施設外就労(就労継続支援)の注意点、気を付けるべきポイントは?

兵庫県西宮市の障害福祉サービス専門のカミーユ行政書士事務所です。

今回は施設外就労(就労継続支援)の注意点、気を付けるべきポイントについて解説をしていきます。

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目次

施設外就労の流れ

施設外就労を行う上でいくつか確認するべき流れがありますので注意しましょう。

①障害福祉課などへの確認

どこの企業へ出向き、どういった作業をするのか、ということを障害福祉課に伝えておきましょう。

自治体によっては報告が不要なこともあり、扱いが異なる部分ではあります。

ですが、勝手に施設外就労をした結果、認めてもらえない可能性もありえます。

そんなことのないように、万全の状態で施設外就労を実施できるようにしましょう。

②個別支援計画への記載

個別支援計画に、施設外就労を実施する旨を記載しておく必要があります。

この記載がない場合、個別支援計画を無視したサービスの提供とみなされてしまいます。

あらかじめ組み込んでおくか、施設外就労実施前に内容を更新しましょう。

③施設外就労先の企業と、業務委託契約を締結

必ず業務委託契約書を交わしましょう。

原則、業務委託契約書がなければ施設外就労が認められません。

また、企業間トラブルを避けるためにも、業務委託契約書の作成は必要です。

④支援員の適切な配置

施設外就労先にも、支援員の配置が必要です。

配置要件の「6:1」を満たすように配置します。

このときに気をつけたいのが、事業所内が支援員不足にならないようにすることです。

施設外就労に支援員が出向いた結果、事業所内の配置基準を満たさなくなるケースが散見されます。

場合によっては、報酬の返還等につながりますので、気をつけましょう。

⑤利用者への指導について

利用者への指導は、必ず支援員が行います。

施設外就労先の従業員が、利用者へ直接指導することのないようにしましょう。

・業務委託契約であること

・施設外就労先企業に従事するのではなく、支援の一環として行っていること

などが、理由として挙げられます。

【作業等の指導】

施設外就労先

従業員→支援員→利用者

この流れを忘れないようにしましょう。

⑥モニタリングの実施

施設外就労が始まったら、事業所または企業でのモニタリングが必要です。

月に2回、作業の様子や課題などを確認するため、モニタリングを行います。

忘れずに、記録を取り、保管しておきましょう。

<施設外就労の評価のポイント>

・施設外就労の実施内容や体調について記す

・施設外就労の課題を達成できていたか否かの評価を下す

・施設外就労に対する利用者の感想を記す

・施設外就労における個別支援計画の達成度を記す

・今後も施設外就労を実施し続けるのか評価を下す

⑦障害福祉課などへの報告

月に1度、障害福祉課などへ、施設外就労の結果を報告する必要があります。

施設外就労の要件は?

就労継続支援(就労継続支援A型・就労継続支援B型)の事業所様から最も多いご相談がこの施設外就労です。

就労継続支援では、利用者さんが事業所に通所して支援を行うことが原則ですが、利用者さんが企業から請け負った作業を、その企業内で行う場合があります。この場合、就労継続支援の事業所の職員が同行して所定の支援を行った場合に算定できるのが施設外就労です。

※施設外就労「加算」については、令和3年度の障がい福祉サービス等報酬改定時に廃止されましたが、施設外就労の制度そのものは引き続き実施していくこととされました。

対象サービス

就労継続支援A型

就労継続支援B型

施設外就労の要件

施設外就労を算定するには、施設外就労の要件を満たしていなければなりません。

施設外就労には非常に多くのルールがありますが、その概要は以下のようになります。

・施設外就労を行う日の利用者数に対して人員配置基準上又は報酬算定上必要とされる人員(常勤換算)の職員を配置するとともに、事業所についても施設外就労を行う者を除いた前年度の平均利用者数に対して報酬算定上必要とされる人数(常勤換算)の職員を配置している。

・施設外就労先の企業と作業についての「請負契約」を締結していること。

つまり、当該就労継続支援事業所を運営している法人と請負契約を締結できる関係でなければならず、同一法人内では請負契約の当事者となることはできないので、施設外就労先の企業は、当該就労継続支援事業所を運営している法人とは別法人でなければなりません。

・事業所は請け負った作業を施設外就労先の企業から独立して行い、利用者に対する指導等については事業所が自ら行っている。

・事業所が請け負った作業について、利用者と施設外就労先の企業の従業員が共同で処理していないこと。

・施設外就労の提供が、運営規程に位置付けられていること。

・施設外就労を含めた個別支援計画が事前に作成されていること。

・施設外就労により就労している者と同数の者を主たる事業所の利用者として、新たに受け入れることが可能であること。

・施設外就労に関する実績報告書を施設外就労を行った翌月に市町村に対し提出していること。

・施設外就労の報酬の適用単価については、主たる事務所の利用定員に基づく報酬単価を適用すること。

参考:厚生労働省 施設外就労状況

施設外就労の人員配置は?

施設外就労を行う日の利用者数に対して、報酬算定上必要とされる人数の職員を配置する必要があります。

※人数の算出は常勤換算の方法によります。

<就B(10:1;1日8時間勤務):施設外利用者4名>

必要な職員数 = 4 ÷ 10 = 0.4

→ 8時間 × 0.4 = 3.2時間

※注意点1:常時の職員1人配置

施設外において3.2時間配置する必要があるが、そもそも常時に職員を1人配置しなければいけません。

例えば5時間の施設外就労の契約なら3.2時間だけでなく5時間通して配置する必要があります。

※注意点2:事業所内の人員配置の適正化

事業所本体で残された利用者数を根拠に、報酬請求のための人員配置を行う必要があります。

例えば昨年度平均19人なら、

{19(昨年平均) - 4(施設外)} ÷ 10 = 1.5

→ 8時間 × 1.5人 = 12時間 

 施設外就労を実施する事業所で、計算ミスが多発しているのでご注意ください。

特に利用者だけの時間を作っているパターンや、事業所本体の人員配置の計算をしていないパターンを多く見かけます。

また施設外の就労先のスタッフに指導させているケースも見られますが、このケースは支援として認められないのでご注意ください。

<施設外の人員配置の注意点>

・事業所本体や施設外のどちらかで人員配置の基準を満たさない場合は,施設外就労の利用者全員の基本報酬の算定ができない

・施設外就労に従事する利用者は,従事時間に関係なく当該日は施設外就労となる(※自治体により見解が異なるのでご注意ください。)

・施設外の職員に賃金向上達成指導員や目標工賃達成指導員は含まれない

・管理者やサービス管理責任者は事業所本体に配置する必要あり

施設外就労とは、就労能力の向上や工賃等の向上及び一般就労への移行に資するため、利用者と職員がユニットを組み、企業から請け負った作業をその企業内で行う支援をいいます。

いかがでしたか?

お聞きしてみたいことがございましたらお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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