化粧品製造販売業許可取得ガイド:要件から手続き、流れまで完全解説

兵庫県西宮市/神戸市の化粧品製造販売業許可等の薬機法を専門にしているカミーユ行政書士事務所です。

弊所では大阪、東京、福岡、神奈川、栃木など全国各地の対応を行っています。

化粧品製造販売業許可などの薬機法の許可申請は難易度が高いのですが専門家は少ないという現状がございます。

スピーディーに許可の取得をサポートさせて頂きます。

化粧品業界に参入し、製造から販売までを手掛けるには「化粧品製造販売業」の許可が必要です。

この許可は、化粧品の品質と安全性を確保し、消費者に信頼できる製品を提供するために重要なものです。

この記事では、化粧品製造販売業許可を取得するための要件、手続き、流れ、スケジュールについて詳細に解説していきます。

目次

1. 化粧品製造販売業許可とは?

化粧品製造販売業許可とは、化粧品を製造し、かつ販売するために必要な法的な許可です。

化粧品の製造には、品質管理、製造工程の適正化、そして製品が消費者に提供される際の安全性確保が求められます。

この許可を取得することで、製造から販売までの全てのプロセスを法的に正しく運営することができ、信頼性の高い製品を市場に供給することができます。

化粧品製造販売業許可とよく似た名称で、化粧品製造業許可があります。

化粧品製造販売業許可は、自社ブランドで化粧品を出荷をするために必要な、都道府県知事から与えられる許可です。

ただしこの許可では、梱包・ラベルの貼り付けをすることができません。

一方、化粧品製造業許可は、化粧品を作るために必要な都道府県知事の許可です。

こちらの許可を取得することで、梱包、ラベル添付などが可能になりますが、化粧品製造業許可だけでは、市場へ出荷して販売することができません。

化粧品製造業許可には、2つの区分があります。1つは、化粧品の製造工程すべての工程を行うことができる「一般区分」、もう1つが、包装・表示・保管のみを行うことができる「包装等区分」です。

製造から販売までを考えている場合、化粧品製造業許可と化粧品製造販売許可の両方を取得する必要があります。

また、製造といっても、化粧品を1から作るのか、オリジナルのラベルの貼り付けだけを行いたいのか、などで必要な許可が変わってくるので、許可取得前に十分に検討することがおすすめです。

申請は、各都道府県知事に行いますが詳細が異なるため、事前に詳細を調べる必要があります。

2. 化粧品製造販売業許可取得の要件

化粧品製造販売業許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

参考:神奈川県HP

2.1. 法的要件

  • 化粧品基準の遵守: 化粧品は薬事法(医薬品、医療機器等の品質、効果、効能に関する法律)に基づく基準を満たさなければなりません。これには、成分の規制や製品の安全性が含まれます。
  • 製造設備の適正化: 製造する化粧品の品質を保つために、製造設備やその管理が適切でなければなりません。これには、設備の衛生管理や製造環境の適正化が含まれます。

2.2. 人員要件

必要な人員としては下記のような人員を配置する必要があります。

1. 品質管理責任者

役割と責任

  • 品質保証: 製品が規定された品質基準を満たすように監視し、品質管理システムを運営します。
  • 品質検査: 製造過程および最終製品の品質検査を実施し、問題が発生した場合には適切な対応を行います。
  • 改善策の実施: 品質に関する問題が発生した場合、原因分析を行い、改善策を講じる責任があります。

資格要件

  • 専門知識: 化粧品の製造に関する専門知識が必要です。具体的には、化学、薬学、または生物学のバックグラウンドが望ましいです。
  • 経験: 品質管理や製造業務において一定の経験が求められます。通常、数年以上の経験が推奨されます。

2. 製造責任者

役割と責任

  • 製造工程の管理: 製造工程が規定された基準に従って行われるように管理します。
  • 設備の維持管理: 製造設備の適切な運用と維持管理を行います。
  • スタッフの指導: 製造スタッフに対して、必要な指導と訓練を提供します。

