兵庫県西宮市で建設業許可申請を取り扱っているカミーユ行政書士事務所です。
今回のテーマは電気工事業の建設業許可と電気工事業登録の違いは?について解説をしていきます。
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建設業許可における電気工事とは?
電気工事とは、一般的に次のような工事と定義されています。
- 発電設備工事
- 送配電線工事
- 引込線工事
- 変電設備工事
- 構内電気設備工事
- 非常用電気設備工事
- 照明設備工事
- 電車線工事
- 信号設備工事
- ネオン装置工事
- 避雷針工事
- 太陽光発電設備設置工事
太陽光発電設備工事のうち、屋根一体型のものは「屋根工事業」に分類されます。
建設業許可における電気工事とは
建設業許可の電気工事業が必要な場合ですが500万円以上の電気工事を請負う場合に必要となります。
ここでの電気工事とは、発電設備や変電設備、送配電設備といった設備を設置する工事のことです。
また、自社において施工しない場合(現場を監理監督する場合等)でも建設業許可は必要になります。
この注意点は後ほど説明します。電気工事業登録と異なる点ですので注意が必要です。
電気工事業を取る為には、以下の条件を満たした上で、必要な申請手続きをする必要があります。
電気工事業の許可を取る為の必要な条件5つあります。
①建設業を営む業者での役員、もしくは個人事業主の経験が5年以上ある
②電気工事業に関する資格、または左官工事の実務経験が10年以上ある
③誠実性がある(過去に不正な行為をしていない)
④500万円以上の資金力がある
⑤欠格要件(過去5年で懲役刑を受けていない、暴力員でない等)に該当していない
⑥社会保険に加入している(法人の場合)
この条件を全て満たしていれば電気工事業の許可を取ることが出来ます。
「一般用電気工作物又は一般用電気工作物及び自家用電気工作物に係る電気工事」を請け負うには、建設業許可とは別に、経済産業大臣又は都道府県知事から「電気工事業者の登録」を受ける必要があります。
上記の工事は電気工事業に係る工事の多くが該当しますので、電気工事業は「建設業許可」と「電気工事業登録」がセットで必要と考えておきましょう。
※要チェック!
そもそも許可を申請する業者が今まで請け負ってきた工事や、これから許可を取って請け負う予定の工事の種類が、電気工事業に該当する専門工事である事は、大前提としておさえておかないといけません。
この記事の後半では電気工事業の許可を取る事で請け負う事ができる専門工事について詳しく解説します。
①電気工事業者での役員や個人事業主の経験が5年以上必要に
電気工事業の許可を取る為には、法人の場合は役員のうちの1人以上が、個人の場合はその個人事業主が、以下の経験を積んでいる必要があります。
建設業を営む会社の役員(取締役など)、もしくは個人事業主としての経験が5年以上
経営経験が必要なので、建設会社で従業員として働いていただけではダメです。
ちなみに役員や個人事業主でなくても、電気工事業を営む会社や個人事業主の元で、経営の補佐経験が6年以上ある者がいれば、条件をクリアしたと認められるケースはありますが(例えば個人事業主の息子さんなど)、難易度は非常に高いです。
基本的には、会社の役員もくしは個人事業主を5年以上していた人をまずは確保するのがおすすめです(申請者自身が該当していればもちろんそれでOKです)。
なお、このような経営経験がある人物を、建設業許可の申請では「経営業務の管理責任者」(略して「経管」)と呼び、許可を取る際の必須条件のひとつとなっています。
②電気工事業に関する資格又は10年以上の実務経験が必要
先ほど説明した「経営業務の管理責任者」をクリアできたら、次に求められるのは「資格」です。
もし資格がなければ10以上の電気工事業の「実務経験」があればOKです。
またこの10年以上という条件は特定の学歴があれば短縮されることもあります。
では順番に見ていきましょう。
電気工事業の許可が認められる資格
下記資格のどれかを持っている人物が社内にいればそれだけでここの条件はクリアです。
※「★」が付いている資格は「特定建設業許可」においても認められる資格
1級電気工事施工管理技士★
2級電気工事施工管理技士
技術士:建設・総合技術監理「建設」★
