非営利型一般社団法人でアートメイククリニックを開設する全手順を行政書士が徹底解説

医療法人設立・分院開設、そして一般社団法人によるクリニック開設を専門としております、カミーユ行政書士事務所でございます。私たちは、全国各地のクリニック開業支援で豊富な実績を持っております。

さて、この記事をお読みの先生は、美容医療の中でも特に市場が急拡大している「アートメイク」に着目され、ご自身のクリニック開設を検討されていることと存じます。

アートメイクは、高い技術と医療知識が求められる医療行為であり、医師の管理下で行われるべきものです。だからこそ、その専門性を追求するクリニックの設立は、社会的な意義も非常に大きいものです。

その際、多くの医師がまず検討するのが「個人事業主としての開業」あるいは「医療法人の設立」です。

しかし、選択肢はそれだけではありません。

特に、スピード感を持った事業展開や、柔軟な経営、そして社会的な信頼性を両立させたいとお考えの医師にとって、私たちは「一般社団法人」というスキームを強く推奨しております。

「え?クリニックを一般社団法人で?」

「非営利法人なのに、どうやって利益を出すの?」

「医療法人と何が違うの?」

そう思われたかもしれません。

この記事では、なぜ今、美容クリニック、特にアートメイククリニックの設立において「一般社団法人」が最適解となり得るのか、その理由と具体的な設立手順、そして最大のメリットである税制優遇について、日本全国の案件を手掛けてきた専門家の視点から、どこよりも詳しく徹底的に解説いたします。

この記事を読み終える頃には、先生のビジョンを実現するための「第三の道」が、明確に見えているはずです。

この記事はこんな医師におすすめです

  • できるだけ早くアートメイククリニックを開業したい
  • 将来的に**分院展開(多店舗展開)**をスピーディーに行いたい
  • 医療法人特有の**厳格な規制(役員構成や資産要件)**を避けたい
  • 合法的に節税しながら、利益を事業に再投資したい
  • 「非営利」というクリーンなイメージでブランディングしたい

目次

1.なぜ今「一般社団法人」でクリニックを開設するのか?

まず、大前提の整理から始めましょう。

1-1. アートメイククリニックが急増している背景

ご存知の通り、アートメイクの需要は爆発的に増加しています。単なる「時短メイク」を超え、自己表現やコンプレックス解消の手段として、男女問わず幅広い層に受け入れられています。

重要なのは、これが**「医療行為」である**という点です。2001年の最高裁判決以降、アートメイクは医師法に基づく医療行為と明確に位置づけられました。

これにより、

  1. 医師免許を持つ者、またはその指導監督下の看護師等のみが施術可能
  2. 開設には**保健所への「診療所開設届」**が必須

となりました。エステサロン等での違法施術が問題視される中、医師が管理する「正規の医療機関」への信頼と需要が集中しているのです。

1-2. 「非営利」の誤解:一般社団法人は「儲けてはいけない」のか?

クリニック設立の選択肢として「一般社団法人」を提示した際、最も多くいただく質問がこれです。

「一般社団法人は『非営利法人』ですよね?利益を出してはいけないのでは?」

これは、決定的な誤解です。

【重要】一般社団法人の「非営利」の意味

一般社団法人における「非営利」とは、「利益を上げてはいけない」という意味ではありません。

正しくは、「発生した利益(剰余金)を、社員(=設立者・出資者)に分配してはならない」という意味です。

つまり、利益を出すこと自体は全く問題ありません

  • クリニックとして売上を上げ、利益を追求する。
  • 医師やスタッフに役員報酬や給与を支払う
  • 最新のアートメイク機材や内装に事業投資する。

これらはすべて可能です。株式会社でいう「配当」ができないだけで、事業体として利益を上げ、それを役員報酬や事業拡大のために使うことは、むしろ推奨されます。


2.【徹底比較】一般社団法人 vs 医療法人 vs 個人事業主

では、アートメイククリニックを開業する上で、3つの形態にはどのような違いがあるのでしょうか。特に「一般社団法人」と「医療法人」の違いは重要です。

比較項目一般社団法人 (非営利型)医療法人 (社団)個人事業主 (医師個人)
設立スピード◎ 最速(約1〜2ヶ月)× 遅い(約6ヶ月〜1年)○ 早い(届出のみ)
設立要件◎ 緩やか (社員2名以上)△ 厳しい (資産要件、役員構成)○ 緩やか (医師免許)
許認可法務局への登記のみ都道府県知事等の認可税務署等への届出
利益の分配× 不可× 不可◎ 可能(すべて事業主のもの)
分院展開◎ 容易 (定款変更・届出)△ 厳しい (定款変更・認可)○ 容易(届出)
税金◎ 優遇 (収益事業のみ課税)○ 優遇 (法人税率)× 不利 (累進課税)
社会的信用○ 高い(法人格)◎ 非常に高い(医療専門)△ 個人による
事業の自由度◎ 高い× 低い(医療法等の制約)○ 高い
解散時の残余財産国・地方公共団体等へ帰属国・地方公共団体等へ帰属すべて事業主のもの

2-1. なぜ「医療法人」ではダメなのか?