資格要件

  • 技術的スキル: 化粧品製造に関する技術的なスキルが必要です。具体的には、製造プロセスや装置に関する知識が求められます。
  • 経験: 製造業務における実務経験が必要です。特に化粧品製造に関する経験があると望ましいです。

3. 製品開発担当者

役割と責任

  • 製品開発: 新しい化粧品の開発や既存製品の改良を担当します。
  • 市場調査: 消費者ニーズや市場トレンドを調査し、製品に反映させます。
  • 原材料の選定: 使用する原材料の選定と、それに関する調査を行います。

資格要件

  • 専門知識: 化粧品の成分やその作用についての知識が必要です。化学や薬学の背景が役立ちます。
  • 経験: 製品開発の経験があり、化粧品業界での実績があるとより良いです。

4. 衛生管理責任者

役割と責任

  • 衛生管理: 製造施設の衛生状態を維持し、衛生管理体制を確立します。
  • 衛生教育: スタッフに対して衛生管理の教育と訓練を行います。
  • チェックと監査: 定期的に衛生状態をチェックし、問題があれば改善策を講じます。

資格要件

  • 知識と経験: 衛生管理に関する専門知識と実務経験が必要です。特に製造環境での衛生管理経験があると望ましいです。

5. ラベル表示担当者

役割と責任

  • ラベルの作成: 化粧品のラベルやパッケージの表示内容を作成し、法律や規制に準拠していることを確認します。
  • 規制の遵守: 化粧品に関する表示規制や法律に基づいた正しい情報を提供します。

資格要件

  • 法的知識: 化粧品に関する表示規制や法律に関する知識が必要です。
  • 経験: ラベルやパッケージの作成に関する経験が求められます。

6. サポートスタッフ

役割と責任

  • 一般業務のサポート: 製造プロセスや品質管理、物流などの一般業務をサポートします。
  • データ管理: 製品のデータ管理や記録の保持を行います。

資格要件

  • 基礎スキル: 特別な資格は必要ありませんが、基本的な業務スキルや業界知識があると良いです

化粧品製造販売業の許可取得において、適切な人員配置は非常に重要です。品質管理責任者や製造責任者などの主要な役割を担う人員は、専門的な知識と実務経験が求められます。また、製品開発や衛生管理、ラベル表示など各分野での専門知識を持つ人材を確保することで、製品の品質を維持し、法規制を遵守することができます。

2.3. 施設要件

  • 製造施設の設置: 化粧品製造を行うためには、適切な製造施設を設置する必要があります。これは製造ラインの配置や製品保管場所の管理を含みます。
  • 品質管理区域: 製造過程での品質管理区域を設け、製品の品質が保たれるように管理します。

2.4. 経営要件

  • 安定した経営基盤: 製造から販売までを安定的に運営するための経営基盤が求められます。これには資本や経営計画が含まれます。
  • 法的遵守: 製造販売業の許可を維持するためには、法的な規制を遵守し続けることが求められます。

3. 化粧品製造販売業許可取得の手続き

化粧品製造販売業許可を取得するための手続きは、以下の通りです。

3.1. 申請書類の準備

  • 申請書: 化粧品製造販売業の申請書を記入します。申請書には、事業内容や製造施設の詳細などを含める必要があります。
  • 事業計画書: 製造から販売までの事業計画書を提出します。ここには製造プロセス、品質管理の方法、販売戦略などが含まれます。
  • 施設の図面: 製造施設のレイアウトや設置状況を示す図面を用意します。
  • 必要な証明書: 代表者の身分証明書、法人の登記簿謄本など、必要な書類を用意します。

3.2. 申請先と提出方法

  • 申請先: 化粧品製造販売業の許可申請は、各都道府県の保健所や厚生労働省の担当部署に提出します。地域によって異なるため、事前に確認が必要です。
  • 提出方法: 申請書類は、郵送または直接持参することが一般的です。一部の地域ではオンライン申請が可能な場合もあります。

