栃木県宇都宮市で建設業許可を取り扱っているカミーユ行政書士事務所です。
今回のテーマは「次の決算で財産的基礎用件を満たさない場合、決算後すぐに許可はなくなるのか?」です。
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財産的基礎または金銭的信用があること
建設業許可の要件の一つに「財産的基礎または金銭的信用があること」(財産的基礎等)という要件があります。
建設業を営むためには、準備として資材や機材の購入が必要となり、それらの購入資金が必要となるため、建設業を取得するには最低限の基準を定めその資金を有することを要件としています。
財産的基礎等の要件は一般建設業許可と特定建設業許可では異なり、特定建設業許可の方が厳しい要件となっています。
これは、特定建設業者は多くの下請業者を使用して工事を施工するための要件ですあることから、特に健全な経営が求められることが理由です。
また、建設業法の規定で発注者から請負代金の支払いを受けていない場合であっても、下請負人から工事の目的物の引き渡しの申し出がなされてから50日以内に下請代金を支払う義務があること等も理由です。
財産的基礎又は金銭的信用
一般建設業許可を受ける場合 | 特定建設業許可を受ける場合 |
次のいずれかに該当すること ①自己資本の額が500万円以上であること ②500万円以上の資金を調達する能力があること ③許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること | 次のすべてに該当すること ①欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと ②流動比率が75%以上であること ③資本金の額が2000万円以上であり、かつ自己資本の額が4000万円以上であること |
☑自己資本とは
・法人にあっては貸借対照表における純資産合計の額をいいます。
・個人にあっては、期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益保留性の引当金及び準備金の額を加えた額を言います。
☑「500万円以上の資金を調達する能力」とは
・担保とすべき不動産などを有していることなどにより、金融機関などから500万円以上の資金について融資を受けられる能力を言います。
具体的には、取引金融機関の預金残高証明書又は融資証明書などにより確認します。
☑欠損の額とは
・法人にあっては、貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合に、その額が資本剰余金、利益準備金及びその他の利益剰余金の合計額を上回る額を言います。
・個人にあっては、事業主損失が事業主仮勘定の額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に、計上されている利益保留性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額をいいます。
☑流動比率とは
・流動資産を流動負債で除して得た数値に100を乗じた数をいいます。
☑資本金とは
・法人にあっては株式会社の払込資本金、持分会社等の出資金額をいいます。
・個人にあっては期首資本金をいいます。

財産的基礎等の確認のタイミング
一般建設業許可及び特定建設業許可いずれも財産的基礎等の要件がありますが、この要件は常時満たしている必要はありません。
財産的基礎等の要件は「許可申請」のタイミングで行われることとなります。
「許可申請」とは、建設業許可の新規申請、更新申請、業種追加申請のことをいいます。
例えば、特定建設業者が今期業績が落ち込んでいて今期の決算内容では特定建設業許可の要件を満たせない場合があるとします。
建設業者は毎年、事業報告(決算変更届)を提出しますので、決算の内容は許可行政庁が確認できる状態にあります。
しかし、財産的基礎等の要件確認は、決算ごとに行われるものではなく、許可申請直前の決算内容で行われるため、決算後1年以内に許可申請がない場合、事業報告(決算変更届)をもって財産的基礎等の要件が確認されるということはありません。
そのため、財産的基礎等の要件を満たさないからと言ってただちに特定建設業許可がなくなるというわけではありません。
ただし、翌事業年度内に「許可申請」を行う場合は注意が必要です。
先程のケースでいいますと、翌事業年度内に建設業許可の期限を迎えて更新申請を行わないといけない場合、更新申請直前の決算内容によって財産的基礎の要件を確認されることになりますので、今期の決算内容では特定建設業許可の要件を満たしていないことになります。
その場合は、特定建設業許可の更新ができないため、事前に般特新規申請を行い、一般建設業許可に変更しておかないといけません。
なお、一般建設業許可の場合、先程の財産的基礎等の要件に「許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること」という要件がある通り、許可取得後5年経過した後は、「許可申請」の際も、財産的基礎等の要件は確認されません。
財産的基礎等の確認方法
財産的基礎等の要件は、建設業許可の新規申請や更新申請などの際、申請直前の決算内容で確認が行われます。
具体的には財務諸表で確認がされます。
会社を設立したばかりでまだ決算を迎えていない建設業を営む者でも、許可申請の際には必ず財産的基礎等の要件が確認されますが、その場合は、創業時の財務諸表にて要件を満たしているかどうかの判断がなされることになります。
また、特定建設業許可の要件に関して、申請直前の決算における財務諸表で「資本金」の額だけ要件を満たしていない場合、許可申請までに増資をして資本金の要件を満たせば、財産的基礎等の要件をみたしていることになります。
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