鳥取県鳥取市、米子市、倉吉市などで医療法人設立認可申請や一般社団法人(医科、歯科)による分院開設を専門としているカミーユ行政書士事務所です。
当事務所では鳥取県や島根県松江市、出雲市などどこでも対応をしています。
医療法人設立認可申請は申請書類のボリュームも多く、難易度の高い申請となります。
そのため医療法人設立認可申請を専門的に請け負っている事務所も少ない現状がございます。
医療法人の設立認可申請、診療所の開設許可申請、役員変更届・事業報告書作成等ならお任せください。
医療法人の種類は?
(1)医療法人には、医療法人社団と医療法人財団の2種類があります。
(2)一人医師医療法人
従来、診療所については、医師又は歯科医師が常時3人以上勤務している診療所が法人化の対象でしたが、昭和60年の法改正により、1人又は2人が常時勤務する診療所についても法人化の途が開かれました。
これをいわゆる「一人医師医療法人」といいますが、医療法上は設立、運営、権利及び義務に関して何ら区別はありません。
これらを表にまとめたものが下記になります。
それぞれの相違点を確認しましょう。
医療法人の設立要件は?
医療法人の設立要件について見ていきたいと思います。
医療法人の設立をするには、次の要件を満たし、医療法人設立認可申請書に必要な関係書類を添付して、設立代表者名で知事宛てに申請し、認可を受ける必要があります。
(1)人的要件(社員・理事・監事)
医業経営の永続性及び非営利性を目的に社員3名以上、理事3名以上(理事長を含む)、監事1名以上の組織を確保できることが必要です。
なお、診療所1か所のみを開設する医療法人の場合は、理事は2名でもよいこととされています。
社員及び役員(理事及び監事)の要件は、次のとおりです。
ア 理事長候補者は、医師又は歯科医師
イ 次に該当する者は、役員となることができません。(法律上は役員のみの規定ですが、社員についても同様とするのが望ましいとされています。)
ウ 医療法人と取引関係にある営利法人等の役員が、医療法人の役員に就任することは、非営利性の観点から原則認められません。
※未成年者の場合は、自分の意志で議決権が行使できる程度の弁別能力を有していること(義務教育終了程度の者)。
エ 実際に法人の運営に参画できる方
(2)資産要件
設立認可申請時には、病院等の業務を行うために必要な施設、設備及び資金を有する必要があります。
土地及び建物は法人所有であることが望ましいですが、賃貸借契約による場合でも、その契約が長期間に渡るもので、かつ、確実なものである場合には差し支えありません。
また、医療用器械備品等をリースしている場合は、リース契約の引継ぎが確実なことが必要です。
ア 拠出(寄附)財産(負債を除く。)
拠出(寄附)財産は、拠出(寄附)者に所有権のあるもので、法人に拠出(寄附)するのが適切なものに限ります。
(ア)財産の種類
(イ)財産の評価額
イ 運転資金
設立当初の医療法人の経営を維持するために2か月以上分運転資金があること。(初年度の年間支出予算の2か月分に相当する額)
ウ 負債の引継ぎ
現物拠出(寄附)財産の取得時に発生した負債は、医療法人に引き継ぐことができます。
(例)診療所の土地の取得資金に係る借入金
建物及びその附帯設備の取得資金又は増改築資金に係る借入金
医療用器械備品又は什器備品の取得資金に係る借入金
(3)基金制度
ア 概要
平成19年4月より、持分の定めのない社団医療法人は、資金の調達手段として、基金制度を採用することができるようになりました。
基金とは、上記法人の設立等に当たり拠出された金銭その他の財産であって、法人が拠出者に対して、定款の定めるところに従い返還義務(金銭以外の財産については、拠出時の当該財産の価格に相当する金銭の返還義務)を負うものであり、剰余金の分配を目的としないという医療法人の基本的性格を維持しつつ、その活動の原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るための制度です。
イ 手続
(ア)基金を引き受ける者の募集をするに当たり、基金の拠出者の権利に関する規定及び基金の返還の手続を定款で定める必要があります。
なお、基金の返還に係る債権には、利息を付することができません。
(イ)基金の返還は、社員総会の決議によって行わなければなりません。
なお、返還する場合には、返還をする基金に相当する金額を代替基金として貸借対照表上の純資産の部に計上しなければなりません
また、代替基金は取り崩すことはできません。
ウ 申請における留意点
(ア)定款
「基金」の章を設けること。
(イ)設立総会決議録
基金を採用する旨の決議内容を追加すること。
(ウ)拠出契約書
添付書類として、拠出契約書を添付すること。
(4)その他の要件
ア 賃貸借契約の引継ぎ
土地及び建物は、法人所有が望ましいですが、個人が開業医として賃借していた診療所等の土地及び建物を医療法人が引き続き賃借することは差し支えありません。
なお、この場合は、土地及び建物の所有者の承認が必要です。
医療用器械備品等のリース契約の引継ぎについても所有者の承認が必要です。
イ 法人設立後、病院又は診療所の開設許可をとることになりますが、構造設備や医療従事者数等の開設許可要件を満たす必要があります。
ウ 医療法人化前の運転資金に充てた負債は、引き継ぐことができません。
医療法人の構成は?
