クリニックや歯科医院の分院開設展開の重要ポイントや手続きの流れは?

兵庫県西宮市のクリニックや歯科医院の分院開設展開などの医療法務を専門に行っているカミーユ行政書士事務所です。

今回はリニックや歯科医院の分院開設展開の重要ポイントや手続きの流れについて解説をしていきます。

当事務所では芦屋市、宝塚市、吹田市、豊中市など兵庫や大阪の近隣は勿論、福岡や仙台、東京など全国対応を行っております。

お気軽にお声がけください。

この記事では 診療所を1か所開設しているいわゆる一人医師法人が、 同一 都道府県内に2か所以上の診療所 (いわゆる分院) を追加開設する場合を 例にとり、 一連の許認可手続の手順について、 実務の視点から確認してい きます。

目次

分院設立のための事前準備

いきなり分院を作ることはできず、まずは事前準備として下記の事項について見ていきましょう。

管理者について

分院の管理者は、 当然、医師(歯科診療所の場合は歯科医師) であるこ とが要求され、 複数の病院等を開設する法人で都道府県知事の認可を受け た場合を除き、 原則として理事に就任することが要求されます。

理事に就任する場合には定款の変更を行わないといけません。

現行法人の運営状態について

定款変更認可申請以前の問題として、 法人運営に問題があって申請を受 け付けられない場合が散見されます。

最低限、以下の書類が保管されているかにつき確認します。

  • 現行定款
  • 過去の理事会・社員総会等の議事録
  • 毎年の都道府県への事業報告書または決算届、資産総額変更登記後の届 出、役員変更手続等の控え書類
  • 社員名簿、役員名簿
  • 過去に定款変更がある際は申請書等の控え

今回の定款変更認可を申請するに当たり、 過去の決算届や役員変更届等 に未提出または手続き未了のものがあった場合、当然、今回の申請の前提 としてすべて完了することが求められます。

また、 直近の2年間に新規の 法人設立または定款変更等があり、 その際に2年間の事業計画を都道府県 に提出している場合、天変地異等のやむを得ない事情がある場合を除き、 その2年間が終了するまでは事業計画の変更を認めないとする都道府県がありますので、 法人のこれまでの履歴を確認することも重要です。

分院開設のための手続きの手順

それではいよいよ分院開設のための手続き開始です。

まずは定款変更認可申請書の作成からスタートします。

①定款変更認可申請書の作成

定款変更認可申請書の一連のスケジュールはこちらのようになります。

これは埼玉県のケースを元にしています。

添付する書類は膨大なものとなっていますので医療法務専門の行政書士にサポートを依頼することをお薦めさせて頂きます。

②都道府県による定款変更の事前審査

全ての書類が添付書類も含めて入力が完了したら 都道府県提出用と 申請者控えの2部、全く同じものを作成します。

なおこの段階では、 押印は一切せずに、 添付する登記事項 証明書や印鑑証明書類もすべてコピーを添付します。

手元に控えを残し、 所管の都道府県に事前審査用の1部を提出します。

都道府県によっては、 事前に担当者とアポイントメントをとり、 素案を持 ち込んだ際にその場で事前審査をして修正点の確認をする例や、 郵送で素案を送付し、 修正点は FAX またはメールのやり取りで進めるといった例もあります。

都道府県によって対応が異なりますので所管の都道府県に確認しましょう。

③分院の所轄保健所へ診療所開設手続きの事前打診

都道府県への定款変更認可申請の準備が進んできたところで、 次の診療所開設手続に向け、 分院予定地を所轄する保健所に打診します。

こちらは必要書類や準備すべきものの一例ですが膨大な資料が必要となってきます。

特に保健所では建物の構造設備、建物の使用権原、管理者、診療所の名称など項目に沿って確認がなされます。

その上で申請書類に修正が必要な場合には指示がなされます。

④保険医療機関指定申請の事前打診

次に保険診療を行うための保険医療機関指定申請の手続きに移行します。

これを行わないと保険診療が行うことができません。

また受付日程は地区によって異なるので必ず締め切りを確認するようにしましょう。

事前打診を行うのは分院開設予定地を所轄する地方厚生局都道府県事務所となります。

定款の変更認可の状況や管理医師の常勤性に問題はないか、保健所での開設許可申請の状況などについて聞かれることとなります。

⑤都道府県へ定款変更認可申請を行う。

事前審査が完了すると、 電話または FAX等により本申請OK の旨の連絡が入ります。

連絡が入ったら、 速やかに申請書類を以下の 「正」 「副」 「 控」 の要領で整え、 都道府県窓口若しくは本院所在地の保健所等、指定された窓口に申請書類を持ち込むことで本申請します。

申請書類は正副2通を提出し、 認可書と一緒に副本が返却されることが通例ですが、 所轄保健 所を経由しての申請の場合等、提出部数が多くなる場合がありますので、 必ず所管庁に確認してから提出します。

⑥法務局で登記申請を行う。

認可書を受領したら2週間以内に法務局で登記申請を行います。

なお新しい定款の効力発生日は認可書に記載されている都道府県知事の認可日となっています。

登記が完了しましたら登記事項証明書を添付して登記事項届を都道府県知事に提出することとなっています。

⑦保健所での診療所開設許可申請を行う。

定款変更の認可を受けて法務局で登記が完了したところで所轄保健所で診療所開設許可申請を提出します。

③で事前相談した書類を事前に提出しておくとその後の流れはスムーズかと思います。

⑧保険医療機関指定手続きを行う。

医療法に定める診療所開設手続が終了したら、 分院所在地を所轄する地 方厚生局都道府県事務所に保険医療機関としての指定を申請します。

④で記載している分院開設予定地を所轄する地方厚生局都道府県事務所に対して申請を行うこととなります。

いかがでしたか?

約5カ月ほどの時間が掛かる上に用意する資料や書類も膨大なものとなります。

ぜひ当事務所へご相談をされることをお薦めさせて頂きます。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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