富山県富山市、高岡市、射水市等の非営利型一般社団法人で美容外科クリニックや健診クリニック、歯科などの開業サポートを行っているカミーユ行政書士事務所です。
当事務所では全国対応にて医療法人や一般社団法人のクリニックの開業サポートを行っています。神奈川、埼玉、千葉、福岡など全国どこでも対応していますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
弊所では東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、兵庫県、大阪府、福岡県、沖縄県、熊本県など対応実績が豊富にございます。
一般社団法人とは?
一般社団法人とは、平成20年12月に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(一般法人法)、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(公益認定法)、「施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(整備法)のいわゆる公益法人制度改革関連三法の改正により創設された営利を目的としない法人格です。
前述の法改正により一般社団法人と一般財団法人という2つの一般法人が設立可能となりました。
一般社団法人と一般財団法人との違いは、一般社団法人が人(社員)の集まりであるのに対し、一般財団法人は財産の集まりであるため、設立時に一定の財産(基金)を拠出する必要があります。
一般社団法人、一般財団法人の設立は以下の方法により行うことができます。
■一般社団法人設立までの流れ
①定款を作成し、公証人の認証を受ける
②設立時理事の選任を行う
③設立時理事が設立手続きの調査を行う
④設立時理事もしくは設立時代表理事が法定期限内に管轄の法務局へ設立登記申請を行う
■一般財団法人設立までの流れ
①定款を作成し、公証人の認証を受ける。
②設立者が財産(価額300万円以上)の拠出の履行を行う。
③定款の定めに従い、設立時評議員、設立時理事、設立時監事の選任を行う。
④設立時理事及び設立時監事が設立手続の調査を行う。
⑤設立時代表理事)が法定期限内に管轄の法務局へ設立登記申請を行う
また一般社団法人のなかから公益性の認定を受けた法人は公益社団法人になることができ、公益社団法人になると税制上の優遇を受けることができます。
一般社団法人は営利を目的としない法人ですが、ここでいう非営利は剰余金を配当できないということであって、事業で利益を上げてはいけないということではありません。
また毎期決算ごとの配当はできませんが、解散時に残余財産を分配することは可能であり、この点は出資持分無し医療法人と大きく異なる点です。
一般社団法人の定義や特徴は?
一般社団法人は、非営利目的で設立される法人形態です。
特定の目標を持つ集団に法人格を与え、比較的簡単な手続きで設立できる点が特徴です。
一般社団法人は「一般社団法人および一般財団法人に関する法律」に基づいて設立されます。
法務局への登記のみで成立するため、都道府県などの認可は不要です。
そのため、迅速に法人格を取得できます。
一般社団法人の大きな利点は、事業内容に制限がないことです。
これにより、社会問題の解決を目指すソーシャルビジネスなど、幅広い分野での活動が可能になります。
ただし、一般社団法人では利益を社員や構成員に分配できません。営利企業とは異なる形で社会に貢献する組織として、柔軟な運営が可能です。


一般社団法人と医療法人の違いは?
ここまで一般社団法人による特徴や定義などについてお伝えしてきました。
次は一般社団法人と医療法人社団との違いについてみていきたいと思います。
まず医療法人社団を設立する際は、都道府県の認可を受ける必要があります。
医療法人設立は事前協議から認可まで半年程度の時間が必要となり、また、いつでも申請できるわけではなく、行政が定めた年2回のスケジュールに沿って申請する必要があります。
その一方、一般社団法人は前述の通り、定款の作成及び役員を選任し、法務局へ登記申請をするだけで法人を設立することができます。
医療法人社団と比較し設立の手続きが容易であるといえます。
また、医療法人は医療法に定められた行政への事業報告義務(年1回)や業務制限(医療、介護事業は行うことができない)に加え、分院を開設するとき、施設名称を変更するとき、移転するときなど、その都度行政に定款変更認可を受ける必要があります。
一般社団法人ではこうした規制を受けることはありません。
一般社団法人と医療法人社団の違いを以下の表にまとめました。
■一般社団法人と医療法人社団の比較
一般社団法人 | 医療法人社団 | |
設立 | 登記のみ | 都道府県の認可及び登記 |
病院、診療所開設 | 保健所の許可 | 保健所の許可 |
申請時期 | 制限なし(随時可能) | 年2回 |
設立までの時間 | 要件なし | 概ね半年程度 |
拠出金 | 要件なし | 都道府県ごとに制限あり |
理事長要件 | 要件なし | 医師又は歯科医師 |
業務制限 | 制限なし | 制限有り (医療、介護など付帯業務のみ可能) |
社員 | 1人以上 | 3人以上 |
役員 | 1人 | 理事3人、監事1人以上 |
利益剰余金の分配 | 不可 | 不可 |
こうしてみると一般社団法人の方が医療法人社団よりも自由度が大きいということがご理解いただけると思います。
医院継承という観点でみると、医院継承に伴う医療法人の定款変更(分院開設、施設名称の変更など)が不要になるということは、手続きが大幅に簡素化されますので迅速に分院化することができます。
一般社団法人で医療機関を開設する場合のメリット・デメリットは?