医療法人は、医療機関としての信頼性が最も高く、節税メリットもある優れた形態です。しかし、アートメイククリニック、特にスピード感を持って多店舗展開を目指す場合において、医療法人は足かせになることがあります。

  • 設立に時間がかかりすぎる:都道府県知事の「認可」が必要なため、申請準備から認可まで半年~1年かかるのが通常です。市場のトレンドが早いアートメイク業界では致命的です。
  • 分院展開のハードルが高い:分院を一つ出すだけでも、定款変更の認可や、場合によっては理事会の議事録など、医療法に基づく厳格な手続きが求められ、時間とコストがかかります。
  • 規制が厳しい:役員構成(理事・監事)や資産要件、毎年の事業報告書の提出義務など、運営面での制約が非常に多いのが特徴です。

2-2. 一般社団法人の圧倒的メリット:スピードと自由度

一方、一般社団法人はどうでしょうか。

メリット①:設立が圧倒的に早い

一般社団法人は、医療法人のような行政の「認可」が不要です。「登記」のみで設立が完了します。公証役場での定款認証や法務局への登記手続きは必要ですが、準備が整えば1ヶ月程度で法人格を取得できます。

これは、物件の契約や内装工事と並行して法人設立を進められることを意味し、開業までのリードタイムを劇的に短縮できます。

メリット②:分院展開(多店舗展開)が容易

これが最大のメリットの一つです。

医療法人が分院を出すには、前述の通り厳格な手続きが必要です。しかし、一般社団法人の場合は、医療法上の制約を受けません。(※もちろん、分院ごとに保健所への診療所開設届は必要です)

例えば、「東京で1号院を開設し、軌道に乗ったらすぐに大阪、福岡にも展開したい」というビジョンがある場合、一般社団法人であれば、機動的な経営判断で次々と分院を開設していくことが可能です。

メリット③:運営の自由度が高い

医療法のような役員構成(医師3名以上、理事長は医師等)の厳格な縛りがありません。定款で定めることで、柔軟な組織設計が可能です。


3.最重要!「非営利型一般社団法人」による最強の節税スキーム

一般社団法人には、実は2つの「型」があります。

  1. 普通型 一般社団法人
  2. 非営利型 一般社団法人

このうち、私たちが強く推奨するのは、もちろん「非営利型」です。

3-1. 「非営利型」とは何か?

「非営利型」とは、税法上の区分であり、一定の要件(後述)を満たすことで認定されます。

この「非営利型」として認められると、税制上、とんでもないメリットが発生します。

「非営利型一般社団法人」の税務上の扱い

  • 法人税の課税対象が「収益事業から生じた所得のみに限定される。
  • 「収益事業以外」から得た所得は、非課税(法人税がかからない)。

「収益事業」とは、法人税法で定められた34業種の事業を指します。

では、アートメイククリニックはこれに該当するのでしょうか?

はい、アートメイクを含む美容医療は、34業種の「医療保健業」に該当します。

「なんだ、結局課税されるんじゃないか」と思われたかもしれません。

しかし、ここからが本題です。

3-2. アートメイククリニックにおける「非営利型」の活用法

「非営利型」のメリットは、「収益事業(アートメイク施術)」そのものではありません。その周辺の**「収益事業以外」の活動を非課税にできる**点にあります。

例えば、一般社団法人として以下のような事業を組み合わせます。

  1. 収益事業(課税):
    • アートメイククリニックの運営(施術料)
    • 関連する美容商品の物販
  2. 非収益事業(非課税):
    • アートメイクに関する啓発活動(セミナー、講演会)
    • 技術向上のための研究・学会発表
    • 医師・看護師向けの教育事業(例:研修会費)
    • 一般社団法人の**「会費」収入**

特に「会費」は強力です。例えば、クリニックの患者様向けの会員制度を設け、年会費を徴収するモデルを設計した場合、その会費収入が「非収益事業」と認められれば、法人税が非課税となります。

また、クリニックで得た利益(収益事業)を、非収益事業である「研究開発費」や「教育研修費」に充てることで、収益事業側の所得を適法に圧縮し、法人全体の税負担を最適化することが可能になります。

