宮城県仙台市で一人医師クリニックが医療法人を設立する際の申請手続きを徹底解説

宮城県仙台市、石巻市、大崎市等のクリニック(医科、歯科、美容外科)の医療法人設立申請代行などの医療法務の手続きを専門にしているカミーユ行政書士事務所です。

弊所では医療法人設立や非営利型一般社団法人での分院開設などを全国対応にてサポートしています。

宮城県仙台市などで一人医師クリニックが医療法人を設立する際の申請手続きを徹底解説をしていきます。

目次

医療法人の種類とは?

医療法人の種類についてまず見ていきたいと思います。

(1)医療法人には、医療法人社団と医療法人財団の2種類があります。

ア 医療法人社団

個人又は法人が拠出(現金、不動産、備品等)して設立する法人

イ 医療法人財団

個人又は法人が無償で寄附した財産に基づいて設立される法人

(2)一人医師医療法人

従来、診療所については、医師又は歯科医師が常時3人以上勤務している診療所が法人化の対象でしたが、昭和60年の法改正により、1人又は2人が常時勤務する診療所についても法人化の途が開かれました。(昭和61年6月26日付け健政発第410号厚生省健康政策局長通知)

これをいわゆる「一人医師医療法人」といいますが、医療法上は設立、運営、権利及び義務に関して何ら区別はありません。

これを一覧にしてまとめたものが下記の図となります。

医療法人の設立要件は?

医療法人の設立をするには、次の要件を満たし、医療法人設立認可申請書に必要な関係書類を添付して、設立代表者名で知事宛てに申請し、認可を受ける必要があります。

(1)人的要件(社員・理事・監事)

医業経営の永続性及び非営利性を目的に社員3名以上、理事3名以上(理事長を含む)、監事1名以上の組織を確保できることが必要です。

なお、診療所1か所のみを開設する医療法人の場合は、理事は2名でもよいこととされています。

社員及び役員(理事及び監事)の要件は、次のとおりです。

ア 理事長候補者は、医師又は歯科医師

イ 次に該当する者は、役員となることができません。(法律上は役員のみの規定ですが、社員についても同様とするのが望ましいとされています。)

(ア)法人

(イ)精神の機能の障害により職務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者

(ウ)医療法、医師法、歯科医師法その他医事に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者

(エ)禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者

ウ 医療法人と取引関係にある営利法人等の役員が、医療法人の役員に就任することは、非営利性の観点から原則認められません。

※未成年者の場合は、自分の意志で議決権が行使できる程度の弁別能力を有していること(義務教育終了程度の者)。

エ 実際に法人の運営に参画できる方

(2)資産要件

設立認可申請時には、病院等の業務を行うために必要な施設、設備及び資金を有する必要があります。

土地及び建物は法人所有であることが望ましいですが、賃貸借契約による場合でも、その契約が長期間に渡るもので、かつ、確実なものである場合には差し支えありません。

また、医療用器械備品等をリースしている場合は、リース契約の引継ぎが確実なことが必要です。

ア 拠出(寄附)財産(負債を除く。)

拠出(寄附)財産は、拠出(寄附)者に所有権のあるもので、法人に拠出(寄附)するのが適切なものに限ります。

(ア)財産の種類

①基本財産 ………… 不動産、運営基金等の重要な資産

②通常財産 ………… 基本財産以外の資産

(イ)財産の評価額

①預金 ……………… 残高証明書にある金額の範囲内

②医業未収金 ……… 前年実績等からの推計値

③医薬品、材料等 … 帳簿価格

④不動産、借地権 … 不動産鑑定評価書又は固定資産評価証明書の額

⑤建物(その付属設備を含む)… 減価償却した簿価

⑥医療用器械備品(その付属設備を含む) … 減価償却した簿価

⑦その他の器械備品(その付属設備を含む)…減価償却した簿価

⑧電話加入権 ……… 時価

⑨保証金等 ………… 契約書の金額

(契約書に償却に関する条項がある場合は、償却後の金額)

イ 運転資金

設立当初の医療法人の経営を維持するために2か月以上分運転資金があること。(初年度の年間支出予算の2か月分に相当する額)

ウ 負債の引継ぎ

現物拠出(寄附)財産の取得時に発生した負債は、医療法人に引き継ぐことができます。

(例)診療所の土地の取得資金に係る借入金

建物及びその附帯設備の取得資金又は増改築資金に係る借入金

医療用器械備品又は什器備品の取得資金に係る借入金

人的要件、資産要件を一覧でまとめるとこのようになります。

医療法人の構成や名称は?

