建設業許可申請における専任技術者などの実務経験の算定方法は?

兵庫県西宮市で建設業許可申請を取り扱っているカミーユ行政書士事務所です。

今回のテーマは建設業許可申請における専任技術者などの実務経験の算定方法について解説をしていきます。

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目次

実務経験の証明の仕方

建設業許可の専任技術者や主任技術者になるには、一定の資格や実務経験が必要になります。

実務経験とは建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験のことをいいます。

建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事したり、現場監督技術者として監督に従事した経験、土工及びその見習いに従事した経験なども含めることができます。

ただし単なる建設工事の雑務の経験や、庶務経理事務の経験などは実務経験含めることはできません。

専任技術者になるための実務の経験の期間は、具体的に実務に携わった期間を積み上げて計算します。

複数の業種を重複して計算することはできません。

例えば10年の実務経験で専任技術者になる場合、2業種の専任技術者になるためには1業種ごとに10年の実務経験が必要になるので2業種で最低20年の実務経験が必要です(2業種の経験割合が均等の場合)。

なお、実務経験は原則10年必要となっていますが、大卒、高卒、専門卒などで指定学科の学歴がある場合は経験期間の短縮が可能となっています。

指定学科を卒業した場合の実務経験

・大学を卒業した場合⇒3年

・高等専門学校を卒業した場合⇒3年

・高校を卒業した場合⇒5年

・中等教育学校を卒業した場合⇒5年

実務経験は、取得した建設業許可の業種に関しての実務経験であり、例えば内装仕上工事業の建設業許可を取得したいのに、左官工事の実務を経験しても実務経験と認められることはありません。

ただし、「電気工事業」と「消防施設工事業」に関しては実務経験が認められません。

この2業種は、そもそも無資格で施工できる業種ではないので、未資格で実務経験を積むことはないからです。

なお、2023年7月1日より、専任技術者になるための実務経験の要件が一部緩和されています。

専任技術者は建設業許可を取得する際に、各営業所に専属での配置が義務付けられていますが、その資格要件についての見直しが行われました。

また、現場への配置が義務付けられている主任技術者・管理技術者についても同様の取扱いとされ、実務経験の要件が緩和されています。

参考:国土交通省HP

緩和内容

土木施工管理などの技術検定合格者を、指定学科卒と同等とみなし、実務経験が短縮されています。

一般建設業における要件緩和は下記のようになります。

●1級1次合格者=大卒(指定学科)→実務経験3年(合格後)

●2級1次合格者=高卒(指定学科)→実務経験5年(合格後)

上記のように、1級または2級の1次合格者(=施工管理技士補)は、これまでの実務経験10年から短縮されました。

また、特定建設業における専任技術者や、工事現場における主任技術者・監理技術者についても、この緩和措置が適用されます。

ただし、指定建設業および電気通信工事業は、今回の緩和対象からは除外されており、従来通りの実務経験が必要となります

実務経験の証明書類

実務経験の証明の方法について見ていきたいと思います。

実務経験といっても、その内容は様々です。

カウントできる「実務経験」の内容は限定されています。

工事現場の単なる雑務、事務仕事は「実務経験」になりません。

該当する経験内容は、以下の通りです。

・工事の施工を指揮・監督した経験

・工事の施工に携わった経験

・設計に従事した経験

・現場監督としての経験

・現場技術者としての経験

「実務経験証明書」に記載する当時の役職が、現場監督・現場主任・現場技術者・工事部長といった役職であれば、該当する経験を積んだと判断してもらえます。

実務経験証明書はあくまでも、会社からの申告で証明してもらうものにすぎません。

そのため、実際に工事を行っていたのか?ということを証明する資料も必要になります。

例えば確認資料として求められる代表的なものは以下の書類があります。

①工事の請負契約書

②注文書や請書

③請求書

等の書類が代表的なものです。

そのため、この請求書等に記載されている工事名等が作成した実務経験証明書の工事名や工事期間と一致している必要があるので、疎明する書類が揃っているか、事前に確認しておく必要があります。

また、証明者が建設業許可を取得していた場合は、建設業許可申請書や決算変更届の副本の一部(受領印が押印されている表紙や工事経歴等)を提出することができれば、請求書等は不要になります。