技術士:建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理「建設ー鋼構造物及びコンクリート」★
技術士:電気電子 ・ 総合技術監理 「電気電子」★
第1種電気工事士
第2種電気工事士(合格後3年以上の実務経験必要)
電気主任技術者:第1種~第3種(合格後5年以上の実務経験必要)
建築設備士(合格後1年以上の実務経験必要)
1級計装士(合格後1年以上の実務経験必要)
幅広く電気工事施工について習得できることもあり、電気工事施工管理技士を目指される方が多いです。
電気工事の実務経験が10年以上
電気工事の実務経験10年以上あればここでの条件をクリアできます。
「資格を持っている人物が社内にいない!」という場合は、電気工事の実務経験が10年以上ある人物を社内で確保しましょう。
電気工事の実務経験でないといけないので、その他の業種での経験は認められません。
例えば左電気工事を5年、左官工事を5年経験していてもダメで、電気工事を10年経験していないといけません。
特定の学歴があれば10年の期間が短縮される
この10年の実務経験は、下記の学科を卒業している人物であれば、短い実務経験で条件をクリアしたと見なしてもらえます。
電気工学又は電気通信工学に関する学科
上記の学科を卒業した人物であれば、その学科が大学の場合は、卒業後3年以上の実務経験で、高校の場合は5年以上の実務経験で、本来10年必要な実務経験の条件クリアしたと見なしてもらえます。
なお、これらの資格保有者もしくは実務経験保有者の事を、建設業許可の申請では「専任技術者」と呼び、許可を受けようとする業者の営業所に、かならず1人以上配置しなければいけません(こちらも常勤でないといけません)。
※要注意
特定建設業を取る場合は、この専任技術者の要件がより厳しくなります。
必要な資格の種類が限定されたり、実務経験だけでなくプラスして指導監督的実務経験も必要になってきます。
③誠実性がある事(過去に問題を起こしてなければOK)
請負契約の締結やその履行に際し、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、許可を取る事は認められません。
過去にそのような行為を働き問題を起こしていなければ、この条件でアウトになる事はありません。
この誠実性は、個人事業であればその個人事業主が、法人であれば役員や営業所長など経営において重要な役割をもつ人達に求められます。
④500万円以上の資金力がある事
許可を取るにはある程度のお金を持っている必要があります。
下記のどちらかで資金力を証明できればOKです(今からいう金額は払う必要はありません。持っていればOKです)。
・500万円以上の金額が確認できる銀行口座の残高証明書
・500万円以上の自己資本が確認できる財務諸表
「500万円も持ってない!」という方は、500万円を借りる事が出来れば、その500万円を口座にいれて残高証明書を発行すればそれでOKです。
※500万円の調達能力があれば問題ないため、500万円の確保手段は問われません
⑤欠格要件に該当していない事
許可を取るには、欠格要件に該当していない事が必要です。
下記にあげる事項に1つでも当てはまっていたらアウトです。
※当てはまったらいけない人は、個人の場合は個人事業主、法人の場合は役員と令3条使用人(支店長など)です。
番号 | 事項 |
① | 成年被後見人もしくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者 |
② | 不正の手段で許可を受けた、又は営業停止処分に違反したことで許可を取り消され、取消しになった日から5年を経過しない者 |
③ | ②の取消し処分にかかる通知があった日から当該処分があった日までの間に廃業の届出をした者で当該届出の日から5年を経過しない者 |
④ | ②の取消し処分にかかる通知があった日以前60日以内に、③の廃業の届出をした法人の役員等若しくは令3条使用人(営業所長等)、又は届出をした個人の令3条使用人で、当該届出の日から5年を経過しない者 |
⑤ | 営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者 |
⑥ | 営業の禁止を命ぜられ、その禁止の期間が経過しない者 |
