しようとしている法人と取引関係にある営利法人の役職員(関連会社・MS法人の役職員、顧問税理士等)
② 監事については、
ア.法人化しようとする診療所等の会計処理に携わる者 イ.理事と親族関係にある者 ウ.拠出している社員
③ その他、役員及び社員としての職務遂行上支障があると思われる者
(6)その他の要件
- クリニックの土地・建物は医療法人が所有していることが望ましい
- 賃貸借契約の場合、長期間の契約(10年以上)であれば認められる
なお、医療法人の経営は長期安定的であることが求められるので、都道府県によっては個人としての開業実績が要件となるケースもあります。
最初から医療法人を設立しての診療所開設も不可能ではありませんが、個人経営のクリニックで実績を積んでから法人化するのが一般的です。

医療法人設立のスケジュールは?
医療法人設立のスケジュールは下記のようなスケジュールで行われます。
①定款・寄附行為(案)の作成
②設立総会の開催
③設立認可申請書の作成
④設立認可申請書の提出(仮申請)
⑤設立認可申請書の審査
⑥設立認可申請書の本審査
⑦医療審議会への諮問
⑧答申
⑨設立認可書交付
⑩設立登記申請書類の作成・申請
⑪登記完了(法人設立)
⑫保健所で診療所開設許可申請
⑬保健所で診療所開設届
⑭厚生局で保険医療機関指定申請
なお、各自治体によって手続きの詳細や所要時間、必要書類等が異なる場合があるため、地元の役所や関連機関への確認が重要です。
当事務所では可能な限りスケジュールを同時並行で進めますので短縮化が可能です。
医療法人設立の注意事項は?
医療法人設立の際の注意事項について見ていきたいと思います。
①基金制度(拠出)について
社団の医療法人の設立に当たって、当該医療法人の設立後の安定的な運営を確保するものとして、基金制度が設けられました。
「基金」とは、社団医療法人に拠出された金銭その他の財産であって、当該医療法人が拠出者に対して、定款の定めるところに従い返還義務(金銭以外の財産については、拠出時の当該財産の価額に相当する金銭の返還義務)を負うものです。
この「基金制度」は、剰余金の分配を目的としないという医療法人の基本的性格を維持しつつ、その活動の原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図る制度として、平成19年4月の医療法改正により設けられました。
②債務の引継ぎについて
現物拠出(寄附)財産を取得した時に発生した負債は、医療法人に引き継ぐことができます。
ただし、運転資金に係る金銭拠出(寄附)に要した費用については、医療法人に引き継ぐことができません。
なお、負債を法人に引き継ぐ場合は、債権者の承認及び根拠資料が必要です。
※ 事前審査の結果により、適当でないと判断される場合には、負債の引継ぎが認められないことや、当初予定していた引継額から減額となることがあります。
③医療法人の名称について
医療法人社団 ○○会 《一般的な形式 「社団」「財団」の区別を表示》
名称については、県内における類似名称の使用を避けるため、事前に使用の可否の確認が都道府県庁より行われます。
また、診療科名を単独で名称に用いたり、誇大な名称等は使用できません。
医療法人設立のメリットは?
医療法人化の6つのメリットについて解説します。
①個人よりも節税効果が高い
個人事業主と医療法人は、所得税にかかる税率が大きく異なります。
個人事業主には、超過累進税率によって計算された税金が課せられます。
税率は所得金額に応じて5%から45%まで大きな幅があります。

一方、医療法人化した場合の税率は下記の通りです。
【医療法人の税率表】
医療法人の場合、税率は800万以下か超かの2種類に分かれます。

税率は最大でも23.2%のため、所得が1,800万円以上の場合は、住民税を合わせても約31%に抑えられます。
②複数の医療施設を経営できる
複数の医療施設を経営したいと考えている場合は、医療法人化が必須です。
個人事業主の場合は、原則として1ヵ所のみでの経営しか許可されていません。
そのため、将来的に分院の設立や介護事業施設などの事業展開を視野に入れている場合は、法人化する必要があります。
③融資を受けやすくなる
医療法人は、個人事業主よりも社会的信用性が高い業態です。そのため、金融機関からの融資を受けやすくなることもメリットです。
医療法人化のためには、多くの書類を準備し、厳格な審査に合格する必要があります。
したがって、医療法人化している病院は「細かい財務や管理業務をしっかり行っている」と見なされるため、融資の審査が通りやすくなるのです。
④優秀な人材を確保しやすくなる
上段とも関係していますが、社会的信用性の向上は採用時のメリットにもなります。
応募者が増えるため、優秀な人材を確保しやすくなるのです。
さらに、分院をはじめとする事業展開を行っている場合は、優秀な人材のライフステージやキャリアにフレキシブルに対応できます。
そういった人材がベテランとして長く勤務することで、若手も採用しやすくなります。
また、地域住民からの高評価にも繋がるため、重要なポイントです。
⑤事業承継・相続がしやすくなる
日本社会全体で課題となっている事業承継問題は、医療業界にもあります。
そのため、少しでも簡単に事業承継や相続を行えることが求められます。
医療法人の場合は、この事業承継等をする際のタスクや負担が少ないことがメリットです。
【医療法人の場合】
理事長を変更すれば完了する。
【個人事業主の場合】
・管理者及び開設者を変更する。
・賃貸借契約や医療設備等の名義も変更する。
・譲渡する場合は一度廃院届を提出し、新院長が引き継いだ上で新たに開設届を提出する。
・雇用契約や保健所等への許認可などが引き継がれないため、再度締結や申請が必要になる。
・親族への贈与・相続の場合、次の院長に対して贈与税・相続税がかかる。
上記のように、事業承継と相続にかかるタスクがまるで異なります。
そのため、将来親族に継承する予定の方は、事前に法人化することをおすすめします。
⑥退職金を受け取れる
個人事業主の場合は、退職金が受け取れません。
万が一の場合や事業承継の際にも退職金がないことは、個人事業主のデメリットの一つです。
それに対して、医療法人の場合は本人や遺族が退職金を受け取ることができます。
いかがでしたか?
お聞きしてみたいことがございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。