次に医療法人の構成について見ていきたいと思います。
(1)社 員(設立者)
社員は、株式会社の株主に近いもので、従業員ではありません。
(2)役 員
医療法人には役員として、理事3人以上と監事1人以上を置かなければなりません。
ア 理 事
(ア)理事は、理事会という機関で医療法人の意思決定に基づく事実上の職務執行権限を持つこととなり、医療法人の常務(事務)を執行します。
(イ)当該医療法人が開設する病院、診療所、介護老人保健施設及び介護医療院の管理者は、全て理事にならなければなりません。
(ウ)理事には、通常、社員の方が就任しますが、定款等の定めにより社員以外の方が就任しても差し支えありません。
イ 理事長
(ア)理事のうち、1人は理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選任します。
(イ)医療法人の代表権は、理事長のみに与えられており、登記についても代表権を有する者として理事長のみの登記で足りるものとされています。
ウ 監 事
(ア)監事は次の職務を行います。
・業務を監査すること
・財産の状況を監査すること
・業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後3月以内に社員総会及び理事会に提出すること
・業務又は財産に関し不正の行為等を発見したときは、知事、社員総会又は理事会に報告すること
(イ)このような監事の職務の職性から、当該医療法人の理事及び職員(従業員)との兼職は禁止されています。
(ウ)実際に法人監査業務を実施できない者が名目的に選任されていることは適当ではなく、財務諸表を監査できる方を選任する必要があります。
(3)従業員(職員)
ア 医療法人の開設する病院等で働いている方をいいます。
イ 理事長や理事等であっても、医療法人が開設する病院等で働いていれば従業員ですから、医療法人から給与等の支給を受けることになります。
これらを一覧表にまとめるとこのようになります。
医療法人の名称は?
医療法人の名称にはルールがあります。
下記の点を守って名称を付けるようにしましょう。
(1)法人名には必ず「医療法人」を入れます。
(2)病院又は診療所を1か所のみ開設する場合には、法人名と医療機関名が同一であっても差し支えありません。
例:法 人 名 医療法人社団○○内科クリニック
医療機関名 医療法人社団○○内科クリニック
なお、設立当初は病院又は診療所を1か所のみ開設する場合であっても、将来的に複数箇所を開設する意思がある場合には法人名と医療機関名を別々にしてください。
例:法 人 名 医療法人社団○○会
医療機関名 ○○内科クリニック
(3)同一都道府県内にある既存の医療法人の名称と、同一又は紛らわしい名称は避けてください。
手続きの流れは?
医療法人設立のための手続きの流れは非常に煩雑なものになります。
また用意する書類も膨大です。
1 設立準備(申請書素案作成・設立総会の開催等)
2 申請準備(申請書類の完成、各証明書の手配等)
3 事前審査のための書類提出
4 事前審査の受付・仮審査
5 審査結果連絡
6 問題点の改善、書類の差し替え等
7 設立認可申請書の正式提出
8 申請書の受付、都道府県庁へ進達
9 申請書の受付・本審査
10 都道府県医療審議会へ諮問
11 設立認可指令書の交付
12 認可書の受付、 申請者へ交付
13 設立認可指令書の受領
14 医療法人設立登記(認可書受領日から 2週間以内に地方法務局に提出)
15 登記届の提出 (遅滞なく)
16 診療所等開設許可申請書の提出
17 保険医療機関指定手続(厚生局に書類提出)ほか
18 診療所等開設届の提出(開設後10日以内)
いかがでしたか?
お聞きしてみたいことがございましたらお気軽にお問い合わせください。