メリットの多い一般社団法人ですが、勿論デメリットもあります。
双方をしっかり把握して正しく活用しましょう。
一般社団法人のメリット
①医療法人で開設する場合に比べ、登記のみで設立することができ、都道府県の認可が不要なので、スピーディーに開設することができる
②医療法上の医療法人ではないので、医療法人に課されているいろいろな規制を受けない
※医療法人に対する規制 ① 設立時、分院申請時等の定款変更の認可 ② 毎年の純資産登記、事業報告の義務 ③ 医療介護以外の業務ができない業務制限 ④ 資産運用の制限(不動産投資。株式投資等不可) ⑤ 理事長の医師歯科医師要件
③一般社団法人で設立した後、公益法人になれば税制上のメリットが非常に大きい
④公益法人の場合、公益事業に対する利益に対しては、法人税・法人住民税・法人事業税が非課税になる
⑤個人に多額の借入金があり、医療法人化が難しい医療機関も、一般社団法人ならば自由に借入金の引継ぎが可能
⑥医療法人の場合、代表者は医師または歯科医師で、事業範囲は、医療介護に限られるが、一般社団法人の場合代表者の医師歯科医師要件はなく、目的を変えれば医療以外の事業も自由にできるので法人としての自由度が高い
⑦新規開業時から法人化したい場合、医療法人だと認可に6ケ月間もかかるのと、新規開業での法人化を認めていない都道府県が多いので、事実上難しい
⑧一般社団法人の場合は、登記のみですぐに設立できるので、新規開業時からの法人化が可能
⑨一般社団法人には持分がないので、一般社団法人の財産には一定の条件(※)を満たせば、相続税がかからない
※相続税が課税されないための一定の条件:同族役員(理事)の数を全役員の1/2以下にする
一般社団法人のデメリット
①保健所の開設許可申請にあたっては前例が少ないので、初めから断られたり、開設許可に時間がかかる可能性がある。
②営利型の一般社団法人(役員の親族割合1/3超)になった場合、保険収入に対する所得に対しての事業税の非課税の規定が適用されない
③役員の親族割合が1/2超になった場合、理事の相続発生時に一般社団法人の財産に対して相続税がかかる
④一般社団法人が開設する診療所の数が増えてきた場合医療法人と同等の規制がかかる可能性がある
一般社団法人でのクリニックの開設手順は?
一般社団法人のクリニック開設・診療所開設の場合は、はじめに法務局へ法人設立登記を行い、つぎに保健所から開設許可をいただき、その後保健所へ開設届を行います。
保険診療を行う場合には厚生局へ指定申請も行います。
当事務所では法人設立と診療所開設許可を並行して進めることにより期間短縮に努めてます。
実際にはより詳細な作業や要件が求められる場合があります。正確かつ最新の情報を得るため、地元の保健所や関連機関に直接相談し、具体的な指示を受けることをおすすめします。

保健所の許可を得るための審査のポイントですが、非営利性が徹底された法人であることです。
具体的には、下記の事項を留意するようにしましょう。
現在の医療法では、特定の法人を病院、診療所の開設者から排除する規定は設けられておらず、営利を目的とした病院、診療所の開設を規制するにとどまります。
そうしたなか、平成20年12月の「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の施行に先立ち、厚生労働省より平成19年3月30日に「医療法人以外の法人による医療機関の開設者の非営利性の確認について」(医政総発第0330002号)という通知が出されました。
【医療法人以外の法人による医療機関の開設者の非営利性の確認について】
一般社団法人による病院、診療所の開設を規制するものではないが、開設主体となる一般社団法人の非営利性を厳正に確認、審査したうえで開設許可を出すようにということです。
一般社団法人による病院、診療所の開業実績はまだ少なく、病院、診療所の多くは個人医師もしくは医療法人社団であるということです。
前述のとおり、現在の医療法において一般社団法人での開設を制限する規定はありませんが、病院、診療所を開設するには保健所の許可が必要です。
まだ前例が少ない一般社団法人での病院、診療所の開設は、都道府県によって保健所の許可が下りなかったり、許可までに時間がかかったりするケースもあります。
行政は前例のないことを許可する場合、それは新しい前例をつくることを意味しますので慎重になります。
開設しようとする保健所で過去に一般社団法人による病院、診療所の開設許可を出した前例があれば、スムーズに許可が下りる可能性が高いと考えますが、前例がない場合、スムーズに許可が下りない可能性もあります。
病院、診療所を開設する段階になって、保健所の許可がおりないという事態を避けるためには、予め保健所と事前協議を行う、もしくは一般社団法人による病院、診療所を開設した経験がある当事務所へ依頼されることをお勧めします。
いかがでしたか?
お聞きしてみたいことがございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。