建設業、建設会社が実践すべき「養老保険✖節税対策✖補助金」完全ガイド

建設業を営む経営者の皆さまにとって、「節税対策」と「資金繰りの安定化」は永遠のテーマではないでしょうか。
建設業は、資材費・外注費・人件費・機械投資などの負担が大きく、年度によって利益が大きく変動するため、法人税の圧縮や資金の平準化を図ることが重要です。

その中で注目を集めているのが、「養老保険を活用した節税対策」です。
しかし、単に「保険に入れば節税できる」という時代は終わりました。税制改正や国税庁通達の影響により、正しい知識と設計が求められています。

この記事では、全国リモート対応で補助金申請を専門とする行政書士であり、同時に生命保険エージェントとしても活動している筆者が、「建設会社に最適な養老保険の活用法」と「補助金と組み合わせた戦略的な節税設計」を、実務視点で解説します。


目次

第1章:養老保険の基礎知識と節税の関係

1-1 養老保険とは

養老保険とは、一定の期間中に被保険者が亡くなった場合は「死亡保険金」、期間満了まで生存した場合は「満期保険金」が支払われる保険です。
つまり、「保障」と「貯蓄」を兼ね備えた生命保険であり、法人契約においては節税や退職金準備の手段として広く利用されています。

1-2 建設会社にとっての養老保険の意義

建設業界は、受注・工期・支出タイミングが季節や景気に左右されやすく、資金繰りが不安定になりがちです。
そのため、養老保険を活用することで以下のような経営上の効果が期待できます。

  • 退職金・弔慰金の準備資金を確保できる
  • 契約者貸付制度を利用して、一時的な資金需要に対応可能
  • 福利厚生制度の充実により人材の定着率が向上
  • 損金算入による税負担の圧縮

建設業では「現場に強い人材確保」と「安定経営」が重要な課題であり、養老保険はその両方を支援するツールといえます。


第2章:養老保険の節税効果の仕組み

2-1 損金算入とは

法人が支払う保険料を「損金」として計上できれば、その分課税所得が減り、法人税が軽減されます。
ただし、養老保険の保険料がすべて損金算入できるわけではなく、契約内容によって扱いが異なります。

一般的な契約形態の例:

契約形態死亡保険金受取人満期保険金受取人損金算入割合
1. 法人契約・死亡金遺族・満期金法人被保険者の遺族法人1/2損金算入(1/2資産計上)
2. 法人契約・死亡金法人・満期金法人法人法人全額資産計上(損金算入不可)
3. 法人契約・死亡金遺族・満期金遺族被保険者の遺族被保険者の遺族全額給与扱い(損金算入可能だが課税あり)

このように、受取人の設定が節税効果を左右するため、契約設計時の慎重な検討が欠かせません。


2-2 「ハーフタックスプラン」の考え方

法人契約の養老保険では、保険料のうち1/2を損金算入できる「ハーフタックスプラン」が代表的です。
具体的には、死亡保険金の受取人を遺族、満期保険金の受取人を法人とすることで、保険料の50%を損金に算入し、残り50%を資産計上とする方法です。

たとえば年間保険料が300万円の場合、

  • 150万円が損金算入 → 法人税軽減効果
  • 150万円が資産計上 → 将来の退職金原資等に充当可能

このように、税負担を平準化しながら、将来的な資金準備にもつなげることができます。


2-3 税制改正と留意点

2019年以降の税制改正により、貯蓄性の高い法人保険の損金算入が厳しくなりました。
特に、解約返戻率の高い商品(返戻率70%超など)については、保険料の大部分が資産計上となり、従来のような節税効果は限定的です。

そのため、建設会社が検討すべきポイントは以下の通りです:

  • 節税だけを目的とした契約は避ける
  • 福利厚生・退職金準備・リスク対策を目的とする
  • 保険料負担とキャッシュフローのバランスを考慮
  • 保険料が「毎年安定的に支払える金額」であること

参考:小規模事業者持続化補助金HP

第3章:建設会社特有の留意点

3-1 外注・協力会社の多い構造

建設業は、外注や一人親方を多く抱えるため、保険加入の範囲や福利厚生制度の適用範囲に注意が必要です。
福利厚生目的で契約する場合は、「特定の役員だけを対象にする」契約は税務上否認される可能性があります。
したがって、被保険者の範囲を「勤続年数」「職種」「役職」など合理的基準で設定し、**社内規程(福利厚生規程)**を整備することが重要です。