3-3. 「非営利型」になるための厳格な要件

ただし、この「非営利型」の認定を受けるためには、非常に厳格な要件をクリアする必要があります。

【非営利型(非営利徹底法人)の主な要件】

  1. 剰余金の分配を行わない旨が定款に定められていること。
  2. 解散時の残余財産を国・地方公共団体等に帰属させる旨が定款に定められていること。
  3. 理事及びその親族等の合計が、理事の総数の3分の1以下であること。
  4. 特定の個人や団体に特別な利益を与えないこと。

特に重要なのが「3. 親族要件」です。

医師である先生が理事長になるとして、その配偶者や親族を理事に入れることは可能ですが、その数が理事全体の3分の1を超えてはいけません。例えば、理事が3名なら、親族は先生(理事長)を含めて1名のみです。

この要件を満たすための役員構成(信頼できる第三者の理事をどう確保するか)こそが、専門家である行政書士の腕の見せ所です。

参考:国税庁HP


4.【完全ロードマップ】一般社団法人でアートメイククリニックを開設する全手順

カミーユ行政書士事務所が、先生のクリニック開設をサポートする際の、具体的な流れ(ロードマップ)をご紹介します。

フェーズ1:法人設立フェーズ(約1〜2ヶ月)

STEP 1:基本事項の決定(最重要)

先生のビジョンをヒアリングし、法人の「設計図」を固めます。

  • 法人の名称(商号)
  • 事業目的(ここで「診療所の経営」を明記します
  • 役員構成(理事・監事の選定 ※非営利型の要件をクリアする布陣)
  • 社員の決定(設立時社員が最低2名必要)
  • 主たる事務所の所在地
  • 事業年度

STEP 2:定款(ていかん)の作成

一般社団法人の「憲法」にあたる定款を作成します。テンプレートでは対応できません。

特に「非営利型」の要件を満たし、かつクリニック運営に最適化された「事業目的」を記載するには、高度な専門知識が必要です。

STEP 3:公証役場での定款認証

作成した定款を、公証役場で認証してもらいます。

STEP 4:法務局への設立登記申請

必要書類を揃え、法務局に登記申請を行います。**この申請日が、法人の「設立日」**となります。

(登記が完了するまで約1〜2週間)

STEP 5:法人設立完了

登記が完了すれば、「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」と「法人の印鑑証明書」が取得可能になります。

これで、晴れて法人が誕生です。


フェーズ2:クリニック開設フェーズ(並行・登記後)

法務局での登記と並行して、クリニック開設の準備を進めます。

STEP 6:物件の選定と契約

アートメイククリニック(診療所)として使用できる物件を選定します。

※注意:法人設立前でも物件の「仮押さえ」は可能ですが、本契約は「法人名義」で行う必要があります。

STEP 7:保健所への事前相談

物件の内装図面を持ち、必ず保健所に事前相談を行います。診療所としての構造設備基準(待合室、診察室、消毒設備など)を満たしているか、厳しくチェックされます。

ここの事前相談を怠ると、内装工事をやり直す羽目になり、数百万円の損失が出ることも…。専門家(行政書士や内装業者)と密に連携しましょう!

STEP 8:内装工事・医療機器の搬入

保健所のアドバイスに基づき、内装工事を行います。

STEP 9:保健所への「診療所開設届」の提出

法人の登記簿謄本、医師免許証、管理者の履歴書、看護師の免許証、建物の図面などを揃え、管轄の保健所に「一般社団法人●●会 理事長 ●●●●」の名義で開設届を提出します。

STEP 10:保健所の実地調査(立入検査)

保健所の担当者が実際にクリニックに来て、図面通りに設備が整っているか、衛生管理は万全かを確認します。

STEP 11:開設届の受理・「開設許可証(または受理票)」の交付

検査で問題がなければ、正式に「診療所」として認められます。

STEP 12:厚生局への届出(保険診療を行わない場合は不要な場合も)

アートメイクは自由診療がメインですが、将来的に保険診療(例:皮膚科併設など)も行う場合は、地方厚生局への届出も必要です。

STEP 13:税務署等への法人設立届

法人設立後、速やかに税務署、都道府県税事務所、市町村役場へ「法人設立届」を提出します。

※この際、「非営利型」の要件を満たしていることを示す書類を添付し、税制優遇を受けられるよう手続きします。(税理士と連携)

STEP 14:開業!

