兵庫県西宮市の共同生活援助(グループホーム)などの障害福祉サービス指定申請を専門にしているカミーユ行政書士事務所です。
今回は共同生活援助(グループホーム)の開所・運営を解説!報酬や加算、人員配置は?をテーマに解説をしていきます。
当事務所では尼崎市、神戸市、宝塚市、伊丹市等の兵庫県近隣に加えて大阪府や京都府、全国も対応をしていますのでお気軽にご相談下さい。
共同生活援助(グループホーム)とは?
共同生活援助(グループホーム)には、以下の3種類があります。
この3種類の形態の中で最も多いのが、介護サービス包括型のグループホームとなっており、グループホーム全体の85%と圧倒的に多いのが実情です。
そのため本記事では介護サービス包括型を中心に解説をしていきます。
- 介護サービス包括型グループホーム
事業者が自ら介護サービスを提供します。
事業者は利用者の状態(障害支援区分)に応じて介護スタッフ(生活支援員)を配置します。
- 日中サービス支援型グループホーム
日中もグループホームで過ごす方を主な対象として、昼夜を通じた常時の支援体制を確保した上で、事業者自らが介護サービスを提供します。
- 外部サービス利用型グループホーム
外部の居宅介護事業者に介護サービスを委託し、事業者はアレンジメント(手配)のみを行います。
介護スタッフ(生活支援員)の配置は不要です。
グループホームの必要な人員配置基準は?
グループホームを開設・運営していく上で必要な人員配置基準について解説をしていきます。
管理者
常勤1人
事業所の従業者及び業務の管理、その他の管理を一元的に行います。
業務に差し支えない範囲で他の業務との兼務可能です。
サービス管理責任者
個別支援計画の作成、従事者に対する技術指導等のサービス内容の管理、他事業や関係機関との連絡調整等を行います。
サービス管理責任者として届け出るためには、実務経験の要件を満たし、サービス管理責任者になるための研修を修了している必要があります。
利用者数30人以下:1
利用者数31人以上:30人を超えるごとにさらに1人
障害者グループホームの場合、サービス管理責任者は非常勤で配置できます。
常勤換算上の人数の定めもなく、代わりにサービス管理責任者としての業務を適切に遂行するための勤務時間を確保することとされています。
業務に支障がなければ他職種との兼務も可能ですが、利用定員が20人以上の場合は、できる限り専従で配置することが求められます。
サービス管理責任者として配置するには所定の分野での実務経験と、実務経験に応じた所定の研修を修了している必要があります。
以下はその際の注意点です。
世話人
食事の提供、健康管理・金銭管理の援助等、日常生活に必要な相談・援助を行います。
常勤換算で、「利用者数」を4で除した数以上(世話人配置4:1)
常勤加算で、「利用者数」を5で除した数以上(世話人配置5:1)
常勤換算で、「利用者数」を6で除した数以上(世話人配置6:1)
介護サービス包括型、外部サービス利用型の場合
前年度の平均利用者数(開業時は定められた推定値)に対して6:1以上の配置が必要です(常勤換算)※。
また5:1以上、4:1以上と人員基準より手厚く配置することで高い単位数の基本報酬を算定できます。
世話人は非常勤でも問題ありませんが、同じ人を複数の職種で配置する場合は、職種ごとに時間を分ける必要があります。
日中サービス支援型の場合
前年度の平均利用者数(開業時は定められた推定値)に対して5:1以上の配置が必要です(常勤換算)。
また4:1以上、3:1以上と人員基準より手厚く配置すると、高い単位数の基本報酬を算定できます。
日中サービス支援型グループホームの場合、世話人と生活支援員のうち、少なくとも1人は「常勤」での配置が必要なので注意しましょう。
また同じ人を複数の職種で配置する場合は、職種ごとに時間を分けなければいけません。
▼ 必要な世話人の数を計算する
(例)所定労働時間が週40時間、前年度の平均利用者数が6人の事業所が4:1で配置する場合
40時間×(6÷4)=60時間以上
⇒1週間に世話人を60時間以上配置する必要がある
資格・実務の要件に関しては特にありません。
生活支援員
食事や入浴、排せつ又は食事の介護その他直接的な介護を行います。
常勤換算で、(1)~(4)の合計数以上
(1)障害支援区分3の「利用者数」を9で除した数
(2)障害支援区分4の「利用者数」を6で除した数
(3)障害支援区分5の「利用者数」を4で除した数
(4)障害支援区分6の「利用者数」を2.5で除した数
介護サービス包括型、日中サービス支援型の場合
前年度に障害支援区分3以上の利用者がいる場合(開業時は見込み)、以下で算出した人数の合計数以上の生活支援員が必要です(常勤換算)。
なお事業所は、限られた例外を除いて事業所の都合では利用を断れません(提供拒否の禁止)。
そのため開業時に区分3の利用者を見込んでいなかったとしても、実際には区分3以上の方が利用することもあります。
