医薬部外品製造販売業許可(登録)の取得方法、手続きや要件、スケジュールの完全ガイド

兵庫県や大阪府、東京都などの医薬部外品製造販売業許可を取り扱っているカミーユ行政書士事務所です。

当事務所では全国対応で手続きをサポートさせて頂いております。

本記事では、医薬部外品製造販売業許可(登録)の取得方法、手続きや要件、スケジュールの申請方法などの完全ガイドについて、詳細に解説します。

目次

1. 医薬部外品とは

医薬部外品は、厚生労働省が定義する製品群で、特定の効能を持ちつつ、医薬品ほどの厳しい規制を受けないカテゴリーです。

医薬部外品は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称:医薬品医療機器等法)」で規制されており、国内で製造した物や海外から輸入した物を医薬部外品として、国内の市場へ出荷するためには、医薬部外品製造販売業許可や医薬部外品製造業許可(登録)、医薬部外品製造販売承認の取得等が必要です。

なお、国内の医薬部外品製造販売業者により既に市場流通されている製品について、販売のみ行う場合については、販売に係る許可は不要です。

医薬部外品製造販売業許可:医薬部外品を国内市場に出荷するための許可です。

許可を受けた製造販売業者は製造販売する製品の品質や安全性を確保する責任を負います。

医薬部外品製造業許可(登録):医薬部外品を製造(包装、表示、保管行為を含む)するための許可(保管のみ行う場合、登録でも可)です。

以下の特性を持つ製品が該当します。

特徴

  • 有効成分:医薬部外品は、有効成分を含み、特定の目的に使用されます。たとえば、殺菌作用を持つ成分や美白効果のある成分が含まれています。
  • 効能の範囲:効能には、皮膚の保護、消臭、育毛などがありますが、医薬品のように病気の治療や予防を目的としたものではありません。
  • 製品の例:具体的な製品には、手指消毒剤、日焼け止め、美白化粧品、育毛剤、虫よけスプレーなどが含まれます。

このように、医薬部外品は日常生活において身近なものとなっています。

2. 医薬部外品を製造又は輸入する場合

(1)製造販売業とは

製品を市場に出荷することができますが、この許可では製造(包装・表示・保管のみを行う場合を含む)することはできません。

製造販売業者は、製品についての流通責任を負う者であり、品質だけでなく、安全(情報)についても積極的に収集・分析・評価を行い、必要な措置を逐次講ずることが求められます。

製造販売業許可は、総括製造販売責任者がその業務を行う事務所の所在地を管轄する都道府県知事が与えるものです。

(2)製造業とは

製品の製造(包装・表示・保管のみを行う場合を含む)を行うことができますが、製品を市場に出荷することはできません。

製造業者は、製造販売業者の委託を受け、製品を製造する者であり、該当する区分の製造業の許可(登録)を受けることが必要です。

製造所の所在地を管轄する都道府県知事の許可(登録)が必要です。

医薬部外品製造業は、次の区分に分類されます。

区分内容
無菌区分(1号)無菌医薬部外品(無菌化された医薬部外品をいう)の製造工程の全部又は一部を行うもの(3号区分に掲げるものを除く)
一般区分(2号)無菌医薬部外品以外の医薬部外品の製造工程の全部又は一部を行うもの(3号区分に掲げるものを除く)
包装等区分(3号)1号区分、2号区分の医薬部外品の製造工程のうち、包装、表示、保管のみを行うもの

令和3年8月1日の法改正により、新たに「登録」の制度が設けられました。

「登録」は、製造工程のうち「保管のみ」を行う製造所であって、下記A~Cの条件のすべてに該当する場合のみ対象となります。

A 保管(保管のために必要な検査等を含む。)のみを行う製造所である。

B 包装、表示その他の製造行為又は試験検査(当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して行う場合を含む。)を行う製造所ではない。

C 最終製品(他の製造所に出荷されるものを除く。)の保管を行う製造所ではない。(=市場への出荷を行う製造所ではない。)