すべての手続きが完了し、いよいよアートメイククリニックの開業です。


5.設立時の「落とし穴」と専門家に依頼すべき理由

このロードマップは一見シンプルに見えますが、無数の「落とし穴」が存在します。

落とし穴①:「事業目的」の不備

定款の「事業目的」に、診療所経営に関する文言が曖昧だったり、非営利型として認められない文言が入っていたりすると、保健所の開設届が受理されません。最悪の場合、法人の設立(定款作成)からやり直しです。

落とし穴②:「非営利型」の要件漏れ

前述の「親族要件」などを知らずに役員を構成し、「普通型」として課税されてしまうケースです。これでは一般社団法人を選択した意味が半減してしまいます。

落とし穴③:保健所と法務局の「板挟み」

保健所は「法人の登記簿謄本がなければ開設届は受け付けない」と言い、法務局は「登記には物理的な事務所所在地が必要」と言います。この間をスムーズに調整し、最短スケジュールで許認可を取得するには、両方の手続きに精通した専門家が不可欠です。

なぜカミーユ行政書士事務所なのか?

私たちは、単に一般社団法人の「登記」をするだけではありません。

私たちは、「医療法人の設立」と「診療所の開設」、そして**「一般社団法人の設立」**という、3つの分野すべてに精通している数少ない専門家です。

だからこそ、

  • 「非営利型」の要件を満たしつつ、
  • 「診療所開設」の基準もクリアし、
  • 先生の「将来のビジョン(分院展開)」も見据えた、

**最適な「定款」と「設立スキーム」**をワンストップでご提案できます。

全国各地での豊富な実績に基づき、各地域の保健所や法務局の「クセ」や「ローカルルール」も熟知しています。これが、先生の貴重な時間を無駄にせず、最短・最適でクリニック開業を実現できる、私たちの最大の強みです。


6.よくあるご質問(FAQ)

Q1:本当に医師1人でも設立できますか?

A1: 役員構成によります。「一般社団法人」の設立には、最低2名の「社員」が必要です(理事とは別でも可)。また、前述の「非営利型」の親族要件を満たすため、先生(医師)以外に、理事や監事として信頼できる第三者(ご友人や他院の医師など)にご協力いただく必要があります。この役員・社員の布陣を組むコンサルティングも、私たちの重要な業務です。

Q2:一般社団法人でも銀行融資は受けられますか?

A2: はい、問題なく受けられます。融資の審査は、法人格の種類(株式会社か、一般社団法人か)ではなく、事業計画の妥当性や代表者(理事長)の信用力で決まります。私たちは、金融機関を納得させるための、精度の高い「事業計画書」の作成支援も行っております。

Q3:将来、医療法人に切り替えることはできますか?

A3: 可能です。「一般社団法人」から「医療法人」へ組織変更する(法人格を引き継ぐ)ことはできませんが、一般社団法人のクリニックを廃止し、新たに「医療法人」を設立して事業を承継する(いわゆる「法人成り」ならぬ「法人切り替え」)ことは可能です。事業のステージに合わせて、最適な法人格を選択していくお手伝いをいたします。

Q4:役員報酬はいくらでも設定できますか?

A4: 役員報酬(給与)を受け取ることは可能です。ただし、不相当に高額な報酬は税務署から否認されるリスクがあります。また、「非営利型」の要件として「特定の個人に特別な利益を与えない」と定められているため、事業規模や同業他社の水準に照らして、社会通念上、妥当な範囲内で設定する必要があります。

7.結論:アートメイククリニックの成功は「器」選びから始まる

アートメイククリニックという、医療と美容の最前線で事業を成功させるには、先生の卓越した「技術」や「知識」が不可欠です。

しかし、それと同じくらい重要なのが、その技術や知識を活かすための「器=法人格」の選択です。

  • 重厚だが、重く、動きにくい「医療法人
  • 身軽だが、節税や信用面で限界がある「個人事業主

そのどちらでもない、「一般社団法人」という選択肢は、

スピード」「事業拡大(分院)の自由度」「税制優遇」「社会的信用

これらを高次元でバランスさせたいと願う、進取の気性に富んだ医師の皆様にとって、最強のソリューションとなり得ます。

ただし、その設立はパズルのように複雑であり、一つでもピースを間違えると、取り返しのつかない事態になりかねません。

先生は、診療と技術の研鑽に集中してください。

面倒で複雑な法務・許認可手続きは、すべて私たち専門家にお任せください。

カミーユ行政書士事務所は、先生のビジョンを最短距離で実現するため、全国どこでもサポートに伺います。

「自分の場合はどうだろう?」

「まずは話だけ聞いてみたい」

少しでもご興味をお持ちいただけましたら、まずは無料相談をご利用ください。先生の熱い想いをお聞かせいただける日を、心よりお待ちしております。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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