生活支援員は非常勤でも問題ありませんが、同じ人を複数の職種で配置する場合は、職種ごとに時間を分ける必要があります。
ただし日中サービス支援型グループホームの場合、世話人と生活支援員のうち、少なくとも1人は「常勤」で配置しなければいけません。
▼ 必要な生活支援員の数を計算する
(例)所定労働時間が週40時間で、前年度の平均利用者数が区分4…2人、区分5…2人、区分6…2人の事業所
【区分4】40時間×(2÷6)=12時間
【区分5】40時間×(2÷4)=20時間
【区分6】40時間×(2÷2.5)=32時間
⇒合計で1週間に64時間以上の生活支援員の配置が必要
外部サービス利用型の場合
外部の居宅介護事業所が介護を実施するため、生活支援員は不要です。
資格・実務の要件は特にありません。
夜間支援従事者
夜間及び深夜の時間帯(利用者の生活サイクルに応じ1日の活動終了時刻から開始時間まで(午後10時~午前5時は最低限含む))に支援を行います。
必ずしも配置は必要ありませんが、夜間支援従事者として、夜勤者や宿直者を配置した場合には加算報酬があります。
夜間支援従事者を配置する「夜間及び深夜」が具体的に何時から何時までを指すのかは、利用者の生活リズムに合わせて事業所が設定します。ただし夜間支援等体制加算Ⅰを算定する場合には、少なくとも22時~翌5時を含むこととされています。
介護サービス包括型、外部サービス利用型の場合
人員基準上は不要ですが、配置して要件を満たすと「夜間支援等体制加算」を算定できます。
日中サービス支援型
日中サービス支援型のグループホームでは、夜間支援従事者(夜勤職員)1人以上の配置が必要です。
2人目以降は要件を満たすと「夜勤職員加配加算」の対象となります。
夜間支援従事者は非常勤でも問題ありませんが、同じ人を複数の職種で配置する場合は、職種ごとに時間を分ける必要があります。
資格・実務の要件は特にありません。
注意!気を付けたい人員配置のポイント
気を付けたい人員配置のポイントについて解説をします。
世話人の人員配置は、開業してから半年が経過するとその半年間の利用者数によって左右されますが、計算方法を教えて下さい。
<利用者数の計算>
各月の総利用回数:30+62+90+124+124+120+124=550
÷
半年間の営業日 :30+31+30+31+31+30=183
≒3. 1
<世話人の必要配置(常勤換算)の計算>
包括/外部:3.1÷6≒0.6
日中 :3.1÷5≒0.7
仮に定員が5名のグループホームだとすると90%の見込みの4.5の常勤換算数で人員配置を考えますから、上記の実績だと半年後には人員配置が緩和されることがわかります。
ただしこのような計算を開業後の半年間は毎月する必要があるのでご注意ください。
生活支援員の配置の計算方法についても教えてください。
グループホーム設立時には見込み利用者として簡便のために同じ区分利用者を想定している場合が多いので、半年後の計算では区分ごとに計算し直す必要がある点にご注意ください。
注意して頂きたいところとしては、障害の区分認定が変わるとその都度計算の方法も異なる点です。
生活支援員の人員配置の計算の仕方は、次から次に入居して来る利用者の障害区分によって変化する点にご留意ください。
<区分3の利用者数の計算>
各月の総利用回数:30+62+62+93+93+93=433
÷
半年間の営業日 :30+31+30+31+31+30=183
≒2.4
<区分4の利用者数の計算>
各月の総利用回数:30+31+31+30=122
÷
半年間の営業日 :30+31+30+31+31+30+31=214
≒0.6
<生活支援員の必要配置(常勤換算)の計算>
2.4÷9+0.6÷6=0.4
世話人や生活支援員の勤務時間帯で注意すべきことはありますか?
注意すべき点がありますのでこちらをご覧ください。
障害者グループホームの一日は「夜間及び深夜の時間帯」と「それ以外」の時間帯に分かれます。世話人・生活支援員は、夜間及び深夜以外の時間帯で人員基準を満たすように配置する必要があります。
たとえば世話人や生活支援員として配置している職員が「夜間及び深夜」に勤務したとしても、その時間を世話人や生活支援員としての常勤換算に含めて基準を満たすことはできません。
世話人や生活支援員が夜間支援従事者になる場合は、「世話人(あるいは生活支援員)兼夜間支援従事者」として配置したうえで、世話人や生活支援員としての勤務時間数と夜間支援従事者としての勤務時間数を分けて管理する必要があります。
間違えると世話人や生活支援員の数が配置基準を下回るため注意しましょう。
・介護サービス包括型:深夜以外の活動終了時刻から開始時刻までの時間帯
・日中サービス支援型:深夜以外の時間帯
・外部サービス利用型:深夜以外の活動終了時刻から開始時刻までの時間帯
グループホームの報酬は?改訂のポイントは?