3-2 決算対策での一括契約のリスク

決算期に急いで高額な保険契約を結ぶと、「節税目的のみの契約」と見なされるリスクがあります。
税務署は「継続性」「経営上の合理性」「福利厚生目的の有無」を重視するため、計画的な設計と書面による根拠の整備が求められます。


第4章:建設会社向け 養老保険の活用モデル

ここでは、具体的な建設会社を想定してシミュレーションを行います。

4-1 モデルケース

  • 年商:2億円
  • 従業員:6名(社長+職人4名+事務1名)
  • 平均利益:2,000万円/年
  • 保険契約:養老保険(10年満期・年間保険料300万円)
  • 契約形態:死亡保険金=遺族、満期保険金=法人

4-2 節税効果の試算

項目内容
年間保険料300万円
損金算入額(1/2)150万円
法人税率(仮)30%
節税額150万円 × 30% = 45万円/年

10年間継続すれば、累計で450万円の法人税軽減効果が期待できます。
同時に、満期時には法人が**満期保険金2,400万円(返戻率80%想定)**を受け取ることができます。
この資金を役員退職金に充てる、または新設備投資の内部留保に充てるなどの活用が可能です。


第5章:補助金との併用でさらに効果を高める

建設業は補助金制度との親和性が高い業種です。
補助金を活用しながら、養老保険で資金計画を組み合わせることで、資金効率を飛躍的に高めることができます。

5-1 建設業で活用可能な主な補助金

  • ものづくり補助金(設備投資・省力化)
  • IT導入補助金(建設管理アプリ・勤怠システムなど)
  • 事業再構築補助金(新分野展開・リフォーム事業参入など)
  • 省力化投資補助金(現場効率化のための機械導入)
  • 小規模事業者持続化補助金(ホームページ制作・採用活動など)

補助金で設備投資を行い、余剰利益を養老保険へ積み立てることで、
「設備投資+福利厚生+節税」の三位一体型経営を実現できます。


第6章:導入時のチェックポイント

  1. 契約目的の明確化(退職金準備/福利厚生/リスク対策)
  2. 受取人設定の整合性(死亡保険金:遺族/満期保険金:法人)
  3. 社内規程の整備(福利厚生規程に明記)
  4. 契約金額の適正化(キャッシュフローを圧迫しない水準)
  5. 補助金活用との整合性(資金支出時期・会計処理)
  6. 解約時・満期時の課税処理(益金算入・一時所得課税)

第7章:導入手順(行政書士 × 保険エージェント視点)

  1. 会社の財務・人員構成・既存保険をヒアリング
  2. 福利厚生規程・退職金制度の有無を確認
  3. 最適な契約形態と保険商品を選定
  4. シミュレーション資料を作成(税効果・返戻率・資金計画)
  5. 契約締結・社内規程改定
  6. 補助金申請スケジュールとの整合を確認
  7. 毎年度のフォローアップ(損金算入額・返戻金状況)

第8章:よくある質問

Q1:少人数の建設会社でも加入する意味はありますか?
あります。役員や主要従業員の退職金準備、万一の保障、福利厚生を兼ねた制度設計が可能です。

Q2:全額損金にできる保険はありますか?
原則として、養老保険で全額損金は難しくなっています。保険料の一部のみが損金算入対象です。

Q3:補助金との併用は可能ですか?
可能です。補助金を利用した設備投資や人材育成の後、余剰利益を養老保険へ積み立てる設計が最も効果的です。


第9章:まとめ

建設会社が養老保険を導入する最大の目的は、単なる節税ではありません。
むしろ、「退職金準備」「資金繰りの安定化」「福利厚生」「リスク対策」など、経営の基盤を整えるための手段です。

  • 節税効果は「課税の繰延べ」であることを理解する
  • 税務リスクを避けるため、契約形態と目的を明確に
  • 社内規程を整備し、福利厚生制度としての合理性を確保
  • 補助金制度と連携させて、資金効率を最大化

第10章:専門家に相談すべき理由

養老保険の契約には、税務・会計・労務・補助金すべての視点が関係します。
行政書士としての法務・補助金の知識と、保険エージェントとしての金融スキルを組み合わせることで、建設業に最適なスキームを構築できます。

もし、「節税+補助金+資金設計」を一体的に進めたい経営者の方は、専門家にご相談ください。
オンライン面談にも対応しており、全国どこからでもご相談いただけます。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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