兵庫県西宮市、大阪市、神戸市、尼崎市、宝塚市等でクリニック開業(医院、歯科)の手続きサポート専門のカミーユ行政書士事務所です。
今回はクリニック開業(医院、歯科)の手続きや流れ、スケジュールは?をテーマに解説をさせて頂きます。
クリニック開業に伴う膨大な数の公的な書類作成や手続き代行は国家資格保有者である行政書士にお任せ下さい。
当事務所ではご相談は何度でも無料であり、兵庫、大阪、京都、滋賀などの近隣は勿論、全国対応しておりますのでご安心下さい。

クリニック開業(医院、歯科)の4つの方法とは?
クリニックを開業する際に医師、歯科医師個人で開業するか医療法人を作って開業するかのみの方法でしか開業できないわけではなく、開業する際には4つの方法があります。
①医師・歯科医師個人で開業
②医療法人を設立して開業
③非営利法人で開業
④株式会社で開業
クリニックそれぞれの形態で開業した場合の概要は下記のようになります。
開業には膨大な書類の提出が必要であるのは大前提となっています。
【法人設立・診療所開設】 | 個人クリニック | 医療法人 | 一般社団法人 |
法人設立の手続き | 法人設立 手続きなし | ●都道府県に設立許可申請 (受付期間あり。年2回) ●許可までに半年以上 ●さらに法務局で登記 (1~2週間) | ●公証役場で定款認定 ●法務局で登記 (1~2週間) |
設立費用 | 0円 | ●設立許可 →行政書士 60万円前後 ●登記費用 →0円 | ●公証役場 →認証手数料5万円+付随費用 ●登記費用 →6万円 |
診療所開設手続き | 保健所→「診療所開設届」提出 (開設後10日以内) | 保健所→「診療所開設許可申請」 許可を受けたら 保健所→「診療所開設届」 (開設後10日以内) | 保健所→「診療所開設許可申請」 許可を受けたら 保健所→「診療所開設届」 (開設後10日以内) |
開設許可までの期間 | 診療所開設届を出せば終了 | 1ヶ月程度 | 早ければ1ヶ月~数ヶ月 事前に保健所と相談しておくと早くなる |
開設許可の費用 | 2万円 | 2万円 | 2万円 |
【税金面】 | |||
所得税・法人税 | 所得に応じて5~45% | 年800万円以下の所得は15% 年800万円超の所得は23.2% 地方法人税 10.3% | 年800万円以下の所得は15% 年800万円超の所得は23.2% 地方法人税 10.3% |
都道府県民税 | 4%(所得割) | 1%(法人税割) | 1%(法人税割) |
個人事業税・ 法人事業税 | 5% | 年400万円以下の所得は3.5% 年400万円超の所得は4.9% | 年400万円以下の所得は3.5% 年400万円超 800万円以下の所得は5.3% 800万円超 の所得は7.0% |
区市町村民税 | 6%(所得割) | 6%(法人税割) | 6%(法人税割) |
消費税 | 消費税課税事業者に対して課税 | 消費税課税事業者に対して課税 | 消費税課税事業者に対して課税 |
相続税 | 原則としてすべての財産が課税対象 | 経過措置型医療法人の出資持分は課税対象 | 特定の一般社団法人は個人とみなして課税対象 |
以下でそれぞれの開業形態に応じて注意すべき点やポイントがありますので順次解説をしていきたいと思います。

①医師・歯科医師個人で開業する際の注意点やポイント
それでは医師・歯科医師個人で開業する際の注意点やポイントについて解説していきます。
医療法第8条の規定により、臨床研修を受けている医師や歯科医師は自由に開業することが可能です。
医療法の規定では自由開業制となっていますが、注意点があります。
開業後10日以内に都道府県知事に対して診療所開設届を出すことにはなっていますが、保健所の事前相談が必須となっている点に注意が必要です。
保健所によってはクリニックの構造が不適切との判断をし、開設届が受理されないというケースがあります。
実際には診療所開設届を出す際に図面を持参して保健所にて事前相談が必要としている保健所がほとんどです。
保健所によっては図面での事前協議に加えて実地調査を行う保健所もあります。
この保健所の事前調査を軽視してクリニックの開設をサポートするコンサルなどがおり、追加工事などが発生したり、開設届が受理されないといったトラブルもあります。
そのようなトラブルを避けるためにも行政上の手続きは国家資格保有者である行政書士に依頼されることをお薦めさせて頂きます。
②医療法人設立で開業する際の注意点やポイント
次に医療法人設立して開業する際のポイントについて見ていきたいと思います。
医療法人の設立は完了するまでに9ヶ月位かかる上、スケジュールが決まっているので、計画的に準備する必要があります。
都道府県によってスケジュールは異なりますが、年2回しか医療法人の設立許可申請を受け付けていません。
その受付期間も1周間程度と非常に短く、その期間に申請をしないと受け付けてもらえません。