※上記A~Cの条件のいずれか一つでも該当しない場合は、「登録」の対象とはならず、「許可」を取得する必要があります。

製造販売業許可は、医薬部外品を合法的に販売するために不可欠です。

(3)外国製造業者認定とは

外国において日本に輸出される医薬部外品を製造しようとする者を外国製造業者といい、 国内製造業者の許可と同様に、外国製造業者が法第13条の3による認定を受けていることが医薬部外品の製造販売承認の要件となります。

外国製造業者認定は、厚生労働大臣(医薬品医療機器総合機構を経由)が与えるものです。

(4)製造販売承認とは

「製造販売承認」は、医薬部外品を製造販売(元売り)するにあたり、原則、品目ごとに取得しなければならないものです(「承認不要医薬部外品基準(平成9年3月24日厚生省告示第54号)」にあてはまる清浄綿を除く)。

製造販売承認は、製造販売業者に対して品目ごとに厚生労働大臣が与えるものですが、基準が定められた品目については、都道府県知事が与えることになります。

(5)製造販売届とは

承認不要医薬部外品を製造販売(元売り)する場合は、あらかじめ品目ごとに製造販売届を提出しなければなりません。

製造販売届は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対して届け出ることになります。

3. 許可申請の対象となる製品

医薬部外品製造販売業許可の対象となる製品は多岐にわたりますが、以下のような製品が代表的です。

医薬部外品とは、次に掲げることが目的とされており、かつ、人体に対する作用が緩和なもので、機械器具等でないもの及び厚生労働大臣が指定するものをいいます。

(1)次の目的を有しており、かつ、人体に対する作用が緩和なものであって機械器具等でないもの

ア 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
イ あせも、ただれ等の防止
ウ 脱毛の防止、育毛又は除毛
エ 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用されるもの

(2)厚生労働大臣の指定するもの

番号 医薬部外品の種類  GMP適用の有無
胃の不快感を改善することが目的とされている物
いびき防止薬
衛生上の用に供されることが目的とされている綿類(紙綿類を含む。) 
カルシウムを主たる有効成分とする保健薬(第十九号に掲げるものを除く。)
含嗽薬
健胃薬(第一号及び第二十七号に掲げるものを除く。)
口腔咽喉薬(第二十号に掲げるものを除く。)
コンタクトレンズ装着薬
殺菌消毒薬(第十五号に掲げるものを除く。)
しもやけ・あかぎれ用薬(第二十四号に掲げるものを除く。)
十一瀉下薬
十二消化薬(第二十七号に掲げるものを除く。)
十三滋養強壮、虚弱体質の改善及び栄養補給が目的とされている物
十四生薬を主たる有効成分とする保健薬
十五すり傷、切り傷、さし傷、かき傷、靴ずれ、創傷面等の消毒又は保護に使用されることが目的とされている物 
十六整腸薬(第二十七号に掲げるものを除く。)
十七染毛剤 
十八ソフトコンタクトレンズ用消毒剤 
十九肉体疲労時、中高年期等のビタミン又はカルシウムの補給が目的とされている物
二十のどの不快感を改善することが目的とされている物
二十一パーマネント・ウェーブ用剤 
二十二鼻づまり改善薬(外用剤に限る。)
二十三ビタミンを含有する保健薬(第十三号及び第十九号に掲げるものを除く。)
二十四ひび、あかぎれ、あせも、ただれ、うおのめ、たこ、手足のあれ、かさつき等を改善することが目的とされている物 
二十五物品の消毒・殺菌の用に供されることが目的とされている物 
二十六法第2条第3項に規定する使用目的のほかに、にきび、肌荒れ、かぶれ、しもやけ等の防止又は皮膚若しくは口腔の殺菌消毒に使用されることも併せて目的とされている物 
二十七浴用剤 
二十八第六号、第十二号又は第十六号に掲げる物のうち、いずれか二以上に該当するもの