3.3. 審査プロセス

  • 書類審査: 提出された書類が審査されます。必要な情報が不足している場合、追加書類の提出が求められることがあります。
  • 現地調査: 審査の一環として、製造施設の現地調査が行われることがあります。施設の状態や管理方法がチェックされます。
  • 審査結果通知: 審査結果が通知され、許可が下りると、許可証が交付されます。

4. 化粧品製造販売業許可取得の流れ

化粧品製造販売業許可取得の流れは、以下の通りです。

4.1. 準備段階

  1. 事業計画の策定: 化粧品製造から販売までの詳細な事業計画を作成します。
  2. 施設の整備: 製造施設の設置や必要な設備の整備を行います。
  3. 人員の配置: 必要な専門職やスタッフの配置を行い、教育を実施します。

4.2. 申請段階

  1. 書類の準備: 申請に必要な書類を整えます。
  2. 申請の提出: 申請書類を所定の機関に提出します。
  3. 審査の対応: 審査中に必要な追加情報や書類の提出に対応します。

4.3. 許可取得後の対応

  1. 許可証の受領: 許可証を受領し、正式に製造販売業を開始します。
  2. 定期的な確認: 許可条件の遵守状況を定期的に確認し、必要な改善策を講じます。

5. 化粧品製造販売業許可取得のスケジュール

化粧品製造販売業許可取得にかかるスケジュールの目安は以下の通りです。

5.1. 事前準備期間

  • 事業計画の策定: 約1〜2ヶ月
  • 施設の整備: 約2〜4ヶ月
  • 人員の配置: 約1〜2ヶ月

5.2. 申請から許可取得まで

  • 申請書類の準備と提出: 約1ヶ月
  • 審査期間: 約2〜4ヶ月(地域によって異なる)

5.3. 許可取得後の手続き

  • 許可証の受領: 申請から約4〜6ヶ月後
  • 運営の開始: 許可取得後、製造販売業としての運営を開始します。

6. よくある質問(FAQ)

Q1: 化粧品製造販売業の許可はどのくらいの期間有効ですか?

A1: 化粧品製造販売業の許可は、原則として5年間有効です。許可期間満了後には、更新手続きが必要です。

Q2: 化粧品製造販売業の許可取得には費用がかかりますか?

A2: 許可取得には、申請手数料や施設の整備費用がかかる場合があります。具体的な費用は地域や申請内容によって異なるため、事前に確認することをお勧めします。

Q3: 許可取得後、製品の品質管理はどのように行うべきですか?

A3: 許可取得後は、製品の品質を維持するために、定期的な品質チェックや内部監査を実施し、適切な管理体制を維持する必要があります。また、消費者からのフィードバックや苦情にも対応し、改善策を講じることが重要です。

Q4: ネットショップで化粧品を販売する場合も製造販売業の許可が必要ですか?

A4: はい、ネットショップで化粧品を販売する場合も製造販売業の許可が必要です。オンライン販売でも、製造と販売に関する規制や基準を遵守する必要があります。

7. まとめ

化粧品製造販売業の許可取得は、製品の品質と安全性を保証し、法的に正しく運営するための重要なステップです。以下の主要なステップを踏むことで、スムーズに許可を取得し、事業を開始することができます:

  1. 要件の確認: 法的要件、人員要件、施設要件、経営要件を確認し、準備を整えます。
  2. 申請書類の準備: 申請書類を整え、申請先に提出します。
  3. 審査の対応: 審査プロセスに対応し、必要な情報を提供します。
  4. 許可取得後の対応: 許可証を受領し、事業を開始します。許可条件の遵守と定期的な確認を行います。

化粧品製造販売業の成功には、法的要件の遵守だけでなく、消費者の信頼を得るための品質管理や顧客対応も不可欠です。しっかりとした準備と計画的な進行で、安心して化粧品製造販売業を営むことができるでしょう。

このガイドが、化粧品製造販売業の許可取得に向けた手続きや流れを理解するための参考となれば幸いです。

さらに詳しい情報が必要な場合や、個別の相談が必要な場合は、当事務所にお問い合わせ下さい。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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