申請書作成のためにも書類準備期間として数ヶ月かかります。
更に許可書の交付がされるまで半年かかりますから、合計すると設立まで9ヶ月ほどかかります。
また、医療法人の定款は特殊で都道府県がつくった定款例をもとに作るため、ほとんど自由度はなく、同じ都道府県ならほぼ内容は同じの定款になります。
医療法第7条1項によりますと「臨床研修を修了した医師・歯科医師以外のものが診療所を開設しようとするときは開設地の都道府県知事の許可を得なければならない」と定めています。
医療法人で開設するときは保健所に対して診療所開設許可申請が必要になってきます。
しかし医療法人の設立には株式会社や一般社団法人とは違い、都道府県知事などによる認可が必要になってきます。
個人で開設しているクリニックを医療法人化したい時や最初から医療法人でクリニックを開業したい時には最初に都道府県知事に対して医療法人設立認可申請をすることになります。
そして医療法人設立の認可が行われた後に法務局で登記をしないといけません。
登記が終わってから保健所に対して診療所開設許可申請を行い、クリニック開業を行うことができるようになります。
③非営利法人で開業する際の注意点やポイント
医療法第7条1項によりますと「臨床研修を修了した医師・歯科医師以外のものが診療所を開設しようとするときは開設地の都道府県知事の許可を得なければならない」と定めています。
しかしながら医療法人以外の法人がクリニックを開業できないとは書かれていません。
ただし医療法第7条6項には営利を目的とする者には第1項の許可を与えないことができると記載があります。
第7条
6 営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、第4項の規定にかかわらず、第1項の許可を与えないことができる。
簡単に言いますと株式会社などの営利法人はクリニックの開設はできず、非営利法人のみがクリニックの開設をできることになります。
医療法人以外の法人も医療法人と同様に非営利性の徹底を図ることが前提となりますが、 一般社団法人や一般財団法人等でも診療所の開設が可能であります。
なお、 一般財団法人にも非営利型があるので診療所の開設は可能ですが、 一般財団法人は財産(300万円以上) を拠出して設立する必要があり、 拠出された財産そのものに法人格が与えられます。
ただし、財産に法人格が与えられているので、 純資産額が2期連続して 300万円を下回った場合は解散しなければなりません。
様々な医療環境や事業環境を鑑みますと純資産額がマイナスになるケースはあるかと思います。
このような背景があることにより、クリニックを開業するときに非営利法人を選択する際には一般社団法人にて開業するケースが増えています。
一般社団法人の場合には法務局で登記をしてその後に法務局に対して診療所開設許可申請をすることによりクリニックを開業することができます。
非営利型医療法人のメリット
①医師ではなくても、クリニックが経営できるので、医師ではないお子さんにも事業譲渡できます。
一般社団法人の経営者は医師や歯科医師などと限定はされていません。
そのため、非医師のお子様であっても、事業承継を行う事ができます。
「子供は医師にはならなかったけど、孫が医師になりたいと言っていて、孫の代までどうにか残してやりたい!」という方や、「子供は看護師(歯科技工士、理学療法士)などの職業についたから、一般社団法人として経営を任せたい」という方に選ばれています。
②株式会社で行っていたリハビリテーションを、地域包括ケアにシフトチェンジも可能
一般社団法人は、医療法人と異なり、業務に規制がありません。
そのため、訪問看護ステーションを経営されていた方が、地域包括ケアに移行するために一般社団法人を設立して、リハビリテーションの幅を広げたり、オンライン診察などを行うこともできます。
③医療法人よりスピーディーに開設
医療法人よりも早く、設立の時期も自由に決められる一般社団法人のクリニックの開設は、スピーディーに開設したい方には向いています。
クリニックを開設するためには予め場所を決めて、借りておく必要があるので、きちんと事前に保健所に相談などをして、早く開設できるように準備しておくことで半年ほど、早く開業できれば、その分の家賃の回収もできるようになります。
④株式会社で開業する際の注意点やポイント
株式会社でクリニックを開業できないと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、「専ら当該法人の職員の福利厚生を目的とする場合」は営利法人である株式会社でもクリニックを開業することができます。
実際に株式会社でクリニックを開業されているケースはまだまだ少ないのが現状となっています。
①~③が主流と言えるでしょう。
いかがでしたか?
お聞きしてみたいことがございましたらお気軽にご相談ください(相談は無料です)。