分かりやすい具体例

  • 洗浄剤:手洗いやボディソープ、洗髪剤など。これらは、皮膚や髪の清潔を保つことを目的としています。
  • 消臭剤:体臭や靴の消臭スプレーなど。特定の成分が含まれ、効果的に臭いを抑えることが求められます。
  • 育毛剤:薄毛や脱毛に悩む方々をターゲットとした製品。効果が科学的に証明されていることが重要です。
  • 美白剤:皮膚の色素沈着を改善するための化粧品。使用方法や成分が明確に記載されていることが求められます。
  • 皮膚保護剤:日焼け止めや保湿クリームなど、皮膚を保護するための製品。特に紫外線からの保護が重視されます。

これらの製品は、消費者の健康や美容に寄与するものであり、需要が高いです。

4. 許可取得の要件

医薬部外品製造販売業許可を取得するためには、事業者、施設、管理者に関して以下の要件を満たす必要があります。

(1)製造販売業許可

1)申請者(法人の場合は、薬事に関する業務に責任を有する役員)の要件

申請者が、法第5条第3号イからトまでのいずれかに該当するときは、許可を与えないことがあります。

イ 法第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
ロ 法第75条の2第1項の規定により登録を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた後、3年を経過していない者
ニ イからハまでに該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があつた日から2年を経過していない者
ホ 麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者
ヘ 心身の障害により薬局開設者(医薬部外品製造販売業者)の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者(※)
ト 薬局開設者(医薬部外品製造販売業者)の業務を適切に行うことができる知識及び経験を有すると認められない者

 ※ 厚生労働省令で定める者は、精神の機能の障害により薬局開設者(医薬部外品製造販売業者)の業務を適正に行うに当って必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。(施行規則第8条)

一 薬剤師
二 旧大学令(大正7年勅令第388号)に基づく大学、旧専門学校令(明治36年勅令第61号)に基づく専門学校又は学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学若しくは高等専門学校(以下「大学等」という。)で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
三 旧中等学校令(昭和18年勅令第36号)に基づく中等学校(以下「旧制中学」という。)若しくは学校教育法に基づく高等学校(以下「高校」という。)又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した後、医薬品又は医薬部外品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者
四 厚生労働大臣が前3号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者

3)安全管理責任者の設置

○安全確保業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること。

○医薬部外品の販売に係る部門に属する者でないことその他安全確保業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。

4)品質保証責任者の設置

○品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること。

○医薬部外品の販売に係る部門に属する者でないことその他品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること。

5)組織・各種文書・手順書の整備

品質管理の方法や、製造販売後安全管理(品質、有効性及び安全性に関する事項その他適正な使用のために必要な情報の収集、検討及びその結果に基づく必要な措置をいう。)の方法が、厚生労働省令で定める基準に適合しなければなりません。

(ア)GVP(Good Vigilance Practice)

製造販売業者は、製造販売している医薬部外品について、安全性の確保を行わなくてはなりません。製造販売後安全管理の基準として、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年9月22日厚生労働省令第135号)(以下「GVP省令」という。)」があります。

医薬部外品の製造販売後安全管理にあたっては、GVP省令に適合している必要があります。

GVP省令は製造販売業の許可の要件であり、許可を保持するためにもGVP省令の遵守が必要です。

(イ)GQP(Good Quality Practice)

製造販売業者は、製造販売する医薬部外品について、適正な品質を確保するため、品質管理を行わなくてはなりません。

品質管理の基準として、「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(平成16年9月22日厚生労働省令第136号)(以下「GQP省令」という。)」があります。 

医薬部外品の品質管理にあたっては、GQP省令に適合している必要があります。

GQP省令は製造販売業の許可の要件であり、許可を保持するためにもGQP省令の遵守が必要です。

(2)製造業許可(登録)

イ 法第75条第1項の規定により許可を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
ロ 法第75条の2第1項の規定により登録を取り消され、取消しの日から3年を経過していない者
ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた後、3年を経過していない者
ニ イからハまでに該当する者を除くほか、この法律、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があつた日から2年を経過していない者
ホ 麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者
ヘ 心身の障害により薬局開設者(医薬部外品製造業者)の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者(※)
ト 薬局開設者(医薬部外品製造業者)の業務を適切に行うことができる知識及び経験を有すると認められない者

