女性起業家が活用すべき補助金、助成金、融資について解説します

兵庫県西宮市の補助金申請、助成金申請専門のカミーユ行政書士事務所です。

今回は女性起業家が活用すべき補助金、助成金、融資について解説します。

女性が起業する際に自治体などで独自の支援制度がありますので起業の際には活用することをお勧めさせて頂きます。

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目次

助成金・補助金・融資の違い

助成金・補助金・融資の違いを、以下の表にまとめましたので、資金調達方法の決定に役立ててください。

助成金補助金融資
支援元厚生労働省経済産業省金融機関や国、地方自治体などの公的機関
目的雇用創出・労働環境の改善など補助金ごとに異なるが、経済・地域活性化など融資によって異なる
受給条件受給条件を満たし、法令遵守していれば、基本的に受給できる受給条件を満たし、審査で採択される必要がある条件を満たし、審査で採択される必要がある
申請期間随時または長期間申請開始から数週間から1カ月程度随時
返済義務基本的になし基本的になし返済義務あり

助成金や補助金は返還義務はありませんが、融資は返還義務があります。

自治体によっては女性が起業する際に優遇する融資があるところが多いです。

女性起業家が活用したい助成金

ここでは、女性起業家が活用したい助成金をご紹介します。

  両立支援等助成金

両立支援等助成金は、働きながら子育てや介護を行う労働者の雇用継続を守るために、仕事と家庭を両立させる環境整備を実施している事業者を支援する制度です。

2023年度(令和5年度)では、以下の3つのコースにおいて女性起業家が申請可能です。

・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

・介護離職防止支援コース

・育児休業等支援コース

※「女性活躍加速化コース助成金」は、令和3年度で廃止となっています。

それぞれの概要や助成額をまとめています。

【出生時両立支援コース】

男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備を行い、育児休業を取得した男性労働者が生じた事業主に支給します。

最大60万円です。

参考:厚生労働省ホームページ

【介護職離職防止支援コース】

「介護支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者の円滑な介護休業の取得・職場復帰に取り組み、介護休業を取得した労働者が生じた、または介護のための柔軟な就労形態の制度(介護両立支援制度)の利用者が生じた中小企業事業主に支給します。

最大30万円です。

【育児休業等支援コース】

「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者の円滑な育児休業の取得・職場復帰に取り組み、育児休業を取得した労働者が生じた中小企業事業主に支給します。

最大30万円です。

  キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者の企業内におけるキャリアアップを推進するために、正社員登用や処遇改善などを実施した事業主を支援する制度です。

・正社員化コース

・障害者正社員化コース

・賃金規定等改定コース

・賃金規定等共通化コース

・賞与・退職金制度導入コース

・短時間労働者労働時間延長コース

以下に、それぞれのコースの概要や助成額をまとめています。

概要助成額(1人あたり)金額
正社員化コース有期雇用労働者等を正社員にした事業主有期→正規:57万円
無期→正規:28.5万円
障害者正社員化コース障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換した事業主有期→正規:90万円
有期→無期:45万円
無期→正規:45万円
※支給対象者によって助成額が変動
賃金規定等改定コース有期雇用労働者等の基本給の賃金規定を増額改定した事業主3%以上5%未満:5万円
5%以上:6.5万円
賃金規定等共通化コース有期雇用労働者等と正規雇用労働者に共通の賃金規定を新たに規定・適用した事業主1事務所当たり:60万円
賞与・退職金制度導入コース有期雇用労働者等を対象に、賞与・退職金制度を導入した事業主1事務所当たり:40万円
短時間労働者労働時間延長コース有期雇用労働者等の週の所定労働時間を延長し、社会保険を適用した事業主23.7万円

  【東京都】若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」は、東京都内の商店街の活性化を図るために、新規開業を支援する制度です。

この助成金は、女性であることが応募資格の一つになっています。以下に助成限度額・助成率についてまとめています。

助成金額が730万円と高額になっていることも魅力です。

 【東京都】商店街起業・承継支援事業

東京都内の商店街で起業したり、事業承継で起業したりする方向けの助成金です。

助成金額は580万円です。

なお上記の「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と併用することも可能ですので併用した場合には1310万円の高額な助成金となります。