ちゃんとした実務経験はしているがその証明をすることが出来なくて建設業許可を取ることを諦めたり、先延ばしした依頼者は多くいらっしゃいます。

依頼者のお話を聞くと、建設業許可の要件を満たす実務経験をしていることはわかるのですが、その証明する書類が揃わないので諦めるといったような事例も多くあります。

よって、実務経験を証明する書類の用意できるかが非常にポイントとなります。

以下のような書類をご用意できるようにして下さい。

建設業許可の「経営業務管理責任者」になるための実務経験証明書類

役員となられていた法人の建設業許可証(必要年数分です。)

現在有効な許可証だけでなく、過去の建設業許可証も必要となるケースもあります。

しっかり保管してあるか確認しましょう。

役員となられている法人の建設工事の請負契約書等

これも実務経験の証明書として認められます。

ただし、契約書に発注者(注文者)の契約印が押されていなければ認められません。

建設業許可の「専任技術者」になるための実務経験証明書

自分が実務経験として認めてもらうための建設工事の契約書、注文書等

実務経験として従事した建設工事の契約書、注文書等。ただし、注文者の契約印が押してあるものでないと認められません。

実務経験のポイント

実務経験を理解する上で押さえたいポイントは、以下になります。

・実務経験の定義

・経験の期間計算方法

・経験の証明方法

●実務経験の定義

建設業許可で求められる実務経験は、許可を受けようとする業種の建設工事における職務経験になります。

つまり、業種が一致していれば、どのような技術を活用していたのかは問われていません。

建設工事の施工に関わった経験であれば、『現場監督』『職人』『見習い従事』などどの立場であっても問題ありません。

実務経験での立場に指定がないのは、一般建設業の専任技術者の場合です。

特定建設業における専任技術者になるための実務経験要件には『指導監督的実務経験』の指定があります。

また、工事の現場だけに限らず、工事発注における設計技術者の立場で工事設計を行った実務経験も含まれます。

逆に含まれないものとしては、建設工事の前段階における地鎮祭や施工式の準備などの雑務に分類されるものは実務経験に含められません。

●経験の期間計算方法

実務経験の期間は、指定学科修了の内容と有無によって、3年と5年と10年に分かれます。

≪必要な実務経験期間≫

実務経験10年      実務経験のみで専任技術者要件に該当

実務経験5年        高校卒業もしくは専門学校卒業があることで主任技術者要件に該当

実務経験3年        専門学校卒業かつ専門士/高度専門士を称する者があることで主任技術者要件に該当

また、上記の実務経験は業種ごとに分けて考えられます。

具体的には、複数の業種にまたがって実務を実施していた経験であったとしても、経験は重複したものとしては認められません。

例を挙げると、大工工事と電気工事の両方の工事を重複して10年実務を積んでいた経験がある人がいるとします。(実際に工事を重複して実施している人はいます。)

しかし、その人が大工工事と電気工事の両方の専任技術者になる実務経験10年を認められません。

この場合に実務経験10年を認められるのは、大工工事と電気工事のどちらか1業種になります。

建設業許可を取るために必要な実務経験とは、違法な建設工事の経験は認められません。

経験をしても認められない経験とは、どのような経験でしょう。

具体的にはつぎのような経験が考えられます。

工事請負金額が500万円以上の建設工事の実務経験

自分が役員を務める法人が建設業許可を取っていないで500万円以上の請負金額の工事をした経験については、認められません。

また、自分が個人事業主として請負った建設工事が500万円(そもそも建設業許可を取っていなければ請け負うことは出来ません。)の経験も認められません。

これは、建設業法と言う法律に違反する工事であり、その建設工事の経験は適法な経験でないので認められないのです。

必要な登録をしていない建設工事の実務経験

一定規模の電気工事には工事業の登録が必要です。

解体工事にも工事業の登録が必要です。

このように建設工事には、その工事業をするために役所に登録の手続きが必要な建設工事業があります。

その必要な登録手続きをしないでおこなっている工事業での実務経験は、認められません。

このことも各種の法律に定めてあることをしていないで工事を行っている違法の工事であるので建設業許可を取るための実務経験には認めることが出来ないのです。

必要な資格を持っていないで行う建設工事の実務経験

一定規模の電気工事をおこなうものは「電気工事士」の資格が必要です。

また、消防設備の工事も「消防設備士」の資格を持っているものでなければ、行うことが出来ません。

このような建設工事に従事した経験でも、必要な資格がなければ行うことが出来ない工事では実務経験として認められません。

すべての建設工事について当てはまるものではありませんが当てはまる工事もあるので注意が必要です。

いかがでしたか?

お聞きしてみたいことがございましたらお気軽にお尋ね下さい。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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