放課後等デイサービスの開業費用と収支シミュレーション

兵庫県西宮市で放課後等デイサービスなどの障害福祉サービス事業者指定申請に強いカミーユ行政書士事務所です。

今回のテーマは放課後等デイサービスを始める場合の費用はどれくらいかかるのか、そして運営した際の収支シミュレーションについて解説をします。

当事務所では西宮市以外にも大阪府や神戸市、尼崎市、宝塚市、伊丹市、芦屋市等の障害福祉サービス指定申請も行っております。

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目次

開業費用や初期投資費用はどのくらいかかるのか?

2012年より開始され、社会的ニーズに応える、かつ新たなビジネスチャンスとして注目されているのが放課後等デイサービスの施設運営です。

需要拡大し続けていることから、短期間で経営を軌道に乗せるチャンスに恵まれるともいわれていますが、施設運営においては収支計算が当然重要です。

初期費用をできるだけ抑えるのはもちろん、ランニングコストをいかに抑えるかも重要なポイントとなってくるでしょう。

新規参入する場合の初期費用には、家賃などの物件の取得費用や工事費、備品代金などがあり、一般的には700万円程度が必要になると考えられます。

そのほかに、実際に運営を始めてからサービスへの報酬が入金されるまで、2カ月程度かかることも考えておかなければなりません。

そのため、初期費用には事業開始から数カ月分の運転資金も合わせて用意しておく必要があります。事業開始後に利用者が少ない場合は、人件費などの経費の方が多いため収支はマイナスになります。

入金額は、開所日数×定員数×平均単価という計算をすれば、大体の金額がわかるでしょう。

実際に初期費用を回収できるのは、9割の稼働率になった場合の約2年後が目安となります。

初期費用をできるだけ早く回収するポイントは、利用者を増やすことに尽きます

では実際に放課後等デイサービスにはどれぐらいの開業資金が必要なのでしょうか?押さえておくべき費用を確認しましょう。

初期費用はどのくらいかかるのか?

まず初期費用についてです。

以下が多くの場合において必要となる初期費用の内訳となります。

法人設立費用

株式会社として設立する場合には、設立費用や登録免許税などで30~40万円程度は用意しておいたほうが良いでしょう。

また資本金が必要になってきます。

100万円~500万円程度の資本金を準備していることも多くあります。

銀行融資などを考える場合には資本金の金額は重要になってきますので安易に安い金額で設立するのは考えものです。

一般的には株式会社での設立が多いのですが、中には合同会社や他の法人形態を持ちいて設立している場合もあります。

参考:法務局ホームページ

施設家賃・施工費など

多くの場合、賃貸で施設を確保することになりますが、敷金や保証金、前払いの家賃などが必要です。

施設の立地や敷地面積などによって異なってくるので、一概には言えない面もありますが、50万~60万円は確保しておいたほうが良いでしょう。

また、リフォーム代や管理費なども発生するかを確認しておきましょう。

特にリフォームの場合は、状況次第で100万円を超える可能性もあるので要確認です。

放課後等デイサービスは、人員に応じた広さの基準が必要なため仕切りを撤去した上で全面改装する必要も出てきます。

その場合には200万~600万円程度必要です。

以前何に使っていた建物で開業するかにでも大きな差が出てくるでしょう。

事務用品

事務用品は細かい出費ではありますが、多くが消耗品であるため初期費用としてはもちろん、維持費としても計上する必要が出てきます。

例えば、下記のような事務用品が必要になります。

ロッカー

例えば、駅のコインロッカーのような形なら10~12人用で5万~6万円程度、更衣室のロッカーの場合は2~3人用で2~3万円程度になります。

机、椅子

子ども用と職員用をそれぞれ用意する必要があります。

職員用は3万~5万円程度のしっかりしたものが2~3台程度は欲しいですし、子ども用も1~2万円程度のシンプルながらしっかりしたものを用意しておきましょう。

20万円くらいは必要でしょう。

パソコン

各種請求や利用者とのやり取りに活用したりと様々な場面で必要になってきます。

1台5~6万円程度の数台を確保するとして、3名~4名分必要であれば、15~20万円程となります。

複合機

パソコンがあれば複合機は必要ないようにも思えますが、法人として運営する以上、書類印刷やFAXなど、利用する場面も多くあるでしょう。

それほど高額なものではなく、6万~7万円程度で購入できるものが理想的です。

報酬請求用ソフト

報酬請求用ソフトにも様々あり、現在ではクラウド型のものが主流です。

初期費用はほとんどかからず、月額料金が発生するため、ランニングコストとして捉える必要があるでしょう。

パッケージ型のものは数万円程度が相場です。

おもちゃなど

子どもが楽しめるおもちゃも必須ですが、完全な消耗品ですから、初期費用・維持費両方の面で捉える必要がありそうです。

おもちゃといってもピンからキリまであり、それほど高額のおもちゃを揃える必要はありませんが、利用する子どもたちの数に応じて揃える必要があるので、10万円程度は初期費用として計上しておく必要があるでしょう。