  地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

中小機構が実施している地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ型)は、 中小機構と地方自治体、金融機関などが資金を拠出して、ファンド(基金)を作り、ファンドの運用益を活用して中小企業者等を支援する事業 を言います。

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)の助成対象となるのは、主に研究・商品開発、需要の開拓に係る費用です。

なお、各都道府県の産業ビジョンや重点施策などによって、助成対象事業は異なります。

対象者は中小企業者および創業者、これらの支援機関、NPO法人等です。

助成の具体的な内容は、各地域毎に決定されますが、平均的な助成率は1/2〜1/3程度で、なかには、複数年にわたって助成を受けられるものもあります。

参考:中小機構ホームページ

  【厚生労働省】雇用関係助成金

すでに起業しており、従業員を雇用している場合、出産、育児、介護など従業員のライフステージに合わせて柔軟な雇用形態を取る必要も出てくるでしょう。また、派遣やパートなどの非正規社員を正社員として雇用する場合に利用できる助成金などもあります。

こうした雇用にまつわる助成金が、「雇用関係助成金」です。これは、厚生労働省が管轄する雇用に関わる支援金の総称で「雇用維持関係の助成金」「雇入れ関係の助成金」「仕事と家庭の両立支援関係等の助成金」など、様々な分野の助成金が用意されています。

厚生労働省では、雇用関係助成金として、雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上など、様々な助成金制度を用意しています。

助成に際しての具体的な要件は、助成を受けようとする助成金制度の中身によって異なります。

雇用関係助成金は、以下の9つのジャンルに分かれているので、 利用したい助成制度を自ら選択して申請 しなければなりません。

雇用関係助成金のジャンルはこちらです。

雇用維持関係の助成金

在籍型出向支援関係の助成金

再就職支援関係の助成金

転職・再就職拡大支援関係の助成金

雇入れ関係の助成金

雇用環境の整備関係等の助成金

仕事と家庭の両立支援関係等の助成金

人材開発関係の助成金

その他

女性起業家が活用したい補助金

  小規模事業者持続化補助金

商工会議所、商工会が中心となって行っている補助金です。

金額としては200万円となっていますが、インボイス事業者への転換を宣言すると50万円上乗せとなり、最大250万円の補助金額となります。

主な補助金額は下記の通りとなります。

この補助金のいいところは雑役務費が計上できるところです。

つまりアルバイトやパートを雇用した場合の人件費が計上できるということになります。

ホームページ制作などのWEBサイト関連費は補助金額の1/4までとなっているので注意が必要となります。

  ものづくり補助金

ものづくりと記載はありますが、製造業だけに限定される補助金ではありません。

美容、飲食、マッサージ、IT関係など幅広い業種が対象であり、全業種が対象となっています。

サービス業でももちろん申請可能です。

金額も1250万円となっていますので金額も魅力的です。

ただし50万円以上の機械などの設備を導入する必要がありますのでこの点は注意をしましょう。

IT導入補助金

IT導入補助金は、 中小企業・小規模事業者等の方に対して、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する際の経費の一部を補助してくれる補助金制度 です。

補助対象は、中小企業と小規模事業者のみとなっているので、中小事業者でも利用しやすい補助金制度となっています。

ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費などの経費を支払った場合に、その一部が補助される 仕組みです。

なお、通常枠(A・B類型)においてハードウェアは補助対象外となるので注意してください。

会計、経理、顧客管理、クラウド、販売管理、POSレジなど様々な分野で利用可能です。

こちらも全業種が対象となっています。

注意点としては量販店などで購入するITツールではなく、IT導入補助金に登録されたツールから選択する必要があるということです。

非常に広範なツールが登録されていますので十分に活用できるでしょう。

【事業再構築補助金】

コロナ以降、最も注目を集めるのが事業再構築補助金です。

何と言っても金額の規模が非常に大きいです。

下記は成長枠での補助金額ですが、非常に大きいことが分かります。

個人事業や法人として事業を行っていたが、新たに事業を始めたい方などは事業再構築補助金を使うと良いでしょう。

建物の内装工事なども対象になります。

建物工事費は高額になることが多いことからこの補助金を活用することがベストであると思います。

またホームページなどを作成してgoogleのリスティング広告などを展開する場合には1年間は広告費を計上することができますのでかなり有効活用できると思います。

また事業再構築補助金では最大で1400万円の人件費を助成することも可能です。

ただし、こちらに関してはいくつか条件がありますので詳しくは当事務所にお問い合わせください。

女性起業家が活用したい融資

  女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金は、 女性、または35歳未満か55歳以上の方であって、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を支援することを目的とした融資制度 です。