障害支援区分ごとの基本報酬について、重度障害者の受入れなどサービスの支援内容や経営の実態等を踏まえて見直しが行われました。
世話人の配置基準に応じた基本報酬区分を改め、サービス提供時間の実態に応じて加算する報酬体系へと見直されました。
現行は、世話人の配置による区分が4:1、5:1、6:1の3つに分かれていましたが、改定後は6:1のみの区分となります。
日中支援加算(Ⅱ)について、介護サービス包括型及び外部サービス利用型においては支援を提供した初日から評価を行うとともに、日中サービス支援型においては廃止されます。
人員配置体制加算【新設】
世話人の配置基準が4:1と5:1が削除されたことに伴い、事業所に置くべき世話人及び生活支援員に加え、特定従業者数換算方法で、利用者の数を12または30で割った数以上の世話人又は生活支援員が配置されている事業所において、利用者に対し、サービスの提供を行った場合に、障害支援区分に応じて、1日につき所定単位数が加算されます。
※ 「特定従業者数換算方法」 … 従業者の勤務延べ時間数を除すべき時間数を40時間として、従業者の員数に換算する方法。
通常の常勤換算方法では、事業所の常勤職員の勤務すべき時間によって、従業者の延べ勤務時間を32時間~40時間で割るのかが違ってきますが、この特定従業者数換算方法は、どの事業所でも40時間で割るというのが一律に決められているということです。
「ピアサポート実施加算」「退居後ピアサポート実施加算」【新設】
【単位数】100単位/月
以下1~3の要件をすべて満たす事業所で、ピアサポート研修を修了した障害がある従業者など(※)が利用者に相談援助を行った場合に算定できます。
1,自立生活支援加算(Ⅲ)、退居後共同生活援助サービス費、退居後外部サービス利用型共同生活援助サービス費のいずれかを算定していること
2,障害者ピアサポート研修修了者を従業者として2人以上(うち1人は障害がある/あった者)配置していること
3,事業所の従業員に向けて、②の者による障害への配慮などに関する研修が年1回以上実施されていること
「集中的支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)」【新設】
状態が悪化した強度行動障害がある利用者への支援を評価する加算です。
● 集中的支援加算(Ⅰ)
【単位数】1,000単位/回
強度行動障害がある利用者の状態が悪化した場合に、広域的支援人材(※)を事業所に招いて集中的な支援を行った場合の加算です。3か月以内の期間に限り、1か月に4回を限度として算定できます。
● 集中的支援加算(Ⅱ)
【単位数】500単位/日
共同生活援助など居住支援系サービスが、集中的な支援が必要な利用者を他の障害福祉サービス事業所などから受け入れて支援した場合の加算です。3か月以内の期間に限り、1日ごとに算定できます。
新興感染症等施設療養加算【新設】
【単位数】240単位/日
利用者が別に厚生労働大臣が定める感染症(※)に感染した場合に、相談対応、診療、入院調整などを行う医療機関を確保している障害者グループホームで、その利用者に対して、適切な感染対策をした上でサービス提供した場合の加算です。
1か月に5日まで算定できます。
高次脳機能障害者支援体制加算【新設】
【単位数】41単位/日
高次脳機能障害のある人への専門的な支援を評価する加算です。
高次脳機能障害がある利用者が全体の利用者数の30%以上で、高次脳機能障害支援者養成研修を修了した従業者を50:1以上で配置し、それを公表している場合に算定できます。
自立生活支援加算(Ⅰ)【新設】
【対象】介護サービス包括型、外部サービス利用型
【単位数】1,000単位/月
個別支援計画を見直した上で、一人暮らしなどに向けた支援を行った場合の加算です。6か月間に限り算定できます。
その他、以下の場合には単位数を追加して算定できます。
居住支援法人または居住支援協議会に対して月に1回以上必要な情報を共有した場合…35単位/月を追加
居住支援法人と共同し、利用者に在宅での療養に必要な説明と指導を行った上で、関係者による協議の場に対して住宅確保と居住支援に関する課題を報告した場合…500単位/月を追加
自立生活支援加算(Ⅱ)【新設】
【対象】介護サービス包括型、外部サービス利用型
【単位数】40~80単位/日
以下のような要件を満たす事業所で、一人暮らしなどに向けた支援を行った場合の加算です。
- 移行支援住居(※)(定員2人以上7人以下)を1つ以上有する
- 事業所に置くべきサービス管理責任者に加えて、移行支援住居に専従かつ社会福祉士または精神保健福祉士の資格を持つサービス管理責任者が7:1以上配置されている
- 移行支援住居の入居者に対し、一人暮らしに向けた相談や外出同行、関係機関との連絡調整などの支援を実施する
- 移行支援住居への入居に際して、利用者の意向を反映した個別支援計画を作成する
- 居住支援法人または居住支援協議会に対して、定期的に、利用者の住宅確保と居住支援に必要な情報を共有する
- 居住支援法人と共同し、利用者に在宅での療養に必要な説明と指導を行った上で、関係者による協議の場に対して住宅確保と居住支援に関する課題を定期的に報告する
利用期間 | 単位数 |
3年以内 | 80単位/日 |
3年超4年以内 | 72単位/日 |
4年超~5年以内 | 56単位/日 |
5年超~ | 40単位/日 |
いかがでしたか?
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