⑦ | 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 ※禁固以上とは「死刑」「懲役」「禁固」が該当します。 |
⑧ | 一定の法律に違反したことで罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
⑨ | 暴力団員、又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 |
⑩ | 申請者が未成年者で、その法定代理人が上記に該当する者 |
⑪ | 法人でその役員等、又は令3条使用人が上記に該当する者 |
⑫ | 個人でその支配人又は令3条使用人が上記に該当する者 |
⑬ | 暴力団員等にその事業活動を支配されている者 |
登録電気工事業者が必要な場合
登録電気工事業者登録は、一般用電気工事及び自家用電気工事を施工する場合に必要になります。
ここで一般用電気工事と自家用電気工事について簡単に説明致します。
一般用電気工事とは、600V以下の電圧で受電する電気工作物を施工する電気工事です。
一方、自家用電気工事とは自家用電気工作物のうち、500kW未満の需要設備を施工する電気工事です。
なお、自家用電気工事は第一種電気工事士しか施工できない為、注意が必要です。
登録電気工事業者に必要な資格・費用・期間
登録電気工事業者登録には主任電気工事士を設置する必要があります。
主任電気工事士の要件
第一種電気工事士または第二種電気工事士(免状の交付を受けた後に、3年以上の電気工事に関する実務経験を有すること)となります。
必要となる費用
各都道府県庁に納める必要のある法定費用が22,000円、登記簿謄本等を取得する必要がある為数千円、行政書士に依頼する場合には報酬として50,000円ほどで概ね合計75,000円ほど必要となります。
申請に要する期間
申請が不備なく受付がなされると締め日に対応した登録日に登録となり、登録日からおおよそ2週間後に登録証が発送されるという流れになります。
みなし登録電気工事業者が必要な場合
みなし登録電気工事業者はその名の通り、登録電気工事業者として「みなす」ということです。
具体的には建設業許可を取得している業者が電気工事を自社で施工しようとした場合に必要になります。
対応する電気工事については登録電気工事業者と同様になります。ここでの注意点は電気工事業以外の建設業許可であっても、みなし登録電気工事業者となる点です。
みなし登録電気工事業者に必要な資格・費用
基本的には、登録電気工事業者と同様、主任電気工事士を設置する必要があり、主任電気工事士の資格も同様に考えていただければと思います。
費用に関してはみなし登録電気工事業者の場合には法定費用は不要です。
行政書士に依頼する場合には報酬として40,000円ほど必要となります。
通知電気工事業者が必要な場合
通知電気工事業者が必要な電気工事は、自家用電気工事のみを施工する場合です。
先ほど説明しましたが自家用電気工事とは500kW未満の需要設備を施工する比較的大きな電気工事です。
このため、自家用電気工事のみ施工するというケースは稀なため、通知電気工事業者も登録電気工事業者と比べ少ない傾向にあります。
通知電気工事業者に必要な資格・費用
必要な資格についてですが、通知電気工事業者は自家用電気工事のみ施工するので、自家用電気工事を施工する場合に必要な第一種電気工事士の方が在籍している必要があります。
費用について、通知電気工事業者の場合も法定費用は不要です。行政書士に依頼する場合には報酬の40,000円ほどを考えていただければよいかと思います。
みなし通知電気工事業者が必要な場合
基本的には、通知電気工事業者と同様で自家用電気工事のみを施工し、かつ、建設業許可を取得している場合になります。
みなし通知工事業者に必要な資格・費用
必要な資格については、通知電気工事業者と考え方は同じで、自家用電気工事を施工するため、第一種電気工事士の方が在籍している必要があります。
費用について、みなし通知工事業者も法定費用は不要で行政書士に依頼する場合の報酬40,000円ほどを考えていただければよいかと思います。
いかがでしたか?
お聞きしてみたいことがございましたらお気軽にお問い合わせください。
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