日本政策金融公庫が提供する融資制度であるため、民間の金融機関から融資を受けるよりも、金利面・期間面で有利に融資を受けることが可能です。

また、 融資を受ける際に通常必要となる担保や保証を用意せずとも、融資を受けられる場合があります。

その場合には、金利が少し高くなるので注意してください。

女性、若者/シニア起業家支援資金は、国民生活事業が実施する融資制度と中小企業事業が実施する融資制度の2つがあり、その内容も大きく異なります。

一般に、 日本政策金融公庫が提供する融資は、中小企業事業で提供されてる融資制度の方が、融資限度額が大きいなどといったメリット があります。

「女性、若者/シニア起業家支援資金」の特徴は、廃業歴がある人が以前に営んでいた事業の債務返済につかえる点です。

そのため、新たに事業をはじめる時点で債務がある場合も再度融資を受けることができます。

融資限度額が7200万円となっており、そのうち運転資金が4800万円と高額になっているのも魅力です。

参考:日本政策金融公庫HP

  新創業融資制度

女性、若者/シニア起業家支援資金と同様に、新創業融資制度は、日本政策金融公庫が提供する融資制度で、 新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない、創業間もない方向けの融資制度 です。

他の融資制度と異なり、新創業融資制度は、日本政策金融公庫が提供している他の融資制度と併用することではじめて利用できます。

無担保・無保証でも利用できる融資制度 なので、創業時に活用できる融資制度として幅広く活用されている補助金制度です。

対象者の要件としては新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方となっています。

自己資金の要件としては下記の要件が挙げられています。

①新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方

②ただし、「お勤めの経験がある企業と同じ業種の事業を始める方」、「創業塾や創業セミナーなど(産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業)を受けて事業を始める方」などに該当する場合は、本要件を満たすものとします。

融資限度額は3000万円でそのうち運転資金は1500万円です。

  自治体の制度融資

自治体の制度融資は各都道府県で行われています。

県の保証協会がバックについて保証をしてくれるため金融機関から融資が受けやすいといった特徴があります。

日本政策金融公庫か自治体の制度融資を検討することがベストな選択肢と言えるでしょう。

ここでは代表例として埼玉県の制度融資を取り上げます。

県制度融資の特徴はこちらです。

★金利が低く、しかも全期間固定であること

埼玉県が金融機関に利子補給を行うことにより、県の定める低い利率で融資を受けることができます。

また、融資実行時の金利がそのまま変わらないので、金利変動の心配がありません。

※一部、金融機関所定金利の制度もあります。こちらについては変動金利の場合もあります。

※融資実行時には別途、信用保証料が必要です。

★長期間の借入れが可能であること

設備資金は最長で15年(通常10年)、運転資金は最長で10年(通常7年)までのご利用が可能です。

★無担保・第三者保証人不要であること

ほとんどの資金が、制度上、担保や第三者保証人を不要としています。

また、実際に融資を受けた方の9割以上が無担保・第三者保証人なしで融資を受けています。

なお、埼玉県信用保証協会の信用保証について、以下の場合は原則として代表者保証(法人の代表者が連帯保証人になること)は不要です。

【代表者保証が不要な例】

起業家育成資金(スタートアップ創出促進保証を利用する場合)、産業創造資金(事業承継特別貸付)、産業創造資金 (事業承継支援貸付)融資対象者要件1イ(イ)、伴走支援型経営改善資金(一定の条件を満たす場合)、を利用する場合

2.次のいずれかに該当し、埼玉県信用保証協会が認める場合

申込金融機関において、申込企業の代表者保証を不要とし、かつ、保全のないプロパー融資(信用保証を付さない融資)の残高がある場合(同時実行を含む)であって、「法人と代表者個人の資産・経理の分離」や「債務超過や赤字ではない」等の一定の要件を満たす場合

申込企業又は申込企業代表者の所有不動産について担保提供があり、申込みの保証金額に対して全額の保全が図られる場合

自治体の制度融資は創業計画書の作成が求められるケースが多いのですが、当事務所ではリモートで計画書作成のサポートを行うことができます。

いかがでしたか?

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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