医療法人社団の構成について見ていきたいと思います。

(1)社 員(設立者)

ア 社員は、株式会社の株主に近いもので、従業員ではありません。

イ 人的要件については前記の(1)人的要件を参照してください。

(2)役 員

医療法人には役員として、理事3人以上と監事1人以上を置かなければなりません。

その他、役員の人的要件については前記の(1)を参照してください。

ア 理 事

(ア)理事は、理事会という機関で医療法人の意思決定に基づく事実上の職務執行権限を持つこととなり、医療法人の常務(事務)を執行します。

(イ)当該医療法人が開設する病院、診療所、介護老人保健施設及び介護医療院の管理者は、全て理事にならなければなりません

(ウ)理事には、通常、社員の方が就任しますが、定款等の定めにより社員以外の方が就任しても差し支えありません。

イ 理事長

(ア)理事のうち、1人は理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選任します。

(イ)医療法人の代表権は、理事長のみに与えられており、登記についても代表権を有する者として理事長のみの登記で足りるものとされています。

ウ 監 事

(ア)監事は次の職務を行います。

・業務を監査すること

・財産の状況を監査すること

・業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後3月以内に社員総会及び理事会に提出すること

・業務又は財産に関し不正の行為等を発見したときは、知事、社員総会又は理事会に報告すること

(イ)このような監事の職務の職性から、当該医療法人の理事及び職員(従業員)との兼職は禁止されています。

(ウ)実際に法人監査業務を実施できない者が名目的に選任されていることは適当ではなく、財務諸表を監査できる方を選任する必要があります。

(3)従業員(職員)

ア 医療法人の開設する病院等で働いている方をいいます。

イ 理事長や理事等であっても、医療法人が開設する病院等で働いていれば従業員ですから、医療法人から給与等の支給を受けることになります。

では今度は医療法人の名称について見ていきたいと思います。

医療法人の名称を付けるにはいくつかの注意点があります。

(1)法人名には必ず「医療法人」を入れます。

(2)病院又は診療所を1か所のみ開設する場合には、法人名と医療機関名が同一であっても差し支えありません。

例:法 人 名 医療法人社団○○内科クリニック

医療機関名 医療法人社団○○内科クリニック

なお、設立当初は病院又は診療所を1か所のみ開設する場合であっても、将来的に複数箇所を開設する意思がある場合には法人名と医療機関名を別々にしてください。

例:法 人 名 医療法人社団○○会

医療機関名 ○○内科クリニック

(3)同一都道府県内にある既存の医療法人の名称と、同一又は紛らわしい名称は避けてください。

医療法人設立のための手続きの流れは?

医療法人設立に当たっての基本的な手続は次のとおりです。

(1)医療法人設立説明会への参加(都道府県により対応が異なります)

(2)準備作業

① 定款案の作成
② 社員の選定
③ 役員候補者の選定(理事長と親族関係にない第三者理事を選出)
④ 診療所に係る土地及び建物、医療機器、備品並びに医薬品等の所有関係及び価額等を確認
⑤ 基金募集事項の決定及び募集(基金制度採用の場合)
⑥ 自己所有の土地、建物を法人と賃貸借する場合は、適正と認められる賃貸料の範囲内で賃貸借契約書(案)を作成(契約期間は、おおむね10年以上必要)
⑦ 医療法、医師法その他関係法令等に違反する点はないか確認
⑧ 法人の設立後2年間(最初の会計年度が6か月以下のときは3年間)の事業計画書、予算書を作成

(3)設立総会の開催(議事録作成)

(4)設立認可申請書の作成

(5)事前審査(各都道府県に行います)

(6)設立認可申請書の提出(所轄保健所の医療法人担当)

(7)本審査(必要により現地調査)

(8)都道府県の医療審議会へ諮問し、審議・答申

(9)設立認可の決定

(10)設立認可書の交付(保健所→申請者) 認可書と申請書の副本を交付。

※以下、設立認可後の手続となります。

(11)金銭拠出(寄附)金の払い込み等

(12)管轄地方法務局へ医療法人設立登記申請

(設立に必要な手続が終了した日から2週間以内です。認可日から2週間以内ではないので留意しましょう。)

(13)医療法人設立登記完了(法人設立)

(14)医療法人設立登記完了届の提出(保健所)

(15)法人定款の提出(理事長の原本証明を付したもの。都道府県へ提出します。)

(16)医療法人の診療所等開設許可申請書の提出(保健所)

(17)医療法人の診療所等開設許可(保健所→申請者)

(18)(入院施設あり)医療法人の診療所病床設置許可申請書の提出(保健所)

(19)(入院施設あり)医療法人の診療所病床設置許可(保健所→申請者)

(20)(入院施設あり)医療法人の診療所等使用許可申請書の提出(保健所)

(21)(入院施設あり)医療法人の診療所使用許可(保健所→申請者)

(22)個人の診療所廃止届及び医療法人の診療所開設届(保健所)

(23)保険医療機関指定の切り替え手続き(各地域管轄の地方厚生局)

いかがでしたか?

医療法人設立にはこのように膨大な書類と手続きの煩雑さがあります。

医療法務専門の当事務所でしたらスピーディーに対応をさせて頂きますのでご安心頂けます。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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