※ 厚生労働省令で定める者は、精神の機能の障害により薬局開設者(医薬部外品製造業者)の業務を適正に行うに当って必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。(施行規則第8条)

一 薬剤師
二 大学等で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
三 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した後、医薬品又は医薬部外品の製造に関する業務に3年以上従事した者
四 厚生労働大臣が前3号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
区分概要関係条文
1)無菌区分無菌医薬部外品(無菌化された医薬部外品をいう。)の製造工程の全部又は一部を行うもの(3)に掲げるものを除く)薬局等構造設備規則第12条の2 [PDFファイル/164KB]
2)一般区分  医薬部外品の製造工程の全部又は一部を行うもの(3)に掲げるものを除く)薬局等構造設備規則第12条 [PDFファイル/116KB]
3)包装等区分医薬部外品の製造工程のうち包装・表示・保管のみを行うもの薬局等構造設備規則第12条の3 [PDFファイル/63KB]

5. 許可申請の手続き、スケジュール

許可申請の手続きやスケジュールは下記の通りです。

1)業者コード登録
初めて医薬部外品の製造販売業又は製造業の許可を取得しようとする場合は、許可申請の前に業者コードを取得する必要があります。

業者コードは、業者コード登録票に必要事項を記載の上、原則としてe-Gov電子申請サービス(https://shinsei.e-gov.go.jp/)を利用し、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課に提出しないといけません。

なお、e-Gov電子申請サービスにより難い場合はFax(03-3597-9535)により提出してください。

事業所ごとに9ケタの業者コードが付与され、業者コードは、医薬品審査管理課から連絡があります。

 ※業者コードは、業態に関係なくその所在地に対して付番されますので、同一の所在地において他の業態で既に登録済みの場合は取得する必要はありません。

○ 業者コード登録票(様式) [Wordファイル/20KB]

2)許可(登録)申請書提出

許可(登録)申請書類に申請手数料を添えて、都道府県の担当部署に提出してください。

なお、提出にあたっては、事前に来庁日時を担当者と事前に調整の上で伺うようにします。

3)実地調査・書類審査

提出された申請書類を審査するとともに、製造所又は総括製造販売責任者がその業務を行う事務所を訪問して、構造設備の確認又はGVP・GQPの適合状況の確認等を行い、不備が認められた場合は改善の指示がなされます。

4)許可(登録)証交付

不備が認められた場合は、改善されたことを確認後、許可(登録)証を交付となります。  

※ 申請書類を提出してから許可(登録)証交付まで約2ヶ月(不備事項を改善するための期間は除く)かかります。

7. よくある質問

Q1: 申請は一度で通るのか?

A1: 書類に不備がなければ通常は一度で通りますが、書類の内容に誤りがある場合や、必要な情報が不足している場合は、追加の説明を求められることがあります。

また、施設の視察後に改善が必要とされることもあります。

Q2: 申請料はどのくらいか?

A2: 都道府県によって異なりますが、一般的には都道府県に支払う手数料は数万円~15万円程度です。

具体的な金額は各都道府県の窓口で確認することが推奨されます。

Q3: 許可取得後の義務は?

A4: 許可取得後は、製品の品質管理や記録の維持が求められます。

また、法令の変更に伴い、必要な措置を講じることが義務付けられています。

定期的に法令を確認し、常に最新の情報に基づいて事業を運営することが重要です。

8. まとめ

医薬部外品製造販売業許可の取得は、製品の安全性と信頼性を確保するために不可欠です。

手続きは煩雑ですが、必要な要件を満たし、正確に進めることでスムーズに許可を取得できます。

医薬部外品は、消費者のニーズに応える重要なカテゴリーであり、適切な許可を取得することで市場において競争力を持つ製品を展開することができます。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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