機能訓練機器

どのような機能訓練を重視するかによっても異なりますし、どれだけの台数を導入するかによっても用意すべき予算に大きな差が出てきます。

簡単な医療機器(血圧計など)

子どもの体調に異変が見られた時に健康状態を確認できるよう、簡単な医療機器も用意しておきましょう。体温計、血圧計などです。それぞれ2,000~3,000円程度で買えるものが多いですが、検温は昨今の状況を踏まえるとマストと言えるでしょう。

冷蔵庫

職員の人数次第では、やや大きめの10万円程度のものが良いでしょう。

電子レンジ

1万円以内ものでも大丈夫でしょう。

テレビ

ある程度のサイズは必要ですが、一般的なものでいいでしょう。

30インチ以上のテレビなら5万円もあれば良いものが買えるはずです。

その他

音楽を聴くためのオーディオや映像作品を楽しむためのDVDなども欲しいところです。

SSTの教材には、CDやDVD教材などもあるため、再生機器があると良いでしょう。また、電話回線とインターネット回線も新規に開設する必要がある場合には、その費用も3万円程度くらいは用意しておきましょう。

SSTに必要な教材

SST(ソーシャルスキルトレーニング)に必要な教材に関しては、単独の製品を購入するか、学習指導のサービスを利用するかによっても異なります。

前者の場合はひとつの教材が2,000~6,000円程度、DVD付きのボリュームがあるものだと1万~2万円程度するものもあります。

光熱費

光熱費は初期費用というよりもランニングコストですが、電気代、水道代で合計月2万~3万円は必要です。

送迎車にかかる費用

新車や中古車を購入する場合には当然車両代金がかかります。

送迎車にかかる費用は走行距離や送迎する人数によって異なりますが、ガソリン代が5万円程度、駐車場料金が別途必要でしょう。

保険料

施設内で万一のことが起こった時に、賠償責任が発生する場合もあります。

こうしたトラブルに備えるためにも、保険の加入は必須です。

職員の数や施設の規模によっても異なりますが、20万~30万円程度が相場です。

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ランニングコスト

毎月発生する維持費・ランニングコストへの意識も忘れないようにしましょう。

人件費

職員、アルバイトスタッフなどへの報酬です。

正社員であれば一人あたり20万円~30万円程度となります。

パートは時給1000円~となります。

家賃

施設の立地・敷地面積、環境・設備にもよります。

保険料、ガソリン代

保険料・ガソリン代も初期費用と同程度の金額が必要です。

備品買い替えなど

備品の買い替えとして、1万~2万円程度を計上しましょう。

以上、多方面でかなりの出費になることが分かります。

準備が難しい場合には補助金や融資制度を活用してみましょう。

運営の注意点は?

放課後等デイサービスは、給付金が大きなウエイトを占める事業と言えます。

算定可能な分は確実に加算できるようにし、基準に満たないなどの不備で返金処分を受けることのないようにしましょう。

注意したいのは減算措置で、人員に関する基準から書類の作成までの条件をガイドブックに照らし合わせて確認しておかなければなりません。

たとえば、定員超過利用減算は、定員を超えてサービスを提供した場合に報酬が30%減算されるものです。

また、児童発達支援管理責任者が退職などにより不在のまま1~4カ月経過すると30%、5カ月以上不在であれば50%の減算になってしまいます。

報酬については、加算される条件だけでなく減算の条件も確認して回避することが大切です。

事業所が利益を上げるための重要なポイントのなかには、人材に関する考え方があります。

職員を雇用して実務経験を積む過程で、事業所は多くの費用を投入しなければなりません。

もし、職員を採用してもすぐに辞めてしまうようなことになれば、それまでにかかった人件費は無駄になってしまうでしょう。

職員の定着率を上げるためには、サービスの質を高めてやりがいのある職場にすることも大切です。

事業所の方針を明確に打ち出し、利用者にも職員にとっても魅力のある場所にすることで定着率の向上が期待できます。

そうすれば、職員が退職し不在となって減算されるような事態が増えることも回避できるでしょう。

処遇改善加算を申請して職員に報酬の面で還元してあげることも重要です。

放課後等デイサービスの収支シミュレーション

ここでは実際のシミュレーションをお示しさせていただきたいと思います。

1年目は給付費の支給が2か月後ですし、軌道に乗るまで時間がかかると思います。

よって2年目のシミュレーションです。

利用者10名(加算:送迎加算)

開所:月間25日  の場合です。

月間シミュレーションですが、通所給付費+利用者負担金の収入180万円。

支出は下記の通りです。

人件費90万円、家賃15万円、水光熱費5万円、通信費2万円、雑費10万円で122万円。

収入180万円ー支出122万円=58万円

年間で700万円強となります。

もちろん銀行融資などを受けていればここから返済分も考えないといけません。

いかがでしたか?

お聞きしてみたいことがございましたらお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士 井上卓也
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社を経て行政書士事務所を開業。300社以上の実績。趣味は週7日の筋トレ。

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